為替市場における月次(期間平均値)の円の対ドルレートを示す(資料はIMF, Principal Global Indicators (PGI))。第1図では2000年1月末以降の値、第2図では1973年以降の長期推移を掲げた。

 図において上昇は円安、下降は円高である。

 対ドルだけで円の通貨価値を測れるのか、また各国の物価水準を考慮しないまま為替レートで通貨価値を論ずるのは正しくないのではないかという考え方が当然生じる。そこで、ドルだけでなく貿易取引のある各国通貨との為替レートを総合し、かつ各国の通貨価値の変動を調整した後の実質実効為替レートが算出されている(図録5072参照)。

 以下に当図録で示した円の名目上の為替レート(指数化した値)と実質実効為替レートの推移を同時に掲げた。これを見ると、2011〜12年の日本の円は名目上は1995年水準を超え史上最高の値を示していたが、実質実効上は、かつてと比較してかなり円安の水準だったことが分かる。



(2012年初の状況)

 円高傾向は継続しており、ついにユーロも11年ぶりの安値となった。要因としては、@上述のような物価上昇率の違い、に加えて、A世界的に金利が低下傾向を辿る中で、もともと低かった日本との差が縮まってきており、海外投資から日本にお金がもどりつつあること、B欧州債務危機など世界的な景気低迷で日本の膨大な海外資産(対外純資産は世界一の約250兆円)からの利子・配当収入が現地で再投資されず、日本に還流してきていること、によるものとされる(東京新聞2012.1.11)。



(2008年下半期の状況)

 米ドル、ユーロに加え各国の通貨価値との比較で円高の状況(対円レートの下落率の高い通貨ほど円高)を下図をみると韓国ウォンに対しては2008年の下半期4ヶ月間で38%以上の円高(ウォン安)となっている。このため、九州地方へのゴルフツアーなど韓国人の訪日はめっきり減少しているといわれる。全体的には対米ドル以上に円高になっている通貨が多い。これは、金融危機による邦銀の損失が比較的少ないため日本の円が相対的に「安全な通貨」と見なされているためといわれる。




 また2002年以降の日本の景気回復を支えていた長期に渡る円安をもたらしていた「円キャリー取引」が解消されたことも、円の独歩高に拍車をかけていると考えられる。「円キャリー取引」とは金利の低い日本の円を元手に金利の高い国の通貨に変えて投資し、両者の金利差でもうける取引をさし、欧米のファンドなどがさかんに行っていたという。世界金融危機により資金の回収を急ぐファンド等がこの取引のいっせい解消に転じ海外通貨を円に変換したため、逆に、円高を加速したというわけである。

(2008年3月14日収録、4月4日更新、5月23日更新・対ユーロ追加、9/18・10/22・11/19更新、12/4日更新・各国通貨対円レート下落率図追加、2009年1/23・2/25・3/12・4/13・5/18・7/9・9/11・11/12・12/30更新、2010年3/3・5/7・6/9・7/13・8/11・9/15・10/8・12/22更新、2011年3/7更新、資料を月末値の日銀金融経済統計月報<金融1>から月間平均値のIMFデータベースに変更、4/4・5/4・6/8・7/8・8/3更新、8月11日・8月22日コメント更新、9月1日実質実効為替レートとの対比グラフを掲載、9/5・10/4更新、10/22・10/26・10/28円・10/31・11/4・12/7最高値更新記事、2012年1/5更新、1/11年初状況追加、1/15・1/17コメント更新、2/3・3/4・4/5・5/7更新、6/1図形式改変、6/4・7/4・8/3・9/7・10/3・11/5・12/8更新。2013年1/3・2/4・3/4・4/2・5/5・6/4・7/2・8/2・9/4・10/3・11/5・12/3更新、2014年1/8・2/5・3/5・4/3・5/20・7/7更新)

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