税負担の累進度を測る指標は複数ありうる。日本では免税点の高さ(免税となっている勤労者の多さ)や高額所得者の累進負担について議論されることが多いが、ここでは中堅の労働者に焦点を当て、OECDの調査から、単身労働者(子どもなし)の給与水準の差が所得税の税負担率にどのような影響を及ぼしているかをみた図を作成した。

 日本は、平均の1.67倍の給与水準の単身労働者の税負担率と0.67倍の単身労働者との差は4.3%ポイントであり、34カ国中、30位と非常に差が小さいことで目立っている(2003年には3.5%だったので若干上昇したが、それでもなお小さい)。

 これは、特段に低所得でも高所得でもない中堅の労働者においては税負担率がフラットになるように設計されているからだと思われる。長期継続雇用(終身雇用制)の中で、企業で長く勤め上げれば所得が上昇し、それだけ手取りも多くなることを期待させて、勤労意欲を維持させようとする考えが働いているのであろう。

 長期継続雇用(終身雇用制)が半ば崩れ(図録3340参照)、生涯にわたって、低所得者は低所得者のまま、高所得者は高所得者のままというパターンが増えてくると、高所得者ほど相対的に大きな税負担が当然であるという累進課税の考え方からは、こうした税制は維持できなくなると考えられる。

 他方、日本の税制では単身か子持ちかどうかであまり違いがない(図録5130参照)。これと、ここでふれた中堅労働者のフラットな税負担率が結びつくと、所得が上がる年齢になっても単身のまま子どもを生まないでいた方が有利ということとなり、税制上、非婚化、少子化を促進していることとなる。

 対象国は、34カ国であり、具体的には、税負担率の差が大きい順に、アイルランド、イスラエル、ルクセンブルク、フィンランド、オーストラリア、ベルギー、ポルトガル、スウェーデン、英国、ニュージーランド、オランダ、アイスランド、ノルウェー、スロベニア、イタリア、ギリシャ、メキシコ、デンマーク、スイス、オーストリア、米国、フランス、カナダ、スペイン、ドイツ、チェコ、トルコ、スロバキア、韓国、日本、ハンガリー、エストニア、ポーランド、チリである。

(2005年12月4日収録、2013年7月3日更新)


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