環境税に対してわが国の国際競争力の低下につながるという導入反対論がなされる場合がある。OECD諸国における環境関連税(税負担)の税収シェアをグラフにした(環境関連税制の定義については末尾囲い記事参照)。

 日本は1.48%とほぼOECD平均の1.61%より低い。OECD平均は米国の低い環境関連税比率(0.72%)に影響されて低くなっている。順位で見るとOECD34カ国の中で日本の高さは29位と低い(下から6位)。

 中国、インドは、環境税に関しては、なお、低い水準にあり、重要な税収源とはなっていない。

 OECDの経済構造改革報告書(OECD (2011), Economic Policy Reforms 2011: Going for Growth)は、2008年データにもとづく上と同様の図(ただし対GDP比)を掲げながら以下のように述べている。

「大気汚染のような公共的な「悪」に対する対費用効果の高い政策は、国民の福祉(1人当たりのGDPではなく)を向上させる可能性がある一方で、財政再建に役立つ。グリーン税制や排出権取引のような汚染に対する価格メカニズムを、一般的には、グリーン補助金よりも優先すべきである。何故なら、グリーン補助金は財政赤字を増加させるし、環境問題に対する一層広いベースをもつ対費用効果の高いツールとはいえないからである。図のように、環境諸税からの収入は国ごとに大きく異なっている。カナダ、チリ、ニュージーランド、または米国のような国では、環境税は小さいままであり、こうした税源からの更なる税収増が見込まれることが明白である。特に、温暖化ガス排出への価格づけによる財政収入の可能性は大きい。もし総ての工業国が1990年対比20%の排出量を削減するため炭素税や排出権取引を導入するとするとそれらによる収入増は例えば2020年までに対GDP比平均2.5%と見積もられている。EUでは、排出権取引の計画的拡大が2013年から税収の増加に結びつくと期待されている。国ごとの環境関連税率の格差の存在から追加的な収入の機会が発生する。それらの格差は、一般的にマイナスの外部性の規模の違いを反映していない限り、グリーン税制の効率を減じてしまう。」

 図に取り上げたのはOECD全34カ国、具体的には、環境関連税収比率の低い方からメキシコ、米国、カナダ、チリ、ニュージーランド、日本、スロバキア、スイス、スペイン、オーストラリア、ドイツ、フランス、ルクセンブルク、アイスランド、ベルギー、ノルウェー、ポルトガル、スウェーデン、アイルランド、英国、韓国、エストニア、ハンガリー、チェコ、ポーランド、ギリシャ、フィンランド、オーストリア、イスラエル、オランダ、トルコ、イタリア、スロベニア、デンマーク、及び中国、インドである。

環境関連税制の定義(財務省HP「わが国の税制の概要」による解説

 OECDによる「環境関連税制」(Environmentally Related Taxes)の定義は、以下のとおり。

・ 特に環境に関連するとみなされる課税物件に課される一般政府に対する全ての強制的・一方的な支払い

・ 税の名称及び目的は基準とはならない

・ 税の使途が定まっているかは基準とはならない

 以下に日本の環境関連税の内訳を掲げる。

環境関連税制の内訳 (2004年)
 Structure of Revenues from Environmentally Related Taxes
課税対象 日本(億ドル) 
エネルギー物品(Energy products) 485  
  輸送目的 406 ● 軽油引取税
● 石油ガス税
● 航空機燃料税
  うち、ガソリン 297 ● 揮発油税
● 地方道路税
生活上の使用目的 79  
  化石燃料 44 ● 石油石炭税
電気 34 ● 電源開発促進税
自動車、その他輸送手段
(Motor vehicles and transport)
291  
  取引課税 42 ● 自動車取得税
保有課税 249 ● 自動車重量税
● 自動車税
● 軽自動車税

 「環境関連税制」の課税対象には、上記の「エネルギー物品」・「自動車、その他輸送手段」のほか、「廃棄物管理」、「オゾン層破壊物質」等がある。

(2011年5月19日収録、2017年6月7日更新)


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