国が子育て世帯に対してどれだけ優遇しているか(あるいは子どもを生まない世帯にどれだけペナルティを課しているか)は、保育施設など子育て支援施設や育児休業などへの公的支援を除くと、家族・児童向けの公共支出と子育て世帯への税制面の優遇度の2つで決まる。国際比較について、家族・児童向けの公的支出(少子化対策支出)については、図録5120で見たので、ここでは、子育て世帯への税負担の優遇度を見ることとする。

 結論から述べると、日本における税金面からの子育て世帯優遇度は、世界の中でも非常に低いレベルであり、家族・児童向けの公的支出の低さ(絶対水準、及び高齢化対策公的支出との相対水準の両方)と相俟って、日本の少子化の根本要因となっていると考えられる。要するに、国は、子育て世帯の大変さに対して、ほとんど報いる姿勢がないという結果となっており、この状態を放置しておいて、いくら保育所を整備しても、また家族の大切さをいくら訴えても、説得力をもつことはあり得ないといってよい。子育て支援を厚生労働省や文部科学省の取り組みとして進めるのではなく、財務省を含んだ国全体の取り組みとして推進する必要がある。

 子育て世帯への税制優遇度は、「子ども無し単独世帯」の税負担率(総賃金収入に占める%)から「稼ぎ手1人子ども2人世帯」の税負担率(社会保障雇用者負担を含む)を差し引いて算出した。すなわち総所得額の何パーセント分優遇されているかを表している。ドイツなど上位7位の国は、この値が2割前後以上となっている。年収500万円の世帯であれば、子どもを育てている方が税金上100万円以上有利となる。日本は、6.5%であり、比較対照34カ国中26位である。年収500万円の世帯であれば、32万円有利になるに過ぎない。日本の値は2005年は3.1%だったので、少しは改善されてきている。

 国際比較の対照とした国は、子育て世帯への税の優遇度の大きな順に、チェコ、ルクセンブルク、スロベニア、アイルランド、ハンガリー、ベルギー、ドイツ、スロバキア、ニュージーランド、オーストリア、カナダ、アイスランド、スイス、米国、イタリア、ポルトガル、オーストラリア、エストニア、デンマーク、フランス、スペイン、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、ポーランド、日本、フィンランド、英国、イスラエル、韓国、トルコ、メキシコ、チリ、ギリシャの34カ国である。

(2005年6月1日収録、2007年7月23日更新、2013年7月3日更新)


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