1.首相選出

 民主党の代表選で前日選出された野田佳彦代表は2011年8月30日午後の衆参両院本会議で首相に選出され、第95代、62人目、千葉県出身で初の首相に就任した。新憲法下の総理大臣としては31人目であり、旧憲法下の31人とちょうど並んだ。

 野田佳彦首相は、富山市八尾の農家の6人兄弟の末子で元自衛官の父親と千葉県のやはり農家の末子の母親との間の長男として、千葉県船橋市で1957年に生まれた。県立船橋高校、早稲田大の政経学部を卒業後、松下政経塾に第一期生として入塾。駅前での毎朝の演説(「朝立ち」)を86年10月からずっと続けて来た点に今も胸を張る。県会議員を経て1993年衆議院選挙に初当選。千葉4区(船橋市1市)当選5回、54歳。元国対委員長、前財務大臣。格闘技ファンの愛煙家。

(以前のコメント)

 2010年6月4日午後の衆参両院本会議で民主党の菅直人代表が首相に選出され、第94代、61人目の首相に就任した。東京では5人目(戦後2人目)の総理誕生である。

 菅首相は山口県宇部市生まれであるが、サラリーマンであった父の転勤に伴い東京都三鷹市に転居。東工大理学部卒業後、市民運動に参加し、参院選で故市川房枝氏の選対事務長を務めたことが、政界入りのきっかけとなった。父親が政治家でない完全非世襲の首相は村山首相以来16年ぶり。市民運動家出身の首相も戦後初。図で表現している出身県の位置づけもこれまでとは全く異なっている。選挙区は衆院東京18区(武蔵野市、府中市、小金井市)。当選10回。63歳。

 2009年9月16日に衆議院総選挙後の特別国会が召集される。総選挙における民主党圧勝を受け、同日中に行われる衆院本会議の首相指名選挙で、北海道選出の民主党鳩山由紀夫代表が第93代、60人目の首相に指名された。北海道からの首相ははじめてとなった。

 鳩山首相は、曽祖父の鳩山和夫元衆院議長、祖父の鳩山一郎元首相(初代自民党総裁)、父の鳩山威一郎元大蔵事務次官(外相)に続く政治家4代目であり、鳩山一族は全員東京生まれの東京育ちである。北海道には明治時代、和夫氏が牧場を経営した因縁で、「鳩山神社」もあるが、東京の鳩山家の地盤から弟邦夫氏が出馬していたため、由紀夫氏は「落下傘」で北海道から出馬したにすぎない。

 2008年9月24日の国会で麻生太郎が総理大臣に指名され、59人目の首相となった。福岡県は2人目、戦後だけでは初の総理となった。

 2007年9月25日の国会で福田康夫が総理大臣に指名され、58人目の首相となった。群馬県出身の4人目の総理であり、親子2代は初めてという。戦後だけをみれば群馬の4人という数は山口の3人を上回り最多となった。

 振り返ると2006年9月の自民党の総裁選では、いわゆる「麻垣康三」の4人が候補となっていた。各候補者の出身県は、麻生太郎:福岡県、谷垣禎一:京都府、福田康夫:群馬県、安倍晋三:山口県であった。結果は安倍晋三総理が誕生し、このときは山口県出身の首相が1人増えた。

2.首相の出身県

 ここでは、戦前戦後を通じた過去62人の首相の出身県を図録にした。

 最も多いのは明治維新の主導地域長州の山口県で8人であり、東京都が5人、岩手県が4人で続いている。戦後は群馬県が4人で最多である。

 地域ブロックでは、明治維新の震源地であった中四国・九州が多く、幕府側の抵抗拠点があった北海道・東北、関東以北は、比較的少ないという傾向がやや見うけられる。北海道・東北の中で岩手だけが4人と多いのも目立っている。この他、兵庫、奈良、和歌山、鳥取といった近畿周辺も空白地域としてやや目立つ。

 空白県は19道県と、47都道府県のうち40.4%を占める。

○首相就任順別政治家の名前と出身地
旧憲法下   新憲法下
首相
就任順
名前 出身県 首相
就任順
名前 出身県
1 伊藤博文 山口 32 吉田 茂 高知
2 黒田清隆 鹿児島 33 片山 哲 神奈川
3 山県有朋 山口 34 芦田 均 京都
4 松方正義 鹿児島 35 鳩山一郎 東京
5 大隈重信 佐賀 36 石橋湛山 静岡
6 桂 太郎 山口 37 岸 信介 山口
7 西園寺公望 京都 38 池田勇人 広島
8 山本権兵衛 鹿児島 39 佐藤栄作 山口
9 寺内正毅 山口 40 田中角栄 新潟
10 原 敬 岩手 41 三木武夫 徳島
11 高橋是清 東京 42 福田赳夫 群馬
12 加藤友三郎 広島 43 大平正芳 香川
13 清浦奎悟 熊本 44 鈴木善幸 岩手
14 加藤高明 愛知 45 中曽根康弘 群馬
15 若槻礼次郎 島根 46 竹下 登 島根
16 田中義一 山口 47 宇野宗佑 滋賀
17 浜口雄幸 高知 48 海部俊樹 愛知
18 犬養 毅 岡山 49 宮沢喜一 広島
19 斎藤 実 岩手 50 細川護熙 熊本
20 岡田啓介 福井 51 羽田 孜 長野
21 広田弘毅 福岡 52 村山富市 大分
22 林銑十郎 石川 53 橋本龍太郎 岡山
23 近衛文麿 東京 54 小渕恵三 群馬
24 平沼騏一郎 岡山 55 森 喜朗 石川
25 阿倍信行 石川 56 小泉純一郎 神奈川
26 米内光政 岩手 57 安倍晋三 山口
27 東条英機 東京 58 福田康夫 群馬
28 小磯国昭 栃木 59 麻生太郎 福岡 
29 鈴木貫太郎 大阪 60 鳩山由起夫 北海道
30 東久邇稔彦 京都 61 菅 直人 東京
31 幣原喜重郎 大阪 62 野田佳彦 千葉
(注)出身地は旧憲法下(1)〜(31)は出生地、新憲法下議院内閣制(32)以降は選挙区。
(資料)東京新聞2006.5.22ほか


(2006年7月10日収録、2007年4月16日更新、2007年9月25日更新、2008年9月25日更新、2009年9月7日更新、2010年6月4・5日更新、2011年8月30日更新)


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