NHKの放送文化研究所では1973年から継続して5年おきに、全国の16歳以上の国民5,400人に対する「日本人の意識」調査(個人面接法による)を行っている。2013年の有効回答数は3,070人(回答率56.9%)である。刊行されている報告書は「現代日本人の意識構造[第八版]」(NHKブックス)。

 ここでは、天皇に対する感情の推移について図録化した。

 天皇に対する日本人の感情は、1989年に昭和天皇が崩御し、現在の天皇が即位した時点を境にかなり変化している。「尊敬」感情が減り、「好感」感情が多くなり、両者がこの時期を境に逆転したのである。

 そのほか、1993年の好感の急増には調査月10月に先立って6月に皇太子ご成婚がありその慶賀ムードも影響していると考えられる。また2001年の皇太子夫妻の第1子誕生の影響が2003年の好感の増加に影響していると考えられる。

 2013年には、「尊敬」が34%と調査開始以来の最高となった。即位から時間がたって存在感が増した上に、2011年の東日本大震災に対して、被災地を訪問し、被災者を真摯な態度で気遣う天皇の姿が報じられた影響であろう。

 年代別の推移についても図示した。

 若年層では「無感情」がほぼ7割と中年層以上と比較して格段に多いのが特徴であるが、1993年に続いて、2013年にも、「無感情」は5割台まで低下している。1993年に時には「好感」が増えたためであるが、2013年には「尊敬」も増えている。これが将来に続く長期傾向なのかはなお断定できない。

 戦前育ちの世代は、戦後育ちの世代と異なって、昭和天皇に対する「尊敬」の感情が特別大きかったので、昭和から平成に移り変わるにつれて戦前育ちから戦後育ちへのシフトが起こった中年層や高年層での「尊敬」の割合は大きく低下した。

 ところが、21世紀に入ると、どの年齢層でも「尊敬」が増えている。これは、現在の天皇が即位後キャリアを重ね、先の大戦に対する姿勢など尊敬に値する御発言が多いこと、また、震災や原発事故に見舞われた被災者に対する思いやりの行動をとられていることによるものであろう。

天皇に対する感情の関連年表
1971 昭和天皇がヨーロッパ訪問
1975 昭和天皇が米国訪問
1981 昭和天皇が80歳
1984 昭和天皇が韓国大統領を招いた晩さん会で「両国の間に不幸な過去が存したことは誠に遺憾」と発言
1989 昭和天皇が逝去。天皇陛下が即位
1991 天皇陛下が雲仙・普賢岳噴火の見舞い
1993 皇太子さまが結婚。天皇陛下が北海道南西沖地震の見舞い
1995 天皇陛下が阪神大震災の見舞い
2001 皇太子ご夫妻に長女愛子さま誕生
2003 天皇陛下が前立腺がん手術
2005 天皇陛下がサイパン島で戦没者慰霊
2006 秋篠宮ご夫妻に長男悠仁さま誕生
2011 東日本大震災で、天皇陛下がビデオメッセージや被災地訪問
2012 天皇陛下が心臓の冠動脈バイパス手術
(資料)毎日新聞(2017年1月8日)

 天皇が日本各地を訪問している様子は図録7229参照。

(2010年5月20日収録、2015年3月9日更新、2017年1月9日年表)


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