毎年公表されている”OECD Factbook”は2008年から特集テーマを掲げるようになった。2008年は「生産性」がテーマである。いくつか取り上げられているデータのうち、ここでは主要国製造業の企業規模別労働生産性の格差を掲げることにする。

 いずれの国でも中小零細企業より大企業の方が労働生産性は高いという状況が明らかである。

 図では250人以上の大企業メーカー(米国500人以上、韓国200人以上)の相対的な労働生産性の高い順に国を並べてある。すなわち韓国の大企業が最も相対的に労働生産性が高く(韓国の200人以上であるから他国と同じ250人以上であればさらに差が大きいと思われる)、次ぎに日本が高く、以下、イタリア、米国、フランス、ドイツ、英国と続いている。

 逆に1-9人の小規模企業の労働生産性は韓国が最も相対的に低く、これも日本が韓国に続いている。日本は、韓国と並んで、企業規模別の労働生産性の格差が国際的にも大きいという特徴があるといえる。

 労働生産性は、本来は、同じ製品をつくるのにどちらが効率的かという物的な概念である。パン一斤を生産するのにA工場では3人、B工場では6人必要ならB工場の労働生産性はA工場の半分というわけである。

 この図録の労働生産性は集計概念であり従業者1人当たりの付加価値額で計算している。付加価値は生産額から原材料費を引いたものであり、大きく言えば人件費、減価償却費と利益から成っている。すなわち人件費還元分を含めてどれだけ利益が出ているかの指標である。従って、上記の物的な生産性の他に、賃金水準や取引条件、機械設備のウエイトの違いが労働生産性には反映しているといえる。

 中小零細企業の労働生産性が低いからといって必ずしも中小零細企業の生産効率が低いとは言えない。むしろ、規模別の賃金水準の差などが大きく影響していると考えられる。効率が悪いから安い賃金しか払えないという場合もあろうが、逆に競争が激しかったり大企業に買いたたかれたりして、製品に見合った対価を得られないので賃金も安くしか出せない場合も多い。文字通り生産性が低い場合もあれば不利な条件下に置かれていて生産性が低く見える場合もあるわけである。

(2008年8月14日収録)


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