日本の広告費の総額や内訳については、我が国を代表する広告代理店である電通が集計し公表しており、政府の統計集などにも、これが採用されている。

 2013年の日本の広告費は、5兆9,762億円であり、GDP比1.25%であった。広告費がGDPと比例して増減するのは当然であるが、間接費としての役割から、またご祝儀相場的な側面をあわせもつ広告というものの性格上GDPよりも振幅が激しくなると考えられる。

 バブル経済期の1990年には対GDP比が1.26%のピークを記したが、その後の景気低迷で93〜94年には1.06%まで落ち込んだ。その後は、ゆるやかに回復し、近年は横ばい状態にあったが、2008年以降、世界的な経済低迷に突入したことにより3カ年にわたって大きく落ち込んだ。その後、11年横ばい、12年やや回復となった。12年の回復は前年大震災の影響による自粛からの反動、及び同年夏のオリンピックの影響があろう。13年も対GDP比が上昇したのは2014年「4月の消費税増税前の駆け込み需要を取り込もうとする戦略もあり、広告を出す動きが13年後半にかけて活発になった」(東京新聞2014.2.21)ためもある。

 媒体別には、新聞、テレビなどのマスコミ広告費と折り込みチラシ、車中広告やダイレクトメールなどのプロモーションメディア広告費、及びインターネット広告費(モバイル広告を含む。05年からサイト制作費等を含めた値が公表。)に大別されるが、テレビの増加とその後の横ばい、最近ではインターネットの急増、そして新聞広告費の縮小傾向が目立っている。

 90年当時はテレビと新聞は広告費でそれほどの違いはなかったが、最近では、テレビが新聞の3倍近くの広告費となっており、対照が著しい。

 もっともテレビも10年はやや回復したが09年まで5カ年連続して広告費を減少させており、同じく連続して広告費を減少させている新聞、雑誌、ラジオとともにマスコミ広告費は総じて退潮が否めない。2011年のテレビ広告費は0.5%減と減少幅が小さかったが、これは震災後に企業が広告を自粛した反面、ACジャパンが穴埋めするかたちとなったためである。

 2004年の特徴として報じられたのは、増加を続けるインターネットの広告費が、ブロードバンドの普及を背景に、1,814億円とはじめて既存メディアのラジオ広告費の1,795億円を上回ったことであった。折しも、インターネット・メディアのライブドアがラジオ放送会社であるニッポン放送に対して、M&Aを仕掛け、ニッポン放送を含むフジ・サンケイ・グループ全体が防御措置を講じていたが、その背景をなす経済環境の変化をあらわしている。

 その後も引き続き、インターネット広告費が急増しており、2007年には6,003億円と雑誌広告費を抜き去り、2009年には7,069億円と新聞広告費の6,739億円を上回る伸びを示している。その後も引き続きインターネット広告費の伸びは他のメディアを上回っている(金額規模の小さな衛星メディア関連広告費は除いて)。

 この他、新たな媒体としてフリーペーパー・フリーマガジンも拡大傾向ないし相対的拡大傾向にあり、2009年には雑誌全体と広告費でほぼ同格となったが、その後は雑誌とパラレルに退潮傾向にある。。

 国民の平均メディア利用時間が新聞をインターネットが上回っており、こうした変化が広告費にも影響していると考えられる(図録3960参照)。

 新聞が凋落しインターネットが伸びている状況は日本だけでなく米国でも同じである(下図参照)。ここでは年次が1949年からと長い期間にわたっており、テレビが登場する前の新聞の圧倒的シェアが示されているだけに新聞の凋落がそれだけ際立って見える。また米国ではインターネットがテレビをも上回っている状況が示されており、日本の将来を指し示しているとも考えられる。



 インターネット広告費の日米比較について図録5655参照。

 なお、英エコノミスト誌によると英国の場合も2009年にインターネット広告費がテレビ広告費を上回っている。「英国では、テレビ広告比率の人為的規制の影響があるものの、テレビ広告費をオンライン広告費が今や上回っている。」(The Economist May 1st 2010)

(2005年3月19日収録、12/23コメント追加、2006年2月21日・2007年2月21日、2008年2月21日更新、2009年2月24日更新、2010年2月23日更新、5月19日英国情報追加、2011年2月24日更新、2012年2月23日更新、12月24日米国メディア別シェア推移追加、2013年2月22日更新、2014年2月21日更新)

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