ギャンブル(賭け・賭事)を運営する者(胴元)が、賭ける者に配分せずに、自ら取得する割合を控除率という。テラ銭の割合(胴元の取り分)といった方が分かりやすい。宝くじやスポーツくじまで含めたギャンブルの種類によって、この控除率がどのように異なっているかをグラフにした。

 控除率は通常%であらわされるが、ここでは、分かりやすくするため、千円賭けたときに減っていく金額で表示している。

 日本では、賭博は刑法で禁止されている。ただし、特別法に基づいて、国や地方公共団体が行う公営ギャンブルのみが認められている。公営ギャンブルは、地方財政のため、あるいは畜産の振興等(競馬)、機械産業の振興等(競輪・競艇・オート)、スポーツ振興等(サッカーくじ)のために行われるというタテマエになっており、そのため、丁半、パチンコといった非合法・半合法のその他ギャンブルより、ずっと控除率は高い。また控除率の低い欧米等の合法カジノの種々のテーブルゲームと比べても控除率の高さが目立っている。なお、公営ギャンブルでは「控除率」という用語よりも控除率と裏腹の関係の「払戻率」という用語が用いられるので注意が必要である。

 また公営競技の25%というテラ銭は、実は世界的にも高額な部類で、例えば米国競馬のテラ銭は21%、英国ブックメーカーは平均23%、ドイツでは24%ともいわれる(参照:競馬ブック03年11/23号)。

「カジノのテーブルゲームで、比較的控除率の高い(つまり客に不利な)とされるアメリカ式ルーレットの控除率は5.26%であり、1回に1000円ずつ2時間程度(約40回)賭け続けると、平均して2104円負ける結果となる。しかし、2時間の映画を観て2000円払うよりもルーレットを楽しみたい人がいるならば、それで良いのではないか。...宝くじは論外として、日本の公営ギャンブルの25%という控除率は完全に搾取のレヴェルであって、国民から健全な娯楽の機会を奪い取っているのである。...より健全な競争者としてのカジノ参入が待たれる理由なのである。」(谷岡一郎「ギャンブルフィーヴァー―依存症と合法化論争 」中公新書(1996))

 賭事をアミューズメント産業としてとらえるこうした見方が、「経済活性化」や「ギャンブルの健全化・天下り廃止」などと並んで、ギャンブル解禁論、カジノ合法化論の重要な根拠となっている。

(原データ)ギャンブルゲームの控除率(テラ銭の割合)
  控除率 1000円賭ける毎に減っていく金額(平均)
宝くじ(日本) 52〜56% 540円
サッカーくじ(スポーツ振興くじ、toto) 50%前後 500円
公営競争(競馬・競輪・競艇・オート) 25% 250円
キノゲーム、ビンゴ 約20% 200円
パチンコ 10〜15% 100〜150円
軍鶏賭博 10% 100円
スポーツ(トトカルチョ、パーレイ) 5〜8% 50〜80円
ルーレット(アメリカン) 5.26% 53円
丁半、アトサキなど 5% 50円
手本引(ヤマポン、ソウダイ張り) 3.33% 33円
スポーツ(ラインベット) 約2% 20円
クラップス(パスライン) 1.414% 14円
ルーレット(欧の一部) 1.351% 14円
バカラ(バンク) 1.36% 14円
バカラ(プレーヤー) 1.17% 12円
クラップス(パスライン+ダブルオッズ) 0.572% 6円
クラップス(パスライン+10倍オッズ) 0.184% 2円
仲間うちの麻雀(場代は除く) 0 0円
ブラックジャック(カウンティングつき) (場合により子に有利)  
(注)公営競争のうち中央競馬は18%〜26.2%(JRAのHP)。その他の公営競技は2012年改正により施行者の判断でレースの控除率の上限を25%から30%に引き上げ可能となった。
(資料)谷岡一郎「ギャンブルフィーヴァー」中公新書(1996)(ただし「サッカーくじ」や(注)の記述は最近の資料)

 公益法人の事業仕分けが進んでいる中、これに関して、宝くじの当選金以外が公益法人に定常的に流れ込んでいる実態が総務省の資料に基づく新聞報道で明らかになった(毎日新聞2010年5月17日)。

 これによれば、2008年度の宝くじの売上げ1兆419億円のうち当選金は4,761億円、45.3%であり、それ以外は収益金4,178億円、経費1,480億円であり、控除率は54.7%となっていた。

 報道によれば収益金は全額都道府県・政令市にいったん流れるがそのうち82億円が全国市町村振興協会などに流れ、さらにそのうち71億円が国所管の公益法人に流れる。経費のうち98億円は自治総合センター、183億円は日本宝くじ協会に「委託宣伝費」として流れ、さらにそのうち自治総合センターから12億円、日本宝くじ協会から39億円が国所管の公益法人に流れる。再委託、再交付の形で資金が流れる国所管の公益法人は122法人となっている。

「日本宝くじ協会から「宣伝」を再委託された公益法人が実施した業務は、本来の趣旨との関係性が不透明なものが多い。08年度に5990万円を受けた地方公務員等ライフプラン協会は地方公務員の生活設計をアドバイスする機関誌を発行。2300万円を受けた日本地下鉄協会は、沿線ガイドや広報誌「SUBWAY」を作成した。630万円の日本キャンプ協会は大型テント4種、315万円の日本カヌー連盟はカヌーポロ艇を購入したという。こうした機関誌やテントなどには「宝くじの売り上げから助成を受けた」などと表示され、宝くじ協会は「当せん金付証票法で『住民理解を深める』ための事業ならば宣伝として認められる」と説明している。」(同上)

 一次的、二次的に資金を受け取る125の公益法人への天下りは常勤役員だけで133人(08年12月時点)にのぼっているという。

 控除率の低い新しい公営ギャンブル事業が成立しにくい背景の一端がうかがわれよう。こうした中で、公営ギャンブルの舞台である公営競技の観客数、売上高が低迷してきている状況jについては図録3977参照。

(2007年3月23日収録、2010年5月17日毎日記事引用、2012年5月10日(注)の変更、コメント追加)


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