1983年4月15日に開演した東京ディズニーランド(TDL)のアトラクション数の推移を掲げた。アトラクションの中でも青年男子が楽しめそうな主要アトラクションの数と各アトラクションの存続期間を合わせ図示した。

 この図録の原資料である堀井憲一郎(2006)「若者殺しの時代 」によれば、東京ディズニーランド(TDL)開園当時男子大学生が楽しめるようなアトラクションは少なく、ディズニーの想像ワールドに浸ることの出来る子ども、あるいは女子以外にとっては、別に楽しくもない場所だった、という。

 堀井氏の主張は、1980年代に、家族、村といった従来の共同体に基づく我々の幻想がバラバラにされ、大掛かりな金儲けラインが作り出す幻想に取って代わられ、「そのお金儲けラインは、女の子が希望する方向にばかり延びていったのだ。女の子の希望方向ばかりに延びると、男の子が苦しくなり、まわりまわって女の子まで苦しくなってくる。」というものである。

 そして、その事例として、恋人同士で過ごすクリスマス、回転ベッドのないラブホテル、お茶や水の販売などと並んで、東京ディズニーランドがあげられているのである。堀井氏によれば、当初、これらには、若者の世界や若者の居場所が広がるというわくわくするような錯覚があったが、そのうち、女の子のご機嫌取りに要する費用が義務化し、それを負担できない若者は女の子とのつきあいから疎外され、女の子もご機嫌取りをしてもらえる男の子を見つけにくくなる。その結果、一部の金持ちや美女以外、若者の居場所はなくなってくる。これが「若者殺しの時代」という訳である。図録2792で見たように若い恋人同士の暴力(DV)が増えているのもこうした動きと無関係ではなかろう。

 東京ディズニーランドには、こうしたご機嫌取りの青年男子のためのアトラクションも増えてきたというのがグラフの趣旨である。各アトラクションには、性やカネと関係した背景があるからこそ、これだけ関心を呼ぶのであろう。

 こんなことにこんなに費用をかけていると自らの首を絞めることとなるというテーマは、この図録でもいくつか取り上げた。図録2450「男性未婚者の年収と未婚女性の期待のギャップ(少子化要因)」では、この自ら首を絞める様子を図示した。携帯電話の支出金額の問題(図録6365)も背景は同様である。茶髪については美容師数の急増や日本女性のファッション傾斜と関連づけて図録3550でふれた。

 1980年代を境に日本社会が変わってしまったという点については、堀井氏に賛同する。1980年代に離婚と景気が関連するようになったからである(図録2780参照)。

 堀井氏はデータ収集と分析を行うばかりでなく、若者たちに、苦しい時代を生きる処方箋を提示しているので、ここまで分析結果についてふれたのだから、処方箋の方も紹介しておくのが礼儀であろう。「若い人が居場所を確保する可能性は二つ。一つは、この社会を破壊すること。もう一つは、社会から逃げること。破壊は大変だ。豊かな世界は壊しにくい。逃げるには、一つは伝統文化を身につけることだろう。とにかくいまのシステムをやわらかく否定するしかない。」すなわち伝統の技を身につけた職人になれということである。「カラダを使って、あとは勘と度胸で乗り切ってくれ。」

 ここで取り上げた主要アトラクションは、スペースマウンテン、ホーンテッドマンション、ジャングルクルーズ、カリブの海賊、シンデレラ城ミステリーツアー、ビッグサンダーマウンテン、キャプテンEO、スターツアーズ、スプラッシュマウンテン、ロジャーラビットのカーツーンスピン、ミクロ・アドベンチャー!、プーさんのハニーハント、センター・オブ・ジ・アース、インディージョーンズ・アドベンチャー、ストームライダー、マジックランプシアター、バズライトイアーのアストロブラスター、レイジング・スピリッツ、タワーオブテラーである。

(2006年5月5日収録、5月6日追加、2008年10月10日茶髪についての参照追加)


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