厚生労働省が毎年行っている国民健康・栄養調査では、2012年に、通常より大規模に調査を行っており(歩数を調べている栄養摂取状況調査では通常年は8千人のところ、この年は3万2千人を調査)、いくつかの項目では都道府県別の結果が公表されている。ここでは、一日に歩く歩数を都道府県別に調べた結果を取り上げてみよう。県別の平均年齢の差によるちがいは年齢調整によって取り除かれている。

 図には、X軸に男性、Y軸に女性の歩数をとった散布図を掲げた。

 まず、気づくのは、男性の県別分布は6000〜9000歩と3000歩のレンジがあるのに、女性は6000〜7500歩と1500歩と半分のレンジとなっている点である。男性の方が女性より歩く歩数のちがいが大きいのである。男性の方が仕事や通勤手段がまちまちなので歩数のちがいも女性より大きいのではないかと思われる。

 次に、気づくのは、男女で歩数は比例していない点である。男女がともによく歩いたり、歩かなかったりする県とは別に、男だけ、あるいは女だけよく歩いたり、歩かなかったりする県があるのである。地域環境のちがいや県別の男女の気風のちがいなどが左右しているのだと思われる。

 最後に、県別の特徴を地域をグルーピングしながら記述してみよう。

 男がもっとも歩くのは兵庫県、女がもっともあるくのは千葉県である。この2県は、男女がともによく歩く県である。男女がよく歩く県としては、東京圏の千葉、東京、神奈川、埼玉、関西圏の兵庫、滋賀、中京圏の岐阜と東京を除くと大都市近郊県が多くなっている。これらの地域では、公共交通機関を利用した通勤が多く、その途上でかなり歩くのではないかと考えられる。このグループには、福島と沖縄が含まれているが、この2県の男女がよく歩くのは、また、別の理由であろう(何故なのかは分からない)。

 男女ともに歩かない県としては、最も女性が歩かない秋田をはじめ、青森、山形、北海道などの北海道・東北地方、及び、鹿児島、熊本、高知、和歌山といった西南日本の諸県が含まれる。通勤や買物などでのクルマ移動への依存度が高いためではなかろうかと思われる。長崎もこのグループであるが離島が多いことも影響していよう。

 女はそれほど歩かないが男がよく歩く県は、福岡、大阪、宮崎などである。福岡や大阪は公共交通機関での通勤の影響が考えられるが、鹿児島や熊本と共通する環境なのではと想像される宮崎で男がよく歩くのは何故なのだろうか。宮崎は男がよく歩く割には、女が歩かない点でも目立っている。まさかとは思うが、宮崎県民は狩猟採集時代の伝統を色濃く残しているのだろうか。

 男はそれほど歩かないが、女がよく歩く県は、静岡、京都、三重、香川、大分、長野といった県である。また、女はけっこう歩いているのに男が歩かない県としては、鳥取、宮城があげられる。

 男と女が歩く歩数は、ほとんどの県で男が女を上回っている(女が男を上回っている点で目立っているのは宮城、鳥取、大分)。これは基本的には収入を得るための仕事をしている割合(就業率)が男の方が高いからであるが、もとをただせば、人がサルから人になった長い狩猟採集時代に男が遠くまで出かけることもある狩猟、女が居住地周辺での採集・料理という分業が行われていたからであろう(図録1019)。

 なお、同じ国民健康・栄養調査の2012年調査の結果から、各県のBMIを被説明変数、歩数を説明変数とする回帰分析の結果は以下である(ただし、両変数とも年齢調整済み、またBMIは男性20-69歳、女性40-69歳の値)。歩数が増えれば、BMIが下がる関係にあるが、あまり相関が強いとはいえない。

男: y = -0.0002x + 25.075 R2 = 0.0633
女: y = -0.0004x + 25.045 R2 = 0.0747

(2014年7月23・24日収録、8月1日雪の日は歩かないという意見もあったので調査時期を図の(注)で明示、8月8日コメント補てい)


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