都道府県別の開廃業率、失業率の相関

 経済の活性化にとって創業者精神がますます重要となっていることから、企業の開廃業率に関心がもたれている。我が国全体として開廃業率が両方とも低下しながら、開業率が廃業率をますます下回る傾向にある。中小企業白書では、創業者精神にあふれた中小企業の活力が国全体の活力につながるという観点から、毎年、企業や事業所のこうした開廃業率の動きを追い、開廃業率低下の分析を行っている。2003年版の中小企業白書では地域別の開業率について分析し、大都市圏は開業率が高く、「都市部以外の都道府県では、全体的に開業率が低い水準となっている」というまとめ方をしている。

 図録ではまず都道府県別の開業率と廃業率の相関をみた。開廃業率は事業所の1996年から2001年にかけての動きから算出した。すべての都道府県で開業率より廃業率が高くなっており、景気低迷の影響が全国に及んでいることがうかがえる。

 また、開業率が高い地域ほど廃業率も高く、両者は相互に関連し合っていることがうかがえる。それでは開廃業率が高い地域ほど活性化している地域なのであろうか。

 開廃業率が他の都道府県と比べ、ともに高いことで目立っているのは沖縄県である。大阪府、福岡県、東京都、神奈川県といった大都市圏においても開廃業率ともに高い傾向にある。大都市圏ほど開業率が高いという上記の中小企業白書の結論は沖縄県や北海道、宮崎県といった地域を除外すればあてはまるように見える。

 次ぎに都道府県別の開業率と失業率を相関させた図を描いた。これで見ると沖縄県を典型として、おおむね、失業率が高い地域ほど開業率が高いという傾向が成り立っている。これは考えてみればうなづける事実である。失業率が高いということは求職者数に対して職場が少ないということであり、そうした地域では余り収入にならなくとも何もしないよりましなので店屋などを開業する人も多くなるのである。こうした地域では事業所が増大していく経済環境にはないため、開業する人も多ければ廃業する人も多く、その結果、廃業率も高くなるわけである。

 大都市圏で開業率が高く、都市部以外で開業率が低く見えるのは、実は、都市部では失業率が高いという傾向があるからである(図録7360参照)。大都市圏以外でも、失業率が高い沖縄県や北海道、宮崎県では開業率が高く、逆に、大都市圏でも、自動車産業を中心に経済が好調で失業率も低い愛知県では開業率はそれほど高くないのである。

 時系列の動きでは景気が悪化して失業率が高まる一方で開業率は低下してきているので、両者はマイナスの相関であるが、地域のクロスセクション(横断分析)では、むしろプラスの相関なのである。地域構造が維持されたまま、地域全体として開業率が低まっていると考えれば、時系列とクロスセクションの結果は矛盾しない。

(2004年11月5日収録)


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