あなどれない地方の経済力

 都道府県や市町村の経済力を示す指標としては、GDPにならって、毎年、地域別に計算されている域内総生産額が使われることが多い。都道府県が自県経済について計算している数値が、全都道府県について公表されているほか、多くの都道府県では、「市町村民所得」あるいは「市町村民経済計算」という名称で、域内市町村についてもデータが公表されている。

 図にかかげたのは、愛知県の市町村の市町村内総生産とIMFが発表している国別のGDPのデータから、各市町村の経済規模が、世界のどの国とほぼ同等かをしめした地図グラフとそのもとになったデータを示した棒グラフである。

 都道府県と世界の国との対応については図録4550参照。

 愛知県の中で最も経済規模の大きいのは、名古屋市の11.6兆円であるが、これは、ほぼ、ハンガリーのGDPに匹敵している。最も経済規模の小さいのは豊根町の29億円であるが、これは、ほぼ太平洋の立憲君主国であるツバルのGDPに匹敵している。

 このほか、経済規模の高い順に、目立った対応の例をあげると、

 豊田市 パナマ
 一宮市 カンボジア
 東海市 ラオス
 稲沢市 モンゴル
 知立市 サンマリノ
 東浦町 ブータン
 南知多町 サモア
 東栄町 キリバス

などである。こうした市町村が同等経済規模の国と友好を深めるというのも地域振興策のひとつのアイデアかも知れない。

 愛知県全体の県内総生産は31.6兆円であり、これはほぼ南アフリカのGDPに匹敵している。都道府県の経済規模と同等な国の対応は、一昨刊行した「統計データが語る 日本人の大きな誤解」(日本経済新聞社)や図録4550に掲載していますので、興味のある方はご覧ください。

 なお、以上は、2010年のデータであり、海外の経済規模は同年の為替レートで換算した数字を使っている。2010年当時は円高だったので、円安となった現在では、海外のGDPの評価は上がっている。従って、同等経済規模の国も、当然、現在は変化している。

 また、各地域、各国ともに景気変動の影響を受けている点も見逃せない。例えば、自動車産業の中心地である豊田市の市内総生産は2007年度には4.7兆円のピークを記録したものの、その後、リーマンショックの影響などにより大きく減少し、2010年度には2.6兆円にまで落ち込んだ。ピーク時であれば、豊田市の経済力は、ルクセンブルクかベラルーシ並みだった筈である。

 こうした点に注意して、データを評価し、使用する必要があるといえよう。

 取り上げた愛知県市町村名は、名古屋市、豊田市、岡崎市、豊橋市、一宮市、春日井市、安城市、小牧市、刈谷市、西尾市、豊川市、東海市、稲沢市、半田市、みよし市、知多市、瀬戸市、碧南市、田原市、幸田町、大府市、犬山市、清須市、蒲郡市、北名古屋市、日進市、江南市、尾張旭市、新城市、豊明市、常滑市、弥富市、長久手市、あま市、津島市、高浜市、武豊町、知立市、大口町、東浦町、愛西市、東郷町、岩倉市、飛島村、蟹江町、豊山町、扶桑町、美浜町、阿久比町、大治町、南知多町、設楽町、東栄町、豊根村であり、これらと対照させた国は、ハンガリー、パナマ、ホンジュラス、ジャマイカ、カンボジア、パプアニューギニア、モザンビーク、マダガスカル、マルタ、バハマ、ジンバブエ、ラオス、モンゴル、タジキスタン、ギニア、スリナム、バルバドス、モンテネグロ、スワジランド、モーリタニア、フィジー、トーゴ、東ティモール、シエラレオネ、ガイアナ、レソト、モルディブ、エリトリア、ブルンジ、中央アフリカ、サンマリノ、カボベルデ、ブータン、ベリーズ、リベリア、セントルシア、ジブチ、セーシェル、ガンビア、ギニアビサウ、グレナダ、バヌアツ、ソロモン諸島、サモア、マーシャル諸島、キリバス、ツバルである。

(2015年5月29日収録)


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