2009年に「少なくとも県外」を掲げた鳩山首相の民主党新政権となって普天間基地の移設問題が暗礁に乗り上げ、米兵の不祥事、オスプレイ強行配備などによって本土と沖縄の間に溝が深まっている。

 ここでは、NHK放送文化研究所が継続的に行っている沖縄県民調査、および2012年に行われた同一設問の全国調査の結果から、本土の人と沖縄の人との相互理解の状況がどうなっているかを図録にした。2012年の沖縄県民調査および全国調査は5月15日の沖縄本土復帰40周年に先立つ2月に20歳以上沖縄県民及び全国民を対象に行われた。資料はNHK放送文化研究所「放送研究と調査」2012年7月号である。

 まず、「本土の人は沖縄の人を理解しているか」について沖縄県民の意識がどう推移してきたかを見てみよう。1972年の本土復帰後、1987年までは、本土の人の沖縄理解について深まりつつあると沖縄県民は考えるようになった。もっとも1987年になっても「理解していない」の割合が48%と「理解している」の45%を上回っていた。

 ところが、1987年をピークに沖縄への本土の人の理解度は低まったと沖縄県民はますます考えるようになった。とくに民主党への政権交代をはさんだ2002〜12年にはこうした傾向が一層強まった。2012年には71%の沖縄県民が本土人の無理解を感じるようになった。これは過去のピークの1977年の62%を大きく上回っている。

 一方、参考までに、本土復帰の評価について、時系列推移を掲げた。これを見ると、本土復帰後1977年までは本土復帰に対して評価しない沖縄県民が多数派を占めていたが、1982年以降は、逆に、本土復帰を評価する県民が多数派を占め、1987年以降は、ほぼ8割前後となった。本土復帰への肯定的評価は民主党政権になっても揺るいでいない。

 沖縄にルーツのある佐藤優はそうあって欲しいかのように本土人と日本政府の無理解から沖縄が日本から独立する懸念があるとしばしば警告を発しているが、沖縄県民の「理解されていない」感の増大がもしついに本土復帰へのマイナス評価に結びついたときにはスペインのカタロニアのような独立に向けた動きに発展する可能性があるといえよう。

 2012年調査では同じ設問で全国調査が実施された。これを見ると沖縄県民だけでなく、国民全体も、同じ程度に、沖縄の人への理解が不十分と感じていることが分かる。この点では意識が共通であるところに何らかの望みを託することも不可能ではないだろう。なお、本土の人の沖縄の人への理解ではなく、沖縄の人の本土の人への理解については、沖縄県民は分かっているよと考える者の割合が、国民全体が考える割合より高くなっている。私たちはあなたたちが考えていることは分からないよという沖縄県民がもっと増えたら危機は一層深まると言えるだろう。

(2013年2月23日更新)


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