東日本大震災が起こり、東京の臨海部では、浦安で液状化被害が大きく報道されたほか、ベイエリアの新木場、豊洲、お台場などでも液状化で道路が土砂で埋まるなどの散発的な被害が生じており、計画停電で47階の居室まで30分かかって階段を上る必要が生じたことも報じられた(東京新聞2011.4.3)。こうした臨海部の超高層マンション居住の安全性に注目が集まったのは当然ともいえる。しかし、私見では、東日本大震災のインフラによる津波対策としては、高台移転や高い堤防が一般にあげられるが、むしろ、臨海地区をタワーマンション化した方がよいのではないかとも考えている。

 高層、超高層に至るまで階数別にビルを把握している東京消防庁のデータによれば、30階以上の建築物を高層ビルとしてとらえると、2000年より前には高層ビルの数は70台であったのに対して、15年後の2013年末には292と4倍以上の大きな増加となっている。

 以下に高層ビルの都内分布の状況についてコメントする。

 都心部の高層ビル(高層建築物)は、千代田区の丸の内署管内(以下、管内を略す)の23、麹町署10に含まれている。副都心については新宿副都心は都内で2番目に高層ビルが多い新宿署の33に含まれ、渋谷副都心は渋谷署8、池袋副都心はサンシャインビルなどが属する池袋東口方面の豊島署6と西口方面の池袋署4に含まれている。

 新宿署の高層ビルは、1998年の段階では、23と都内で他を圧倒して多かった(2位であった中央区臨港署の9の2倍以上)。新宿には1971年の京王プラザホテルを皮切りに超高層ビルが挙って建設され、東京都庁が1991年に有楽町からこの地に移転した頃にはすでに都内随一の座を確立していたといえる。

 こうした東京の都心、副都心の高層ビルが業務ビル中心であるに対して、最近は、東京湾岸部(ベイエリア)の居住向け超高層マンション(タワーマンション)の増加が著しい。消防署管内毎の高層ビルの数は、2013年末には、港区の芝署(新橋・虎ノ門・浜松町の業務地区と湾岸部芝浦・海岸・台場の超高層マンション群を含む)が40と新宿署を抜いてトップに躍り出ている。

 都心、副都心以外で高層ビルが多い消防署を見ると、いずれも湾岸部である(隅田川沿いの南千住の再開発地区を含む荒川区荒川署は例外)。湾岸部を東から西に見ていくと、

・江東区深川署(豊洲、東雲を含む) 32
・中央区臨港署(月島、晴海を含む) 25
・港区芝署(芝浦、海岸、台場を含む) 40
・港区高輪署(品川駅周辺と港南を含む) 21
・品川区品川署 10

となっている。これらが、都心回帰の受け皿として1990年代後半からの東京の人口増をもたらしたことは確かであろう(図録7680参照)。

 消防署管内の構成エリアについては、東京消防庁のHPを参照されたい。

 参考のため、港区の芝浦港南地区(芝署、高輪署にまたがる)の代表的な高層マンションについて以下に紹介する。

代表的な港区芝浦港南地区の高層マンション

□芝浦アイランド(芝浦4丁目)
 以前、都電の修理工場などがあった四方を運河で囲まれた地区で、都市基盤整備公団(現・都市再生機構)と三井不動産が中心となって進めた街区開発である。分譲・賃貸合わせ約3,800戸のグレードの高い共同住宅の他、商業施設(大丸ピーコックなど)、フィットネス施設、クリニックモール、幼稚園・保育園一体化施設などから構成され、2008(平成20)年9月全体竣工した。島を一周する遊歩道のほか、お台場、豊洲と結ぶ水上バス「アーバンランチ」の発着所がある。以下の4棟の超高層マンションからなる(三井不動産HPより)。

・ケープタワー 分譲住宅、48階建て、1,095戸、2006(平成18)年12月竣工
・グローヴタワー 分譲住宅、49階建て、833戸、2007(平成19)年3月竣工
・エアタワー 賃貸住宅、48階建て、871戸、2008(平成20)年3月竣工
・ブルームタワー 賃貸住宅、48階建て、964戸、2008(平成20)年9月竣工

□ワールドシティタワーズ(港南4丁目)
 住友不動産が分譲している大規模超高層マンションであり、42階建、アクアタワー(A棟)・ブリーズタワー(B棟)、キャピタルタワー(C棟)の3棟2,090戸からなる。総戸数2,090戸は、単一事業主一団地認定民間分譲マンションにおいて日本最大。2007(平成19)年2月に全体が竣工した。棟内店舗としては、スーパーマーケット・マルエツ(24時間営業)、総合クリニック、歯科医院、認可保育園、カフェ、調剤薬局、クリーニング店がある。

□シーリアお台場(台場1丁目)
 都営住宅、都住宅供給公社、都市再生機構(旧住都公団)の賃貸住宅

・シーリアお台場三番街 1996(平成8)年3月開業、33階建て
・シーリアお台場五番街 1996(平成8)年4月開業、14階建て
・シーリアお台場一番街 2001(平成13)年3月開業、32階建て

□ザ・タワーズ台場(台場2丁目)
 民間会社(オリックス・リアルエステート、東京建物、阪急不動産)による分譲賃貸マンション、33階建て、525戸、2006(平成18)年8月完成

(資料)各住宅会社HPなど

(2011年4月4日収録、2013年1月9日更新、2015年5月13日更新)


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