日本で働くフィリピン人は2000年国勢調査によると4万2,492人である(10月1日現在)。同調査によると働いていない子供や女性を含むフィリピン人の総数は9万3,662人となっており、外国人登録の14万人(2000年末、図録1180参照)よりは少なくなっている。

 国勢調査のフィリピン人就業者を産業別に見ると、商業・飲食店が最も多く、製造、サービス、建設がこれに続いている。職業別就業者数では、販売職1,595人に対して、サービス職は13,241人、専門職・技術職は4,207人と圧倒的に多くなっており、商業・飲食店の内実はほとんどスナック、バー等を含む飲食店と見られる。2000年末の外国人登録数を見てもフィリピン人の在留資格は「日本人の配偶者」4万6千人に次いで「興業」が4万4千人と多くなっており、歌手、ダンサー等として飲食店あるいはサービス業に属する劇場、興業団体などで働いている者が多いと考えられる。

 この点に関しては、法務省がフィリピン政府が芸能人と認定した人に「興行ビザ」を出してきた運用を05年からやめる政府方針が報道された(朝日新聞04年12月14日)。これは、同紙によると、歌手、ダンサー、スポーツ選手などを対象とする「興行ビザ」は、法務省令で「外国政府・機関の認定」か「2年以上の専攻か経験」が必要とされているが、96年に設けられた「外国政府・機関の認定」によるビザ発給について、認定証を出している国はフィリピンだけであり、03年「興行」資格で在留した13万人のうちフィリピンが8万人と6割を占め、事実上のフィリピン優遇策となっている。ところが、04年9月の政府現地調査によるとフィリピン政府の芸能人としての認定は非常に甘く、結果として、ショーなどの芸能活動ではなく、ホステスとしてのサービスや場合によっては売春に結びついている実態を招いていると考えられることから、今回の見直しとなったものである。「国連や米国、フィリピンの人権団体から、暴力団などが外国人女性に売春・労働を強制して資金源とする人身売買を放置しているとの批判が強まってきた」という事情が背景にある。

 フィリピン人労働者の性別では女性が4分の3を占めている。男性の場合は、製造、建設が多くを占めており、女性とは職場構成がかなり異なっている。

 こうした点は、日本にいるフィリピン人の人口ピラミッドが特定年齢層の女性に片寄っており、他の外国人と比べて特異なかたちをしていることにも反映している(図録1187)。

 途上国アジアの中ではいち早く工業開発による経済発展が進んだマレーシアでは自国以外のアジア人が多く働いている。マレーシアでは日本よりフィリピン労働者が4割多い(図録8150参照)が、そこでは、フィリピン人の多くが「家事サービス」に従事している(吉村真子「マレーシアの経済発展と労働力構造―エスニシティ、ジェンダー、ナショナリティ 」法政大学出版会、1998年)。

 マレーシアにおける他の外国人労働者は、インドネシア人、タイ人の場合は、農園、建設での労働が多く、バングラデシュ人の場合は、工場労働が多く、それぞれの出身国によって職場構成に大きな違いがあることがうかがわれる。

(2004年12月24日収録)




サイト内検索
図録書籍 図書案内




既刊第1弾


既刊第2弾