米国が世界の中でも小火器保有率の格段に高い銃社会となっている点については図録9365でふれた。銃社会の米国では自殺も銃によるものが半数を占めている(自殺手段に関する図録2747)。ここでは、米国の州ごとの銃保有率と自殺率との相関図を掲げた。これは、自殺率の国際比較に関する図録2770の中で米国の自殺事情にふれた際にも参照したものである。

 図には、銃の保有率の高い州ほど自殺率が高くなっている状況が明確に示されている。

 この図から、米国の中でも地域によって銃保有率がかなり異なることも分かる。モンタナ、アラスカ、ワイオミングといった州では自殺率が非常に高いが、銃保有率も60%以上と非常に高くなっている。これに対して、ハワイ州や首都ワシントンDCでは10%未満とかなり低くなっている。

 こうした地域分布は、地域の政治的な状況とも相関している。2016年データにもとづく米国の自殺状況を扱った英国エコノミスト誌の記事では自殺率の地域分布についてこう述べている(図に掲げた2013年データとパターンは変わっていないようだ)。

「農村部の自殺率は大都市より78%も自殺率が高い。最も人口密度の低いアラスカ州やモンタナ州は最悪の状況にあり、米国の中で最も自殺率の低いワシントンDCの5倍の高さとなっている。そして、自殺数の増加はすでに高率となっている州ほど急速なので格差は拡大しつつあるのである。

 自殺率と大統領選における共和党得票率とは強い相関がある。ニューヨーク州やマサチューセッツ州といった民主党が根強い東海岸の州では自殺率ももっとも低い傾向がある」(The Economist March 31st 2018)。

 これに続いて、銃器による自殺の成功率が高いことが米国における自殺増加の背景になっているという点が述べられているのであるが、これについては図録2747に記載したので参照されたい。また、共和党支持州(レッドステート)と民主党支持州(ブルーステート)の地域対比については図録1710(所得・寿命)、図録8795(聖書・宗教・暴力)参照。

(2018年4月20日図録9365から分離独立させ収録)


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