個人の思い出であるが、かつて学生運動が盛んな1970年代に世界各国の離婚率の統計を見て米国とソ連が世界の中で最も高い国であることを知ってにわかに悟った気になったことがある。すなわち、世界の中で対立しているように見えて、米国とソ連はその他の諸国と異なり、同じように革命的な民族ではないか。普通の国は結婚という習慣に拘泥しているのに、米ソはともにはるか文明史上の先を行っており、私の当時の感じ方では、ともに英雄的な国であると思ったのである。

 こうした記憶を現状でもう一度確かめてみるため世界各国の離婚率を図録にしてみた。

 やはり米国とロシア、ベラルーシ、ラトビア、リトアニアといった旧ソ連諸国が世界の中でも高い離婚率となっている(ウクライナは以前は2007年に3.8と高かったが今はかなり低い)。キューバ、チェコといった(旧)社会主義国もこれら諸国に次いで離婚率が高い。

 日本は第36位とかつてより離婚率が上昇したとはいえ世界の中ではそう高い水準ではない。

 なお、隣国の韓国は離婚率が上昇しており、この図では世界第17位とアジアの中で最高の離婚率となっている。中国は1.8となお低いが1998年の0.95と比較すると上昇傾向にあるようである。

 世界の中でも離婚率が低いのはラテンアメリカ諸国やイタリアなどカソリック諸国である。ただしスペインは2.2と世界第21位であり、2000年の0.98から急上昇しており社会変化が著しいようである(なお図録1171にスペインの移民人口の急拡大を見ている)。

 主要国の離婚率の推移については、図録9120参照。

 もともとの国連統計に記載がないため、図には東南アジア諸国の離婚率が掲載されていないが、社会人類学者の中根千枝によれば、米国並みに高いという。

「アメリカにおける離婚率の高さがよくひきあいに出されますが、むしろ、さきにあげたカシ族(アッサム地方)や東南アジア諸社会の、全体の既婚者の約三分の二が離婚経験者であるということはあまり知られていません。この高い離婚率は私たちを驚かせるものですが、あるアメリカの精神分析学者の意見では、本当にうまくマッチして安定した結婚生活をもちうる率というものは、全体の結婚数の三分の一くらいであろう、とのことです。この点、社会的制約がもっとも少ない東南アジアでの離婚率が三分の二であるという事実とくしくも合致していることは興味深い点です。」(中根千枝「家族を中心とした人間関係 」講談社学術文庫、1977年、p.96)

 ここで離婚率は離婚経験率という意味で使っているが、そうした統計がないものかと思う。離別率は分かっても有配偶者のうちの離婚経験率はなかなか分からないのである。

 対象国は、71カ国、高い順にロシア、ベラルーシ、ラトビア、リトアニア、米国、デンマーク、カザフスタン、ヨルダン、キューバ、コスタリカ、スウェーデン、チェコ、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルク、フィンランド、韓国、キプロス、エストニア、ドイツ、スイス、スペイン、ハンガリー、オーストラリア、カナダ、英国、オランダ、フランス、クウェート、オーストリア、スロバキア、ノルウェー、イラン、エジプト、ニュージーランド、日本、シンガポール、中国、ドミニカ共和国、イスラエル、キルギス、アルバニア、ポーランド、グルジア、トルコ、ブルガリア、ルーマニア、モーリシャス、クロアチア、アゼルバイジャン、バハマ、ギリシャ、スロベニア、モンゴル、ウクライナ、アルメニア、パナマ、セルビア、タジキスタン、ジャマイカ、イタリア、マケドニア、メキシコ、モンテネグロ、アイルランド、ウズベキスタン、カタール、ボスニア・ ヘルツェゴビナ、グアテマラ、ペルー、チリ、マルタである。

(2004年11月26日収録、2005年9月24日更新、2010年12月6日更新、2014年5月21日中根千枝引用追加、6月30日更新)


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