サウジアラビアの人口ピラミッドは、基本的に、出生率の高い途上国で一般的な富士山型であるが、通常のそれからは大きく変形している。

 変形は2点で顕著である。第1に、20代後半から50歳代前半にかけて、男性が女性に比べて非常に多い。性比のグラフをみれば分かるとおり、各年齢層で約6割男性が女性より多くなっている。これは、中東産油国で多く見られるパターンであるが、オイルダラーを原資にした建設他の開発がさかんなため、他国からの男性の出稼ぎ労働者が多いためである。

 第2に、高齢者層で男性比率が女性比率を上回っている。これは、イスラム圏で多いパターンであり、女性の平均寿命が短かかったためであると想像される(最も国別の平均寿命の男女差ではサウジアラビアは特段女性の平均寿命は短くない。図録1670参照。ただし、過去に遡って短かった歴史がこうした人口ピラミッドに反映している可能性がある)。

 出稼ぎ労働者に関しては、2010年末からのチュニジアのジャスミン革命に端を発し2012年にかけて、北アフリカ・中東地域でもりあがった独裁政府への反対運動、別名「アラブの春」の影響で、他の中東産油国と同様サウジアラビアでも、不法就労の取締りを強化し、自国内から締め出す傾向が強まってきている。これは、反対運動を担った層に失業中の若者が多かったためである。政府は、自国民の雇用の場を確保しなければ、不満が高まりかねないと考えているのである。こうした動きを朝日新聞は次のように報じている。

「アラブ最大の産油国サウジでは昨年(2013年)11月、警察当局が一斉に不法滞在する労働者の摘発を始めた。摘発を前に、約100万人は自主的に出国したとされるが、一部の出稼ぎ労働者は強制排除に強く抵抗。首都リヤドや西部ジッダなど各地で、警官隊との衝突や暴動が頻発し、死傷者も出た。結局、摘発を受けてさらに十数万人が出国を余儀なくされた。サウジ政府の狙いは自国民の雇用確保だ。人口約2700万人のうち、アフリカや南、東南アジアを中心とする外国人は約900万人。統計情報中央局の2013年第2四半期の集計では、外国人の失業率が0.3%なのに対し、サウジ人は11.8%と際だって高い。若者や女性に限れば30%を超す。ただ、出稼ぎ労働者の「追い出し」によって、社会状況がただちに好転するわけでもなさそうだ。サウジの若者は、高給で余暇も多い政府系の職を望み、出稼ぎ労働者が担ってきた単純労働は嫌う風潮が強いためだ。労働者が大幅に減った結果、市民生活や企業活動にしわ寄せが行っている。地元紙サウジ・ガゼットなどによると、摘発後、約2万の学校で清掃員がいなくなり、中小建設会社の4割が工事を中断した。スーパーやガソリンスタンド、カフェなどの閉鎖も相次いだ。人件費は急騰し、工事の停滞も目立っている。」(朝日新聞2014年1月10日)

 サウジアラビアでは公務員がいかに多いかについては図録5190参照。

(2007年3月27日収録、2014年1月10日出稼ぎ労働者締め出しの動きのコメント追加)



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