1.調査の概要

 世界数十カ国の大学・研究機関の研究グループが参加し、共通の調査票で各国国民の意識を調べ相互に比較する「世界価値観調査」が1981年から、また1990年からは5年ごとに行われている。各国毎に全国の18歳以上の男女1,000サンプル程度の回収を基本とした個人単位の意識調査である。

 ここでは、世界各国の国民が、自らが所属する地理的空間として、国、あるいは住んでいる市町村、地方、さらに国より大きな単位であるアジア、ヨーロッパなどの大陸、あるいは世界自体のいずれを第1に意識しているかについての回答をグラフにした(国という回答率の大きさの順で並べた)。

2.国への所属意識

 国の回答率が大きい国として、第1位から第5位までかかげると、モロッコ、ベトナム、プエルトリコ、中国、インドである。人口・面積上の大国である中国とインドの国民が国に所属しているという意識が高いという点は、やはり見逃せない事実であろう。

 国という回答の少ない国としては、少ない順に第1位から第5位までかかげると、ドイツ、フィリピン、インドネシア、セルビア・モンテネグロ、ポーランドとなっている。ドイツ、フィリピンの場合、国というより地方レベルへの所属意識が高く、インドネシアの場合は市町村レベルへの所属意識が高いためと考えられる。

 国への所属意識が高い国としては、国家単位の経済発展を追求している途上国が上位になり、逆に低い国は欧米先進国が多いという一般傾向があるが、フィリピン、インドネシアのように、途上国の中でも地域主義の強い国は国への所属意識が低い国もある。

 欧米先進国で国への所属意識が相対的に高い国としては、ポルトガル、オランダをあげることができる(15〜16位)が、この2国は、スペイン、ドイツの1つの州ぐらいの規模であるからともいえよう。

 国への所属意識としては、日本は、スウェーデン、イタリアとならんでやや下位のグループ、米国、フランス、英国といった主要国は、中位のグループに属している。

3.地方・市町村への所属意識

 地方と市町村については、国ごとに大きさ、来歴、権限などに違いがあり、一概に論ずることが難しい。例えば、日本の場合、質問票では、地方として、都道府県あるいは九州などの道州のいずれもが例示されている。ドイツの地方としては、連邦制の州が強い権限を有しているため、ドイツ国民の地方への所属意識は28.1%と世界第3位となっている。この他、地方への所属意識が高い国としては、オーストリア、フィリピン、マルタ、デンマーク、韓国があげられる。

 スペインは、地方主義の際立った国として知られるが、地方への所属意識は20.5%とまあ高いが、それほど目立った高さではない。日本も16.4%と中位にある。

4.大陸・世界への所属意識

 アジアや世界など国より大きな単位への所属意識は、各国とも、概して低い。

 米国国民の世界への所属意識は、19.2%と世界1となっている。2割近くが、米国民、あるいは州民というより、世界市民と考えているという結果は目を引く。米国と世界をダブらせて理解している人間が多いせいであろう。

 この他、メキシコ、ロシア、ウクライナで世界への所属意識が高くなっている。

 大陸への所属意識では、ルクセンブルクでは、13.0%の者がヨーロッパへの所属意識を第1にあげているのが目立つ。ベルギー人もヨーロッパへの帰属意識が高い。

 これに次いで、ウガンダ、ナイジェリア、エジプトといったアフリカ諸国で、アフリカへの所属意識が高くなっている。

 残念ながらアジア諸国で、アジアへの所属を第1に掲げる人は少なかった。

 日本は、世界、あるいはアジアへの所属を第1にあげる人は、それぞれ、1.2%、0.7%と、ベトナム、中国、韓国と比べても極めて少なかった。

○調査対象国

 対象国は、58カ国であり、具体的には、国という回答率の順に、モロッコ、ベトナム、プエルトリコ、中国、インド、アイスランド、イラン、トルコ、エジプト、南アフリカ、ジンバブエ、ウガンダ、ブルガリア、アルゼンチン、ポルトガル、オランダ、チリ、ベネズエラ、ラトビア、ペルー、リトアニア、バングラデシュ、カナダ、チェコ、ギリシャ、メキシコ、米国、フィンランド、スロベニア、ナイジェリア、韓国、ルーマニア、スペイン、フランス、ベルギー、スロバキア、英国、オーストリア、ウクライナ、マルタ、ロシア、ベラルーシ、タンザニア、ルクセンブルク、イタリア、クロアチア、スウェーデン、日本、アイルランド、エストニア、ハンガリー、北アイルランド、デンマーク、ポーランド、セルビア・モンテネグロ、インドネシア、フィリピン、ドイツである。なお、やや異常値を示しているヨルダン(市町村8.7%、地方19.6%、国4.2%、大陸21.9%、世界44.5%)はグラフの対象外とした。

(2006年7月19日収録)


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