国民というより世界市民だと思っている人間が多い国は、先進国に多いかというとそうではない。最も世界市民意識の高い国はフィリピンであり、約7割が世界の市民と思っている。これにインド、南アフリカが続いている。日本は33か国中15位と中位水準である。

 世界の市民だと思う割合が高い理由としては、積極的な世界市民の意識が高い場合もあれば、むしろ、特定の国への帰属意識が低い場合もあろう。最も世界市民だと思っている人間が多い国のグループは後者なのではなかろうか。

 G7諸国の順位は以下の通りである。

1.ドイツ 33.8%
2.フランス 32.0%
3.米国 27.9%
4.日本 25.7%
5.英国 23.6%

 こうした先進国での世界市民意識の高さは、特定国への帰属意識の低さというより、世界市民の意識の高さのせいであろう。

 反対に、自分が世界の市民とは思う者が最も少ないのは、ジョージアであり、ノルウェー、リトアニア、フィンランドがこれに次いでいる。

 世界市民の原語には世俗からの超越というニュアンスのあるコスモポリタン(Cosmopolitan)という言葉もあるが、この設問では、単純に世界のシチズンとされている。原設問の英語版ステートメントは、”I feel more like a citizen of the world than of any country”である。

 下の図には、階層ごとの世界市民意識の回答結果を掲げた(Human Development Report 2016 Human Development for EveryoneのFIGURE 1.7で世界価値観調査から集計方法も結果のパターンも同様のグラフを掲げているのにならった)。

 世界全体では、下層と上層の両極で世界市民意識が強くなっている一方で、世界市民意識をきっぱりと否定する割合は下層ほど強くなっている。上層階級はグローバリゼーションから利益を多く得ているため世界市民意識も強いのに対して、下層階級では、グローバリゼーションから余り利益を得ていない(ある場合は不利益を得ている)ため、世界市民意識をきっぱりと否定する意見が多いのであろう。下層で世界市民意識が強く見えるのは、移民や難民が多いなどの理由により国民意識が下層で弱いせいであろう。

 いずれにせよ、下層階級では、世界市民派と反世界市民派への両極化が目立っており、これが、グローバリゼーションにともなう国内トラブル増加の背景となっていると考えられる。

 票数が少ないので確定的なことはいえないが参考までに日本の結果を示しておいた。世界とほぼ同様の結果となっている。


○調査対象国

 対象国33カ国を世界市民意識の高い順に掲げると、フィリピン、インド、南アフリカ、トルコ、スペイン、メキシコ、スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、ポルトガル、アイルランド、台湾、米国、日本、スロベニア、ラトビア、英国、チェコ、アイスランド、デンマーク、クロアチア、ハンガリー、ロシア、韓国、スウェーデン、エストニア、スロバキア、イスラエル、フィンランド、リトアニア、ノルウェー、ジョージアである。

(2016年5月30日収録、5月31日設問原語について、2017年4月13日階層ごとの回答結果)


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