2014年5月に、欧州議会(定数751)選挙(EUの28加盟国・有権者4億人による直接選挙)が行われ、反EU政党、すなわち、フランスでは極右政党「国民戦線」、英国では英国独立党(UKIP)が得票率1位を獲得してしまった。また、ギリシャ、デンマークでもEU懐疑派が勝利した。ヨーロッパ諸国民の反EU感情の理由は、債務危機後のEUによる緊縮財政等の統制への反発、域内自由移動による移民増加へのナショナリズム的反発、EU政策が各国経済に好影響をもたらしていると感じられない点などによるものと考えられる。

 こうしたEU諸国民の反EU感情がいつごろから悪化したのかを見るため、毎年のはじめに、英国BBC放送が民間調査機関グローブ・スキャンと提携して行っている世界世論調査の結果から、EUへの評価点(プラス評価回答率マイナスマイナス評価回答率)の推移を追った。この世界世論調査の結果については図録8015(全体的なEU評価推移を含む)等を参照されたい。

 EUへの評価は、少し以前は非常に高かった。フランス、ドイツ、スペイン、イタリアでは2009年ごろには評価点が60前後だった。ドイツでは2009年に76にまで達したこともあった。ユーロは不採用とEU参加国だがEUには一定距離を置いている英国でも30%ポイントほどはプラス評価がマイナス評価を上回っていた。ところが、2009年ギリシア財政粉飾決算の発覚からはじまった欧州債務危機がなかなか解決しないため2011年ごろからEUの評価は急落し始めた。英国では2013年にはマイナスに転化、2014年にはフランスで33まで低下、ドイツ、スペインではそれぞれ17、13と対前年で半分以下になっている。

 上に紹介した欧州議会選挙の結果は、ナショナリズム政党への賛同感情というより、反EU感情のあらわれといった方が正確かもしれない。

 EUの東方にあっていわばEUに対抗している筈のロシアの国民の方がEU加盟国の英国国民より、EU評価が高いというのも皮肉である。

(2014年6月5日収録)


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