比較文化史の試み 254


  直線と曲線の合成

  このことは隅丸方形が特異な思想家によって産みだされたことを示唆する。

(日本の美術2 縄文時代の装身具 21p 至文堂)

  同時に、社会的要請でもある。空間が多重化する前は、当然のごとく平面空間として
 世界を捉えていたはずで、その形状が円形あるいは方形として理解されていた。この
 対立が決定的になって、社会が分裂しかねない状況が出現したのだろう。その結果、
 円形と方形を合成させた、隅丸方形が誕生する。

  前平式土器の角筒形における表現は、横走する線によって多重化された世界を表
 現し、斜線の階段、あるいは垂直のトンネルをつけ加えることによって成立する。

  この点では隆起線文土器の考え方を継承しているともいえる。

  しかし、北極星を中心とした世界観が器形に反映されていない。

  この問題は後述しよう。

  貝殻文沈線文系土器群には、模様化した土器が存在する。

(土器の造形 23p 東京国立博物館)

青森県田面木平遺跡出土

  写真ではわかりづらいので拡大すると、双極文様に近いものがつくられているのが
 見えるだろう。

  とはいうものの双極文様とは違い、渦巻きをふたつ無理にくっつけたような形状であ
 り、また弥生・古墳時代編でみたような切断された双極文様とおなじでもある。

(古代史復元5 弥生人の造形 10p 工楽善通編 講談社)

  実は、双極文様が完成する直前と、双極の世界観が破壊された直後に、時代を超
 えておなじ文様が出現するのである。ひじょうに興味深い。

  下は東京都にある多摩ニュータウンbV2遺跡から出土したものだが、

(土器の造形 23p 東京国立博物館)

 口縁部の突起が8個あることがわかる。対の世界観では、2の二倍になる。2のn乗だ
 から、1・2・4・8…………と続いていく。8はもちろん、4×2=8ということであり、同時
 に4は2×2を意味する。このことは常に相手、あるいは対象を求めるということであ
 り、ひとつの渦巻きでは価値観に反する。単独であっては、いけないのである。この要
 請から、上記の文様がつくられる。それとともに左右が対称ともなる。

*************************************

考古学からみた古代 (縄文時代編) その28


前ページへ          次ページへ


最終更新日2007年6月16日