羽状縄文と世界構造
もともと縄文は、多重化された世界のなかを、太陽がどのようにして移動するのか、
という問いに対する回答であり、北極星の発見により渦巻きへと変質する。この世界
構造を土器に反映させたのが、尖底土器に他ならない。前述のように世界構造そのま
まで施文する場合を、逆位の土器扱いと呼び、世界構造を一旦地上世界に反映させ
てから施文するのが、正位の土器扱いとなる。つまり、世界構造と地上世界の対構造
として理解されていた。
逆位の土器扱い
正位の土器扱い
北極星は穴であり、世界は穴に向かって収束していく。

そして死後の世界観が成立する。人は死んだあと死後の世界にいく。では、人が死
んでからいく穴とは何か。墓穴だろう。ところが、困った問題がある。世界は北極星に
向かって収束していく。おなじように、人間は墓に向かって収束していかなければなら
ない。ところが墓穴は地面にある。
これを表現したものが羽状縄文なのである。時間が一方向に流れていく、というのは
農耕がつくりだす古代文明の時間概念であって、必ずしも普遍ではない。時間は高度
な抽象概念であり、それだけに思想というバイアスが掛けやすいものなのである。

上川名式土器のループ文が横走し、向かい合わせになっているのは偶然ではない。

羽状縄文の別の表現方法なのである。この土器は、いくつかの重要な情報を与えて
くれる。ひとつは口縁部の装飾が三角形の連続になっていることで、もちろん1+2と
いうことに他ならない。下は逆に四角の連続になっていて、双極でなければならない、
ということである。しかも、上下に区切るという考え方があり、明確に違いが意識され
ている。意外なことに、上の世界と、地上世界は分断されている。もちろん、弥生時代
の神々による人間の監視と、それがもたらす断絶とは違う。違うが、うみだす素地がす
でにあったのである。
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日本は古代文明化の速度が異常に速い。他文明が数千年掛かったことを千年足ら
ずで成し遂げてしまう。もちろん、先行する中国文明からの導入があればこそだが、
それだけでは説明のできない部分が存在する。ものごとは形や構造を真似しただけで
は、決して機能しないからである。
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