比較文化史の試み 287


  阿玉台式の装飾

  関東東部に分布する阿玉台(あたまだい)式は、中期前半に成立する。深鉢が主体
 で、胴体部に粘土紐を輪積みにした痕跡が意図的に残されている。

(縄文時代研究事典 197p 戸沢充則編 東京堂出版)

  

  @の口縁部にある循環思想に、いくつかの装飾パターンがあるが、現時点ではどの
 ような意味をもつものかわからない。ただ、円筒上層式につかわれている十字がある
 ことに注意が必要だろう。もともと多重世界を太陽が移動する方法として、スロープ説と

 トンネル説があったが、東北は垂直に移動すると考えてた傾向がつよい。前出の青森
 県下田代納屋(しもたしろなや)B遺跡から出土した貝殻(文)沈線文系土器群では、
 そのことが口縁部に表現されている。

  この垂直移動に横方向の移動が合成されて十字型が成立するのだと思われる。と
 なれば、もうひとつは傾斜での移動であり、最終的にX字型に到達することが予測でき
 る。@土器のいちばん左にある循環思想、その直下にあるX状の装飾は、これを示し
 ているようだが、横方向に循環思想(隅丸方形)をつなげた場合も出現するので、断定
 はできない。Aの三日月のような飾りの意味もはっきりしない。Cについては弁状突起
 が欠損していて、情報を得ることができない。Dでは四角形と三角形を合成させて立
 体化する手法をみせており、明確に意識化された行動であることを伝える。

  勝坂(かつさか)式は、中期中葉に西関東・中部地方に盛行する型式で、深鉢や浅
 鉢、台付鉢、釣手土器、有孔鍔付土器などの多様な器形をもつ。

(縄文時代研究事典 254p 戸沢充則編 東京堂出版)

  @の口縁部ではX字型をわかりやすく表現する。

  Aの波とBの波が交差するところがXに他ならない。循環思想のなかにある波は、ゆる

 やかな上下運動をする波が、表と裏で合成され木の葉状になる。この上半分を消した
 ものであり、いわば波から、波頭(なみがしら)の連続に変化する。

  循環思想が隅丸方形と異なるのは、中央に直線が存在することであり、これにより
 繰り返しを表現する。この直線は、点の集合体でもある。さらに拡大解釈すれば、棒の
 集合体ともいえる面がある。この棒は世界を接続するものであり、全体としては横方向

 であり、構成単位としては縦方向をもつ。つまり十字の別の表現である。

  @では循環思想のなかに波頭が上下二段につけられている。この装飾をじっと見て
 いると、何かを連想しないだろうか。むきだしになった歯のように見えてこないだろう
 か。であれば、周囲にある循環思想は、唇に違いない。循環思想は口に仮託されて理
 解されていた可能性が高い。思考パターンからすれば、そういえる。

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考古学からみた古代 (縄文時代編) その61


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最終更新日2007年8月5日