比較文化史の試み 329


  予定調和説と因果説

  いままで何度か予定調和説と因果説について説明してきたが、ここでもう一度おさら
 いをしておこう。

  予定調和説は3=1+2、

  因果説は1+2=3

 の構造をもつ。

  予定調和説は、予定=私+調和、

  因果説は、私+原因=結果、

 と考えてもいい。もうひとつは、予定調和説が、将来の予定が現在に調和をもたらすと
 いうことであり、時系列に考えた場合、

  調和(現在) ← 予定(将来)

  となり、因果説の

  原因(現在) → 結果(未来)

 とはベクトルの向きが正反対になる。予定調和説を因果説風に説明すると、先に結果
 あるいは結論が提示され、そのあとで原因あるいは理由が提示される、とでもいえよ
 うか。

  ここでもうひとつ別のパラメータを導入しよう。

  結論に到るプロセスである。結論に至るプロセスがもつ条件が複雑になればなるほ
 ど、結論は無限にでてくる。

条件1 条件2 条件3 結論

はい

いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ

  当然、条件次第でも、結論は変わっていく。

条件1 条件2 条件3 結論

はい

いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ

  例は条件2を「いいえ」に変えただけだが、たどり着く結論はちがってくる。よく、それ
 で結論は、と尋ねる人がいるが、結論だけ聞いても意味はない。結論と、結論に至る
 プロセスはペアであり、結論だけで存在することはない。

条件1 条件2 条件3 結論

はい

いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
選択肢 選択肢4 選択肢8 結論1

  この場合、条件1で選択肢は2つある。条件2では4つとなり、条件3では8つある。
 このうちのひとつを選んで結論にしているということになる。もちろん、これは因果説の
 考え方だから、因果説の逆、すなわち予定調和説での考察もしておく必要があるだろ
 う。因果説では、条件1→条件2→条件3→結論のプロセスをもつ。予定調和説では、
 関係が逆転するから、ベクトルの向きを逆にした条件1←条件2←条件3←結論でも
 いいし、そっくりそのままひっくり返した結論→条件3→条件2→条件1でもいい。同じ
 ことである。

結論の可能性 条件3 条件2 条件1
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
はい
いいえ
結論8 選択肢8 選択肢4 選択肢

  この場合条件が3個あるから、結論の可能性は8個あることになる。このうち条件3
 を満たすものは8個のうち4つだけになる。つぎの条件2を満たすものはふたつであ
 る。そして最後の条件1で、どちらかを選ぶ。

  要するに、条件を重ねることによって選択肢が減っていく。それに反比例して、それ
 を選択する確率が高くなっていくのである。

  では、条件3と条件2を先人たちの研究の成果だと仮定してみよう。研究を引き継ぐ
 ということである。残るは条件1しかないから、それを選択する可能性は極めて高いと
 いえるだろう。研究を継承することによって、それを選択する確率は高くなる。いや、
 むしろ必然的にそれを選ぶと言い切った方がいいだろう。何となく自分の意志で考え
 理解しているような気持ちになるが、思い違いにすぎない。

  学ぶことは、危険な行為である。

  その一方で、学ばないと研究を進展させることができないという、矛盾がある。危険
 性に留意せず研究を継続するだけでは、この罠に陥る。これをリセットするのが基礎
 研究である。地道に見えながらも、いかに基礎研究が大切なのかわかってもらえただ
 ろうか。結論とは可能性を捨てた結果であることを了解し、柔軟に対応していくことが
 必要だろう。

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最終更新日2007年9月17日