φ(゚◇゚; !!
シーニュ=シニフィアン/シニフィエのうちで物理的にあると言えるのは、そう言った方がいいのはシニフィアンなんだ。

 物理的にあるそれら(声・文字など)はシニフィアンでしかないわけですが、それらの物理性は肝心で、それが無かったらテレパシーでもなければコミュニケーションできないじゃないですか(-_-) b^-^d (^x^) !
 書かれた文字のインクの染みや発声音の振動波など=シニフィアンの中に非物理的なシニフィエが混合されているわけはないので、シニフィアン/シニフィエ一体であるシーニュ自体も物理的には存在しえないでしょう。シーニュはあくまでも人間の頭脳の中にしかありえない悪魔にも似た存在かもしれません。そういえば、丸山圭三郎は「火竜(シメール)」と言ってましたな。

 前頁で「(シニフィアンを)受信した人の脳裏にそのシニフィエを出現させることができる」と、のたまいましたが、それはシニフィエというよりシーニュと言うべきでした。そうでないと、どんな言語にも依存しない純粋概念のよーなものは存在するか…という積年の大問題にあっさり蜆と結論を出したことになってしまいます。
 自己コミュニケーションつまり外部からのシニフィアン刺激なしでいわゆる「考える」ときも、脳裏には物理的なシニフィアン(acoustiqueに限らず)の記憶が浮かび出て、それがシニフィエを喚起する(事情はつまり、外部からの刺激あるなしの違いだけ…紅茶に浸したマドレーヌの味だってシニフィアンになる)と言っても間違いではないでしょうが、そこに喚起されるのは丸ごとシーニュだった…
…とすれば、積年の大問題にも一応の妥協が得られ、そういうことを考え出すと眠れなくなる人のための心理療法にも(^_^;)\('_') なるかっ!
 そのシーニュにしても辞書のようにして頭脳にあるのではなく、ニューロンのシナプスがなんたらかんたらしてネットワークの中に「生きて」あるわけです。もちろん、あいうえお順やアルファベット順に並んでいるわけもないと思いますが、似た音が近接したネットワークになっている感じはします。ラングの構成が駄洒落ネットワークになっているなんて、思ってみるだけでも楽しいじゃありませんか(*^▽^*)

 辞書に整然と並んでいる言葉たちは、さながら昆虫標本のようです。ほんらいの言葉たちというのは、優雅に里山を舞うアゲハ蝶さながらに、スカラベがせっせと糞を転がすように、おぞましく台所を走り回るゴキブリのごとく、生き生きと、コンプレックス=感情に彩られた心的複合体として私たち一人一人の頭脳の中にラングというネットワークを構成しているのです。ですから、頭脳の中のシニフィエにあたるものは概念というより、イメージと言った方が近いかなとも思うのです。
 脳科学によれば「記憶は可塑性によって成立する」にも関らず、記憶が変化をしたり×間違えたり勘違いできたり<考えることができるのは、ラングというネットワークがダイナミズムな生命体であるおかげでしょう。

 ラング>シーニュ=シニフィアン/シニフィエは関係性の中でしか存在しない虚定的な体系ということですから、それぞれを単独に実体的に捉えたりしては、ましてや物理的に見るなんてことは、ソシュール学のパラダイムから見れば噴飯ものでしょう。この頁のヘッドラインを見ただけで、永久機関発明の申請を受けた特許庁のようにゼンゼン無視無視カタツムリお前の頭はどこにある♪てか?

 だいぶ以前に天台教学の「仮空中三諦円融」説に触れたとき、刹那に「ラング>シーニュ=シニフィアン/シニフィエ」が閃いたものです。
 私たちが生存する現実の世界を「仮諦」 その全ての現象は相互矛盾や相互否定も含みながらも相互に依存しあっている関係性から生じたものだから、それ自身で存在するものではないというのが「空諦」 仮の一切のものは空としてあり、その空も仮を離れては無い、その事態を「中諦」 とするのが「仮空中三諦円融」という次第、((((* ̄ー ̄*)†~~~アーメン。
 どうです、よく似ているでしょう。違いといえば、シーニュ=シニフィアン/シニフィエからは(ソシュールの意図に関らず)シニフィアンの物質性がまろび出たこと(逆向きに)。流行タームでいえば、そのクオリア分だけ現代的に感じられることでしょうか。

 ふと検索してみると、シニフィアン/シニフィエは少なくもGoogleの世界ではパン屋さんのことになっていました。志賀勝栄氏のブーランジュリーでは色々なシニフィアンが、そこかしこで物語を燻らせているようです。
(そういえば1996年にソシュール家のオランジュリー(庭仕事用の倉庫)から一般言語学のための草稿(シニフィアン)がごっそり発見されたそうです)

                       ついでにmaadadayo

 待ちきれない方(いないか^_^;)、ラング>シーニュ=シニフィアン/シニフィエの真相を知りたい方は、佐藤信夫著「意味の弾性」岩波書店または改題「レトリックの意味論」講談社学術文庫所収・言語記号の《随意性》…をぜひどうぞ?(・ω・ノ)ノ