白骨に埋もれた夜

骨がふる 骨がふる
まっしろい骨の粉が舞う
樹木は骨の腕をさしのべ
軒先には白いドクロが転がっている
みんな白い骨になって行く
 イマ来タコノミチ真ッ白ケ
 コレカラ行クミチ真ッ白ケ
夜の街は累々と白骨の山
 私モダンダン骨ニナル
 モウ直キ白イ骨ニナル
 ほらほら
もう、頭と肩が………………


   
春うらら

春うらら春うらら
あんまり朗らかすぎて
なんだか恥かしいよな天気です
お陽様は屈託なく照らしてくれて
私は影が重たい気分
ーーーー今日は、なんてお天気だ………
あんなにあんまりあっさりと
卑怯な桜は散って行く
うららうらら春うらら
恥知らずな
私のような天気です


   
夏の海

薄藍の空から海はあふれる
藍憐の海は手をさしのべる

波は親切ひとなつこいよ
焼けた膚なら冷やせよと
身体にふれて去って行く
 波は親切ひとなつこいよ
冷えた心は温めと
身体にふれて去って行く

波は親切ひとなつこいが
すぐにも離れ藍憐へ
いつかは戻る薄藍へ

求めていけない
あの藍はーーーーーー
追ってはいけない
藍憐へーーーーーーー


     


やせた木の枝に一つだけ
思い切りの悪い実がしがみついていた
青いままで 腐りかけていた


アレハ 秋を嘲けていたからサ
嘲けながらも 泣いていた実サ


地平線の向こうに目をつぶって
どうすることも出来ない夏に
タダ 秋を嘲けっていた実サ


アレハ 秋を嘲けていたからサ
たった一つだけ
やせた木の枝にしがみついて
青いまんまで朽ちて行く実サ