熱く燃えた鮎への想いも一息ついて、天はますます高くなり食欲も増してきました。
そこで、趣味の一つの蕎麦打ちです。
大子は金砂郷町に近く、常陸秋そばの栽培も盛んです。
どうせ手打ちにするなら日本一の呼び名の高い常陸秋そばで、栽培からすべてを手作業で自給自足しましょう。。
(1)常陸秋蕎麦の栽培
1、種まき、発芽 今年は種まきが遅くなってしまって、8月27日に行いました。 大子ではお盆前に蒔くのが一般的ですが、私は17日が良いように思います。 |
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2、開花 蕎麦の花はきれいです。 特に月夜の蕎麦の花はそれはもう怪しい美しさです。 蕎麦は稲のように一度に開花せず、下から順番に開花します。 当然実るのも下からで、8割くらい黒くなったときに刈り取ります。 |
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3、刈り取り 種まきから75日で収穫です。 今年は雨で伏してしまいました。 普通は鎌で刈り取るのですが、今年は幸いに同じ方に傾いたので、刈り払い機で楽に刈り取ることが出来ました。 |
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4、乾燥 竹に立てかけて乾燥させます。 今年は丁度刈り取りから数日間雨が降ってしまい、乾燥が遅れてしまいました。 乾燥と追い熟のために天日で乾燥します。 畑や庭に島立てという方法で干す場合もあります。 |
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5、脱穀 昔ながらの方法で、棒で叩いて脱穀します。 あまり強くたたくと割れてしまいますので、加減が難しいです。 |
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6、風選 昔からある唐箕でゴミをより分けます。 手の回転と蕎麦の落とす量とで、上手くゴミを選り分けます。 年期の入った道具ですので、年季の入った人でないと上手く篩えません。 |
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7、石抜き、乾燥 水に浸して石を選り分けて、ムシロに干して乾燥させます。 |
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8、角押し 玄蕎麦についたヘタを取るのとゴミを取って磨きを掛ける為に、袋に入れて足で踏んで角押しをします。 これをしっかりやらないと埃くさい蕎麦になります。 |
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9、製粉 石臼で製粉します。一分間に20回転くらいの速さで。 ゆっくりとまわしながら少しずつ落として、慌てないで製粉します。 製粉機もありますが石臼の方が熱を持たないで変質しません。 |
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10、篩い 挽き終わったそば粉を、50メッシュ位の篩でふるいます。 余り細かいふるいで篩うよりも、多少荒い方が蕎麦の風味はあります。 |
(2)手打ち
1、計量 蕎麦粉と小麦粉とを正確に計ります。 一般的な8:2に合わせて、一度篩に掛けます。 |
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2、水回し ここが蕎麦打ちの味の決め手です。 約45パーセントの水を蕎麦粉に含ませますが、天候や蕎麦粉の状態で変わってきます。 慎重に少しずつ水を加えます。(師匠は必要量の95パーセントを一気加水します) |
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ここは大事なところです。 最初必要量の約半分を加えて、よく混ぜます。 指を立てて混ぜるようにします。 まとめようとしないで、散らすようにして水を均一に行き渡らせます。 |
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少しずつ水を加えていき、混ぜていくと自然とまとまってきて大きな固まりになってきます。 ゴロゴロとしてきて混ぜられなくなってきたら、水回しは終了でくくりに入ります。 ゴロゴロしたかたまりを集めて、ひとかたまりにくくります。 |
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3、練り 体重を掛けてよく練ります。 何度も良く練って、全体につやが出たら練りは完成です。 |
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4、菊練り〜へそだし 中の空気を抜く為に菊練りをし、続いてしわを一点にまとめる為にへそだしをします。 とんがった所を下にして押しつぶし、これで木鉢仕事は終わりです。 |
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5、丸出し 打ち粉をした延し台で体重を掛けて丸く伸ばします。 中央を少し厚く残して延ばします。 |
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6、延し 麺棒を使って丸く薄く延ばします。 体重を掛けて伸ばすのではなく、生地の上を麺棒を転がして延ばします。 生地を回しながら均等に丸く延ばします。 |
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7、角出し 麺棒に生地を巻いて四角に伸ばします。 力加減を同じにしないと綺麗な四角にはなりません。 達磨の高橋さんは縦横の2回で四角にしてしまいます。ビックリ! |
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8、本延し 麺棒を3本使ってさらに薄く延ばします。 目安は手のひらで押してみて、手の跡がつかないくらいにします。 麺棒を手の中で転がすようにしないと破れます。 |
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9、たたみ 打粉を十分にし1キロ以内なら8枚に、それ以上なら12枚にたたみます。 麺棒を使ってたたまないと破れてしまいます。 |
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10、切り こま板を使って細くきります。 標準は切りべら20本(一寸を20本)位に切ります。 私はまだ未熟で同じ幅に切りそろえられません。 |
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11、出来上がり 切り終えた蕎麦は舟に入れます。 蕎麦は風を嫌いますので風邪を引かせないように注意します。 |
蕎麦の茹で方
老婆心ながら蕎麦の茹で方を述べてみます。
蕎は俗に3たてと言われ、挽きたて、打ち立て、茹でたて、でなければいけないと言わ
れています。挽きたて、打ちたて(異論はあります。包丁下はいけないとも言われる。)
は無理としても茹でたては守ってほしい。
茹でて時間のたった蕎ではいけません。(これも異論がある。水の切れた蕎でなければ
ならないと言う人もいるが、パサパサでは論外。)
1、たっぷりの湯で茹でる。
多ければ多いほど良いですが、しかし家庭では限度があるので、30pの鍋ならば、
1度にゆでる量を少なくします。2〜3人前が限度。
2、さばく
湯の中にほぐしながら蕎を入れ、太めの箸で固まらないようにゆっくりとさばく。
あまりかき回すと切れやすくなります。
3、差し水はしない。
ゆでる時間が短いので差し水は必要有りません。
4、茹で時間
茹で時間は太さやそばの質によって違います。
少しの量を試しに茹でて、茹で具合を見る。(時間を量りながら)
5、面水(つらみず)
茹で上がったらざるにとり、すぐに冷水をかけます。(面水)
出来れば水道からでなくすばやく手桶で面水をかけます。(2〜3杯)。
面水によって粗熱を取り、切れにくくします。
6、洗い
面水をかけた蕎は、水をはった大きなボールの中にあけて、洗う。
表面のぬめりを完全に洗い落とします。
7、化粧水
洗い上がったら笊にとり、新しい水をかけます。
良い湧き水があったらこの時に使います。
8、横びつ
化粧水をかけたら水をはった横びつ(ボールでよい)にはなす。
この時にも良い水を使いましょう。
9、取り笊
大きな浅い笊に横びつから少しずつ蕎を取って水を切ります。
これをやらないで直接横びつからせいろに盛ったのでは、びしゃびしゃに
なってしまいます。
10、せいろに盛る
取り笊からせいろに3〜4回にわけて盛り、ならします。
一山に盛ったのでは食べるときに取りにくい。
※かならずしもこの通りにする必要はないですが、たっぷりの湯と茹で時間、
面水と洗いだけは守らないと、美味しい蕎麦にはなりません。
そばつゆ
そばつゆの作り方にもいろいろな流儀があり、それぞれに店により拘りがあります。
そばに合うつゆを試行錯誤するのも良いですが、ここは簡単に出来て美味しいつゆを紹介します。
作り方はとっても簡単、しかも美味しい。
まずは市販のつゆを用意します。
どこのメーカーとは言いませんが、3倍濃縮タイプを用意します。
このつゆを大根おろしの絞り汁で規定の量に延ばします。
これがさっぱりしていて、美味しい。
香りの良いそばには特によく合います。
是非試してみてください。