加湿器の水蒸気が天井に向かって霞んで、消えていく。その音だけが支配している中、 すこし伏せがちに照れくさそうに、静かに言葉を並べていた香住に、まりは歓喜の声を上げた。 「やったじゃんっ!!」 パンっと合わせた両の掌の音に周囲が僅かにざわめくと、まりは軽く立ち上がり、周囲に すこし恐縮したような笑みを浮かべて軽く首を竦めるように会釈すると、据わり直した。 「えへ」 「えへじゃないと思うんだけどなあ」 「まぁまぁそう言いなさんな。そんなコトより、よく取り次いでもらえたねぇ?!」
To be continued