正装と普段着の区別 その弐



続いては、女性の装束ですね。
普段着としては”袿袴(けいこ)”と呼ばれる装束です。
こちらをご覧下さい。

袿袴(けいこ)姿



これは、本当にくつろぎ着です。
男性装束で言うところの狩衣に相当します。
管理人も着てみましたが、それなりに動きやすいものでした。
まぁ・・・袿の襟が中陪という襲ね色目を模した仕立てでしたが。
ですが、袴が長袴ですし単も袿もそれなりにひきずりますので
方向転換の際、裾を蹴捌かないと自分の衣装を踏んでしまう
というデメリットもありました(笑)
思ったより重くないものですね。このあたりまでは^^:


現代宮中では、女房装束もかなり簡略化されています。
上記の袿袴は宮中へ参内する装束として女官や臣下の女子の礼装
となっています。
この袿袴の袿と単の裾を端折った”道中着”も礼装となっています。
平安当時は、”壷装束”ということで、”道中着”を簡略した
纏い方もありました。
”壷装束”は単純に袿と単を歩きやすいように端折って
一本の紐で留める構造になっています。
貴族の姫君が庭に降りるときの装束ですね。

そして、改まった礼装としては”五衣小袿長袴”
一級正装としては”五衣唐衣裳(十二単)”があります。

まず、五衣小袿長袴をご紹介しましょう。
この装束は、先程の袿袴の袴を長袴にしたうえで
五衣・打衣・表着・小袿といった順番に纏っています。
男性装束でいうところの衣冠に相当します。
今で言うところの、宮中中礼服であるローブ・デコルテですね。
この装束も一級正装になりますので、最近の皇室行事では
即位大礼期日報告の儀などで皇族が着用していたそうです。

最後に、第一級正装として、十二単こと五衣唐衣裳をご紹介しましょう。
まずはこちらをご覧下さい。


十二単姿(五衣唐衣裳)




このあたりになると、皆様お馴染みのご衣装となりますね。
しかし、これは今で言うところの
大礼服であるマント・ド・クール(ローブ・デコルテのマント付き)です。
現代これを纏うことが出来る人は、皇族妃・高級女官だけです。
それも、即位礼当日の賢所の儀・紫宸殿の儀・大嘗祭・御結婚式といった
超!重要なお式の時のみです。

平安当時、宮中に上がる女官は、十二単を纏っていたようです。
大礼などの行事は別として、身分の低い者が、おそれ多くもかしこき辺り
にお仕えするということで正装は当たり前だったらしいですね。
「枕草子」の記述にも、
中宮さまと帝がいきなりお成りになったので、唐衣だけでも大急ぎで羽織った。
という記述がありますので☆

で、ちょっとここで一口メモなんぞを^^;
女房装束につきものな”袴”ですが。
種類としては大まかに、長袴と切袴に分けられるみたいです。
長袴は、白拍子などでメジャーになっているあれですね。
切り袴は、長袴の裾を歩行便宜のために短く切ったものです。
そして、色にも区別があります。
未婚の女性は濃紫色袴・既婚女性は緋の袴。という区別は皆様ご存じと思います。
しかし、宮中・中務省などにお仕えする女官や
斎宮は未婚でも緋色の袴を履いていました。
斎宮なら”神と結婚した女性”であり、中務省へ上がっている女官は
”現人神であられる帝へご奉仕する女性”だからという理由で
緋色袴を履いていたようです。



如何だったでしょうか?
駆け足で参りましたが、おぼろげながらも
当時の雰囲気を掴んで頂ければ幸いです。