宿酔日記〜先輩友人”Tさん”のこと (03/05/07)

“Tさん”は私より一回り年上の友人。勝手に友人にさせていただ
いていますが、実は大先輩です。学校も仕事場も違うのですが人生
の先輩です。

二十年ほど前仕事でお世話になり、引退されてからもお付き合いさ
せていただいています。仕事よりもお酒のお付き合いが主だったと
記憶していますが。

当時は東京の某放送局に勤務されていました。元々はアナウンサー
で今でも経験を生かして地元コミュニティFMでDJ、ボランティ
アで朗読教室の講師、地域の講演会では戦時中の体験談を話された
り活躍されております。

若い頃は画家を志したこともあるとか、現在もお仲間と定期的に展
示会を開催されているそうです。
また愛車で東京でも沼津でも気軽に、年数回は奥様と海外旅行をな
さる行動派。

小説も若い作家の作品を積極的に読まれ「おい、***読んだか、
あれはイイよ」とメールではっぱをかけてきます。映画もしかり。
<岩井志麻子><車谷長吉>などは教えていただいた作家です。
映画では<デュラス・愛の最終章>これはワインの飲み方に共鳴。
<八人の女たち>これは“Tさん”☆ひとつ、私は楽しく☆☆☆で
した。
こんな事も楽しく話し合える。

私が先輩の歳になった時こんな活動、いや生き方が出来るのだろう
かと羨ましく思ってしまいます。(私の方が老けているような錯覚
におちいる昨今です)

引退されてから神奈川県のY町に住居を移され(海の見える小高い
丘の上)、“Tさん”が東京に出た折に年1回お会いするかどうか、
電話と年賀状だけのお付き合いになっていました。

一年ほど前「あんたのアドレス教えてよ」と電話があり、「住所変
わりませんよ」と答えると。「メールアドレス!パソコン始めたん
だよ」,「エ〜ッ」思わず耳を疑ってしまいました。
さすが!旅行にはデジカメ持参、すべてクレジットを付けてCDロ
ムに
保存、たまに美女の写真が添付されて来ます。(奥様に言いつけま
すヨ!なぜ先輩だけがモテるんですか)

先日は温泉旅行のお誘いを受けて参加、“Tさん”の友人にもご紹
介いただきとても楽しい時間を分けて頂きました。

不思議なものでメールのやり取りを始めてからまたお付き合いの回
数が増えたようです。
つい億劫になる電話もメールだと気軽に出せるこれが良いところか
も知れません。もちろん今までのお付き合いにメールが追加された
からで、決してメールだけのお付き合いではないからです。メール
はグチもこぼしやすい(毎度の事でゴメンナサイ)

こんなわけで“Tさん”とのお付き合いも二十年になります。

昨年秋「美味い鰻をご馳走する、付き合えよ」とお誘いがありまし
た。私が仕事につまずき悶々としていることを知っての事でした。

私の住む小田急沿線とちょうど中間点のJR・K駅で待ち合わせ。
駅から五分程歩いた海岸沿いにある鰻屋でした。
鰻は好きですが、元来出無精のうえ精神的に参っていたので行くま
ではかなり億劫でした。

数年ぶりにお会いしたのにまるで先週会ったような雰囲気で「大変
だったね、まあ一杯」・・・はじめは私の状況を聞いてくださり、
気付いたら以前と変わらず映画や小説の話になり嫌な事を忘れてと
ても良い気分になり、久々に飲みすぎてしまいました。

なぐさめも励ましもありませんでした。

「美味しい酒と肴、それと楽しい会話が元気の元ですよ」語らずに
そう言われたような気がしました。あくまでも自然体なのです。
反対に不幸の押し売りはいけないと反省。

その鰻屋さんはお店の雰囲気も良く、控えめな店主の一言も美味し
い肴でした。さっそく「う」の引き出しにいれてしまいました。そ
の後数回ご一緒させていただき、毎回楽しい気分にさせていただい
ています。毎回昼酒のせいですが。
*向田邦子さんは美味しいお店があると「う」の引き出しにファイ
ルしたそうです。うまいの「う」か美味しいの「お」かちょっと記
憶はあやしいのですが。

そんなわけで“Tさん”には仕事を離れて十数年、今度は元気付け
られるということでお世話になってしまいました。

引退後の理想の生き方、まさにスローライフを地で行っているよう
です。

“Tさん”とはこれからも長いお付き合いをしたいと思います、一
方的ですが。これ読んだら鰻ご馳走してください。
(いや、今回は名義使用料払わないとまずいかな)   (fou)

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