宿酔日記〜エイチ氏 (03/06/30)

三ヶ月ぶり、エイチ氏に現況をメールする。

エイチ氏との付き合いは二十数年になると思う。
新卒で入社した会社が倒産した後、一年程アルバイトをしていた製
菓会社の同僚に紹介されたのが付き合い始めでした。

彼には失職前後に借金をして現在も返済中、「事情は判っている、
出来る範囲でいいよ」の一言に頭が上がらない友人である。

当時、苦し紛れに返済の当ても無く「一月だけ貸して欲しい」と借
金を申し込んだ。二つ返事で現金が振り込まれた。
即日、右から左へ返済に消えてしまった・・・それから2年。

エイチ氏は携帯でメールは受けるが自分では発信しない人である。
夜になって電話がかかり「元気でやってる!たまには飲もうよ。明
日は仕事が早めに終わるんだ、新宿あたりでどうだい」
地下鉄の改札口に近い本屋の前で待ち合わせることになる。

当日昼過ぎから、珍しく胃が痛みどうも調子が悪い。時間ギリギリ
までどうしようかと悩む。四時過ぎ少し楽になり行くことにする。

少し遅れて現れたエイチ氏と近くの居酒屋へ入る。

エイチ氏は日本酒党、いつも燗酒をグイグイ飲む。こちらがかなり
酔っても平気な顔をしている酒豪である。

メニューを見ながら、胃の調子を思い出し「今日はおとなしく焼酎
のお湯割りでも飲もうかと」考えていると、
「酒、大徳利で2本、燗してね」すでに酒が注文されてしまった。
私が気にしながらチビチビ飲んでいると
「どうしたの、調子でも悪いの」
「ちょいと胃が・・・」
「そうか、中止のメール入れてくれればいいのに」と、言いながら
帰ろうとは言い出さない。

ご無沙汰と借金のお詫びを初めにしたあとは、もっぱら共通の友人
の話題に花が咲く。

気がつくと、二時間足らずで大徳利5本が空になってしまった。


「もう一軒付き合えよ」返事も聞かずサッサと繁華街の方へ歩いて
く、地下のミニクラブ?でまた二時間ほど飲む。アルコールで鈍化
したものの酔いきれない、中途半端な飲み方。

「今日はいいから」一銭も払わせてくれない。
「これでは返した分が今日の飲み代になってしまうじゃないか」恐
縮して言うと
「アレはアレ、コレはコレ。俺もう一軒行くから、あんたは終電だ
ろ。また飲もう」後ろ姿はあっという間に新宿のネオンの中に。

いつもこんな調子でご馳走になってしまう。

ありがたいと思いながらも自分の不甲斐なさを感じ、明日は何とか
せねば、と気持ちばかりあせる毎日です。

エイチ氏を始め、精神的に支えてくれる数少ない友人たちに感謝の
日々。

何とか前を向いていられるのは、彼らが見捨てずに付き合いを続け
てくれるからかもしれない。     (fou

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