昨日今日明日〜訃報 (03/11/21)

二十代の頃の上司“Fさん”から電話があった。


『A君が肺癌で亡くなった。59歳だった。二週間ほど前に入院し
て・・・』

A君は新卒で勤めた会社の同僚。
数年前の飲み会に会ったのが最後だった。

『九月までゴルフ行ってたらしい。先週見舞いに行ったら顔色もい
いし、全く痩せてないんで・・・』

Fさんの電話の声を聞きながら、A君には申し訳ないが悲しみより
先に別のことを考えてしまった。

“同年輩=自分の死”

365日酒を飲み、いまだにタバコも止めない。いつ自分の身に起
こってもおかしくない。
そんな事を考えながらA君の屈強な体格(山男だった)と、優しい
笑顔が想い浮かぶ。

『それで今日が友引なので、通夜は明日・・・』

Fさんの声をうつろに聞きながら、「同年代の死は、いちばんこた
えるなあ」そんな事を言った父の言葉を思い出す。

意味も無く、A君の車のことを思い出した。

ホンダ初の普通車、1000ccの箱型だったと思う。
買って十日もしないうちに酔っ払い運転で接触事故を起こし、運行
不能のポンコツ状態。三十数年も前のことだった。

『それじゃ、お通夜で』Fさんの電話が切れた。



「シンさん(私)も変なこと覚えてるね」A君の日焼けした顔が、
身体に似合わない優しい細い目で微笑んでいるようだった。

合掌                          (fou

indexへ戻る

TOPページへ

sh2003

スッピン・ハート