旧友と酒

半年ぶりに「Ｙ」から電話があった。

十年くらい前までは頻繁に飲み歩いた、中学の同級生で一番古い飲
み友達でもある。

「腹水が溜まってネ、医者から肝硬変だと云われてその日に入院さ
せられちゃった。一週間飲んでないヨ」

大変な事なのにひとごとのように、いつもののんびりした話し声が
聞こえてきた。

一年前にγーＧＴＰが異常に高くなり十日ほど入院したが、すぐに
正常値に戻ったと聞いていた。

その後も懲りずに同じペースで飲んでいたようだ。
最近は焼酎の特大ペットボトルが二日で空くような飲み方をしてい
たらしい。

見舞いに行くと腹は妊婦のように膨らんでいるものの案外元気なの
で一安心。

腹水を一気に抜くと身体に悪影響とかで、１～２ヶ月の入院になる
らしい。

また来るよと病院を去る前に

「あんたも酒はほどほどにしたほうがいいよ」

また、他人ごとのようなのんびりした話し方で・・・。

帰宅するなり、一杯飲まずにはいられなかった。

“明日はわが身”と考えるより、Ｙとはもう痛飲出来ないのかと思
う悲しみのほうが大きく、ついつい深酒になってしまった。　（fou）