某月某日⑤

一月某日

大老人と鰻やで新年会。帰り際店主と雑談、勘定を忘れて出て
しまう。無意識の無銭飲食だ。大老人慌てず「この次払えばい
いさ」。（ひと月ほど経って再訪、しっかり請求されたそうで
す）その後大老人宅へ、奥方を表敬訪問。たまには顔を見せ大
老人のフォローをしておかないと（うっかりすると足を引っ張
ることになるが）電話の受け答えにも影響する。

一月某日

番頭さんと半年ぶりに飲む。職探しを頼んであったので少し期
待していたが「４５才以上は難しいや、ましてや君は・・・・
・」解っているが、直接聞いて改めて落胆。替りに自宅で出来
る簡単なバイトの話あり。家で飲む酒代くらいにはなりそうだ、
感謝。
※番頭さん＝以前名刺の肩書きが「番頭」であった、今は社長
さん。業種も違い残念ながら私を雇う余裕は無いらしい。

一月某日

生命保険会社から電話あり、去年の大腸ポリープの入院補償が
出た。検査費用もまかなえる金額だった、大いに助かる。項目
の中に「退院給付」というのがあった。そうか、退院出来ない
事もあるのだ。でも月々の保険代の五か月分、死ななきゃ元は
取れないのか・・・・・

一月某日

従兄ギネスから携帯に連絡「久しぶりに飲まないか」。生業は
不動産屋である、会うのは家を手放す相談をして以来４～５年
ぶりか。新宿の事務所を訪ねると娘がバイトしていた、知らな
いうちに結婚もしていた。ついこの間中学か高校生だったはず
なのに。その後居酒屋でご馳走になる。学生時代ウエイトリフ
ティングをしていたギネス、六十を超えても笑顔を絶やさぬ硬
骨漢である。
＊ギネス＝二十代の頃サッポロビールでギネスを売っていた。
私も一緒に酒場を廻り、何軒もの店でギネスを飲んだ記憶があ
る。

一月某日

少林寺と３カ月ぶりに飲む。泊まり込でキツイ仕事させられて
いるようだ。お互い仕事の愚痴に終始してしまったが、たまに
は愚痴を思い切り言い合える友もよいものだ。大いに飲み、温
泉でも行きたいなと別れる。同僚との愚痴と違い別れた後は全
て忘れるので後を引かないのが良い。

一月某日

フリーパス氏に誘われ二年ぶりに父の墓参りに行く。父の仕事
仲間だった。小田急の本厚木駅で待ち合わせ、フリーパス氏約
束の時間に十五分も遅れて到着、小田急の急行中心プログラム
がまた酷くなったとボヤク。駅からバスで霊園へ、冬の平日の
せいか人はまばら。墓前でビールと日本酒を飲みながら父の想
い出話など。帰りに本厚木駅前の居酒屋で一杯、大正風の雰囲
気にほろ酔い気分で別れる。
＊フリーパス＝以前小田急の駅員の態度に憤慨して十年間小田
急には顔パス乗車（どの駅も）。謝罪しない小田急、意地を張
るフリーパスどちらも凄い。　　　　　　　　　　　　　　　　（ｆｏｕ）