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【アパッチ】
製作年 1990年、米
監督 デヴィッド・グリーン
出演 ニコラス・ケイジ ショーン・ヤング トミー・リー・ジョーンズ
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【あらすじ】
米陸軍ヘリ・パイロットのジェイク(ニコラス・ケイジ)は、派遣された南米で麻薬組織に雇われた凄腕のストーラーが操縦するヘリの攻撃で友人を失う苦い経験を味わった。新しく攻撃ヘリ・アパッチを主力とした特別作戦部隊に配属されたジェイクは、偵察ヘリの副パイロットで昔の恋人ビリー(ショーン・ヤング)と出会った。ジェイクは寄りを戻そうと迫るがビリーはすげない態度だった。ジェイクは指導教官ブラッド(トミー・リー・ジョーンズ)の元で腕を磨くが、効き目が逆なため照準装置をうまく使いこなせず計器飛行テストで合格点をもらえなかった。そんなジェイクをビリーは励まし、ブラッドが教えてくれた効き目の矯正法で克服すると合格することが出来た。ジェイクはお祝いと称してビリーをデートに誘い再び愛を取り戻すことも出来た。空対空戦闘訓練の最終試験でジェイクはブラッドを出し抜くまでに腕を上げていたが、麻薬組織の大物が密輸基地に集結するとの情報が入り、麻薬取締局の作戦を空から支援するため、急きょジェイクたちは南米に派遣されることになった。ブラッドも隊長に任命され、ジェイクが反対するなかビリーも作戦に参加した。しかし、到着早々先制攻撃を受け、ジェイクたちはあわただしくアパッチに飛び乗った。ストーラーのヘリとジェット戦闘機が突如現れ攻撃してきた。ブラッドは戦闘機を撃墜するがストーラーから不意に攻撃され墜落する。復讐の念に燃えるジェイクはストーラーと死闘を繰り広げついに撃墜した。もう1機いた戦闘機もビリーがスティンガー・ミサイルで撃墜し、ブラッドも救出された。
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【解説】
主演のニコラス・ケイジの本名はニコラス・コッポラで、名前が示す通り監督のフランシス・フォード・コッポラとは叔父と甥の関係である。デビュー当時こそ叔父の作品にコネで出演していたが、着実に演技力をつけ「リービング・ラスベガス」(95年)で晴れてアカデミー主演男優賞を受賞した。性格俳優として以後も数々の作品に出演しているが、「死の接吻」(95年)「コン・エアー」(97年)などのハード・アクションにもチャレンジして芸域を広げている。日本のパチンコメーカーのCMに出演して唖然とさせたのは記憶に新しい。ビリー役のショーン・ヤングは「ブレードランナー」(82年)のレイチェル役で注目を集め、以後も1作ごとに違った役に挑みキャリアを築いてきたが、私生活での奇行が話題になることが多く、プッツン女優としての方が有名になった。マクニール大佐役で本作品の軍事アドバイザーも務めた元海兵隊大尉のデイル・ダイは、「プラトーン」(86年)で俳優の訓練を担当し真に迫った兵士を創出し高い評価を受けた。以後も「アウトブレイク」(95年)「スターシップ・トゥルーパーズ」(97年)「プライベート・ライアン」(98年)などに出演する傍ら軍事面の監修を行いミリタリー映画には欠かせない存在になっている。
ベトナム戦争において輸送ヘリを護衛し、対地支援を行うために開発された世界最初の攻撃ヘリが映画の冒頭にも登場するベルAH−1ヒューコブラである。その後継機として開発されたボーイングAH−64アパッチは、夜間や悪天候時でも運用できるようにヘルメットと一体となった暗視センサーが採用されており、乗員が首を振れば各センサーも連動するようになっている。2人乗りでガナーと呼ばれる銃手が前に乗るが、パイロットが操縦不能に陥った場合を考慮し最低限の操縦装置が設置されている。また、コックピット周辺はハイテク防弾材が使われており乗員の生存性がより高められている。ヘリコプターの大敵は赤外線感知の携帯用誘導ミサイルであるが、アパッチは赤外線抑制排気口により赤外線量を減少・拡散させて感知されにくい工夫が施されている。ショーン・ヤングが操縦していた偵察ヘリ・ベルOH−58カイオワのメインローターの上に偵察・照準用のスキャナーが装備されているが、ここからレーザービームが攻撃目標に照射されていればアパッチは相手の姿が見えなくてもミサイルを発射するだけで命中させることが可能である。湾岸戦争ではイラク軍の戦車や装甲車を千両近くも撃破し、撃墜されたのは1機のみ(乗員は無事)という圧倒的勝利を挙げている。現在のアパッチはメインローターの上に”ロングボウ”と呼ばれるミリメートル波レーダーが搭載されており、これにより発射したミサイルの誘導のためレーザーを照射している必要がなくなった上に、天候の影響も受けにくくなった。日本の陸上自衛隊もヒューコブラの後継機としてこのロングボウ・アパッチの導入が決まっている。敵機として登場するジェット戦闘機はスウェーデン製のサーブ・ドラケンで、道路を滑走路がわりに離発着することを考慮したダブル・デルタ翼が特徴である。 |
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