【インデペンデンス・デイ】
製作年 1996年、米
監督  ローランド・エメリッヒ
出演  ウィル・スミス ビル・プルマン ジェフ・ゴールドブラム
【あらすじ】
 突然、巨大な円盤状の宇宙船が世界の大都市の上空に現れた。ホイットモア大統領(ビル・プルマン)は国民に冷静を保つように呼びかけ、何の反応も示さない宇宙船とコンタクトをとろうとした。しかし、大統領補佐官の前夫デイヴィッド(ジェフ・ゴールドブラム)から宇宙船同士が通信衛星を使ってカウントダウンを行っていることを知らされ、ホワイトハウスから避難した。その直後、宇宙船から怪光線が発射され直下にあった都市は壊滅した。
 反撃すべく戦闘機でミサイル攻撃を加えるがシールドに守られている上に無数の攻撃機が飛びだしてきて戦闘機との間で空中戦となった。攻撃に参加していたスティーブン(ウィル・スミス)は相手を出し抜き不時着した敵機から異星人パイロットを捕獲した。大統領専用機でからくも脱出した大統領一行は、謎とされてきたエリア51に到着し、40年前に捕獲された宇宙船と対面する。そこにスティーブンが捕虜とした異星人を連れてきたので、科学者が解剖するが、意識を取り戻した異星人に殺されてしまう。この時大統領は異星人のテレパシーを感知し、友好など望まずただ地球の資源を食い尽くすのが目的であることがわかったので核攻撃を命令する。しかし、まったく効き目がなく途方に暮れる。
 異星人撃退の方法を考えていたデイヴィッドは父親の言葉からヒントを得て、コンピュータ・ウィルスを母船に侵入させ、シールドを無効にすることを提案しスティーブンと共に捕獲した宇宙船で実行することにした。7月4日の独立記念日、大統領を始め世界中のパイロットが残存していた戦闘機に乗り込んで総攻撃に向かった。
【解説】
 監督のローランド・エメリッヒはドイツ出身でSFXを駆使した「MOON44」(90年)が認められたのをきっかけにハリウッドに招かれ、ジャン・クロード・バンダム主演の「ユニバーサル・ソルジャー」(92年)カート・ラッセル主演の「スター・ゲイト」(94年)とヒット作を監督した。これまで培ったSFX技術の集大成ともいえる本作品は全米で3億ドルの興行成績を上げるメガヒットととなった。以後も得意なSFXで「GODZILLA ゴジラ」(98年)やアメリカの独立戦争を描いた「パトリオット」(2000年)などの大作を監督している。ウィル・スミスはラップ・ミュージシャンとして不動の地位を築いていたが、主演作の刑事アクション「バッド・ボーイズ」(95年)で注目を集め、本作品と「メン・イン・ブラック」(97年)で映画スターとしても大成功を修めた。エイリアンの権威オークン博士を演じたブレット・スパイナーは、「新スター・トレック」で全身銀色のアンドロイド”データ”でおなじみの俳優である。
 米海軍は映画撮影に協力的なため艦載機のことを書く割合が多くなったが、現在海軍の主力になりつつあるのがこのマクダネル・ダグラス(現ボーイング)F/A−18ホーネットである。F−14トムキャットは高い戦闘能力を有していたが価格も高価なため十分な数をそろえることが出来ず、比較的安価な支援戦闘機が開発されることになった。その辺の経緯は空軍のF−15イーグルの支援戦闘機として登場したF−16ファイティング・ファルコンと同じで、議会や財政当局は経費節約のため海軍もF−16を採用することを希望したが拒否された。その理由は、艦載機は海上飛行が大半を占めるためF−16のような単発機でのエンジン故障は、即墜落を意味し生存性を高めるため双発が望ましいというものだった。そのため双発のF/A−18が制式採用されることになった。
 1978年に初飛行し、1983年から実戦配備された。海兵隊もF−4ファントムUの後継機として採用しており、ウィル・スミスはこちらの飛行隊に所属しているパイロットである。アビオニクス(航空電子装置)にもコンピュータが多用され、操縦席の計器盤は3つのCRTに飛行情報や射爆撃情報が表示されるようになっており、パイロット一人で戦闘・攻撃任務がこなせるようになっている。F−14トムキャットがもっていた制空戦闘能力とA−6イントルーダーの全天候低空侵攻能力を併せ持つのが1999年から配備されているF/A−18E/Fスーパーホーネットである。従来型より大型化し航続距離も50%アップ、エンジンやレーダーも新しく換装されており、艦隊防空から対地攻撃までの幅広い任務をこなす戦闘攻撃機として米海軍の中核を担っていくこととなる。
 核攻撃をおこなう爆撃機として全翼ステルス機のノースロップB−2スピリットが登場するが、本作品とよく似たシュチュエーションのジョージ・パル製作「宇宙戦争」(53年)にも核攻撃を敢行する爆撃機として全翼機にこだわるノースロップ社の試作機YB−49が登場している。