平成9年2月27日(木)第4校時
指導者 寳迫 芳人
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◇バトンをわたすように◆作文
リレー物語を作ろう
本学級の児童は今日までに、三.毎日をより楽しく「こんな学校ならいいな」、七.みんなで考えよう−私たちの生きる地球「一秒が一年をこわす」などの単元を通して、作文の学習を行ってきた。また、物語文での読後の感想や日常的な作文指導を続けており、作文を書くことには慣れている。しかし、それが必ずしも楽しいものとしてとらえられていないことも事実である。事実、作文についてのアンケートでは、大多数の児童が「国語が好き」と答えているのに対し、作文については「好き」と答えているのは全体の41%にとどまっている。もっとも「どちらでもない」と答えた児童も同数いたので、全くきらいという児童は少ない。「どちらでもない」理由として、課題によって書きやすいものと書きにくいものがあると答えている児童が多かった。また、この学年までに創作の物語をつくる学習も行っているが、はじめから終わりまで一人で完成させるために、必ずしも楽しい作品ができあがらないストレスを感じている児童も多いと考える。これらのことから、題材として興味・関心を引きつけ、書きやすい、書いてみたいと思わせるようなものを選ぶ必要があると考える。
この単元では、数人で一つの物語を書き上げていくという形で学習を行う。児童にとってこのような手法で物語をつくる経験は、今回が始めてである。リレーで物語を書くということは、一人で物語をつくることやグループで共同作品をつくることとは全く違ったおもしろさがある。それは、自分の考えたストーリーがどうなっていくのかがすべてのリレーが終わるまでわからないということである。しかもリレーされていく過程で、自分の意図が必ずしも反映されないということにもスリリングな魅力があると考えている。
今回の学習では、文章を作るに当たって起承転結の四つに分け、それぞれを分担することにした。このわけ方は、物語を構成する基本といえるもので、初め、中、終わりという形よりもねらいや役割がはっきりしているので、児童にとっても書きやすく、文章構成の楽しさを味わえるものであると考える。
このほか、今回の学習には推敲記号を使った推敲も含まれている。推敲記号は、文章を効率よく推敲するための記号で、一般的に使われているものである。自分たちの文章を効率よく推敲するために、この推敲記号を使うことが有効であることを理解させ、今後、文章を書くときに利用できるようにさせたい。
上記のような児童の実態をふまえて、自分の自由な発想を生かし、想像力をふくらませて書く今回の題材は、与えられた課題に即した作文と違い、興味・関心を喚起し「どちらでもない」「きらい」と答えた児童を引きつけることのできる教材であると考える。また、言葉でなく文章から原作者や前作者の意図を読み取らせつつ、自分なりの考えをもって書き継いでいくようにさせたい。さらにこの学習を通して、自分の構想したストーリーが多くの人の手で書き継がれることによって変化していく意外性を楽しんだり、自分とは違う考えや感覚を取り入れたりすることで、子どもの自由な発想を生かしながら、児童相互の友人関係や信頼関係を深めさせていきたいと考える。
次 | 時 | 学習課程と指導内容 |
1次 | 2 |
リレー作文の楽しさを話し合い、物語を作ることに意欲を持つ。 (1)教材文を読み、リレー作文の楽しさを知る。 ●リレー作文の方法(起承転結)を知る。 ●自分たちでリレー作文をする上でのルールを考える。 (2)身近な生活経験や読書体験をもとに、それぞれに書きたいことを話し合う。 ●話し合いの中で、テーマや題材を決め、構想を練る。 |
2次 | 5 本時 2/5 |
主題に即して、自由に書き継いでいく。 (1)構想をもとに「起」の部分を書く作業をする。 (2)「起」の部分を交換して「承」の部分を書き継ぐ作業をする。 (3)「承」の部分を交換して「転」の部分を書き継ぐ作業をする。 (4)「転」の部分を交換して「結」の部分を書き継ぐ作業をする。 ●前の物語の展開を的確にとらえて書く。 (5)できあがった作品を読み返し、推敲してあとがきを書く。 ●自分の書いたところを、まず推敲する。 ●作品全体を読み通し、矛盾しているところ、おかしなところなどを修正する。 ●あとがきは自分の予想と比べてどうだったのかを書くようにさせる。 |
3次 | 2 |
作品を発表する読書会をもち、各班の作品を評価し合う。 (1)班内でできた作品を読み比べ、発表する作品を選ぶ。 ●どこがいいのかを考え、どんなところを聞いてほしいのかを話し合って決める。 (2)班ごとに作品を朗読発表し、感想を発表し合う。 ●感想カードを使って、どんなところが良かったのかを相互評価させる。 ●自分たちが良いと思ったところがわかってもらえるように、発表の仕方を工夫する。 ※できあがったすべての作品は、学級内で展示する。学級文庫にすることも検討したい。 |
友だちの「起」の部分を読んで物語の展開をとらえ、「承」の部分を書き継ぐことができる
前時の学習 | 各自が考えたテーマや題材をもとに、「起」の部分を書く | |||
過程 | 時間 | 学習活動 | 指導上の留意点 | 準備・資料など |
導入 | 5 | 1.前時の学習を思い出す | ・前時に書いた「起」の部分を数名に発表してもらう。 | 〈児童〉ワークシート「起」 |
展開 | 10 15 5 5 |
2.「承」の部分について考える 友だちの「起」の部分を読んで「承」の部分を書こう ○「起」の部分を読んで文章を考える 3.「承」の部分を書く 4.自分の書いたものを読み返し、推敲する ○推敲記号を確認して各自に推敲させる 5.「起」「承」の部分を発表する |
・教師の方から「起」について考える上で重要なことがらを伝える ・言葉が浮かびにくい児童のために挿し絵用の紙を用意する ・時間で切ることを伝えておく ・推敲記号を書いたものを黒板に掲示する ・机間指導であらかじめ書いたものチェックしておく ・原作者とリレー作者で読み継ぐ形で発表させる |
〈教師〉挿し絵の紙 〈教師〉「承」のワークシート 〈教師〉推敲記号表 |
終末 | 5 | 6.次時の学習について確認する | ・「承」に続いて「転」を書き継いでいくことを伝える | |
次時の学習 | 前時までに書かれた「起」「承」を読んで、それに続いて「転」を書き継ぐ |
男子19名、女子19名、合計38名
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