第5学年3組 算数科学習指導案

平成15年10月23日(木)第5校時
男子13名 女子14名 計27名
授業者 寳迫 芳人

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1.題材名

小数のかけ算とわり算を考えよう(小数のわり算)

2.題材について

〈児童の実態〉

 本学級の児童は、さまざまな活動に対して意欲的に取り組み、自信を持ってやりきることができる子どもたちである。課題解決の学習形態にも慣れてきて、自分の力で課題を解決することを楽しむことができるようになってきている。2学期はじめに行った学習に関する調査では、クラスの3割もの子どもたちが、「わり算」に対して苦手意識を持っていることがわかった。そこで、実際にどの程度苦手なのかを調査したところ、わり算そのものが苦手なのではなく、あまりを出したり、特定の位以下の数を四捨五入したりするなど、ふつうのわり算に比べて手順が増えるものが苦手だということがわかった。これは、これまでの生活の中で、「計算の意味理解」よりも「計算の方法理解」を優先するような考え方が定着していることが原因であろうと考えられる。手順や桁が多くなり、やり方がわからなくなってきた場合、計算の意味を理解していれば、それを手がかりに問題を解くことが可能である。しかし、安易な方法理解に頼って、意味理解をおろそかにしていたために、ちょっとでもつまずいてしまうと正解を導き出すことができなくなってしまうのではないかと考えるのである。子どもたちが意味を理解できる指導方法を工夫する必要があると考えている。

〈教材観〉

 本単元で扱う小数と小数のかけ算わり算は、これまでに学習しているかけ算わり算の学習を小数にまで広げるものである。小数の含まれる計算(小数×整数、小数÷整数)については、すでに1学期に学習している。これに積み重ねていく形で、小数と小数のかけ算わり算の学習を行うのが本教材である。
 本時の学習では、純小数でわったときに商が被除数よりも大きくなることを学習する。整数でわる場合は、商は被除数より大きくなることはない。このことは、子どもたちも経験上よくわかっていることである。しかしこの教材では、商が必ずしも被除数より小さくなるとは限らないことを学習し、除数に対するイメージをくつがえして、「おもしろい」「不思議だ」という気持ちを引き出すことができるものと考えている。
 また本教材では、数量関係を利用して問題を解くことになっている。これは、6年生で学習する「単位あたり量」の学習につながる大切な部分でもあるため、確実な定着を図っていきたいと考えている。

〈指導観〉

 今回の小数のかけ算わり算の学習を進めるにあたって、2つのことに重点を置いて指導をすることにした。一つ目は、問題を構造的にとらえ、与えられた条件と求めなければならないことを明確にしてから問題に取りかかるということである。これは、文章問題から文意を読みとり、自分の力で問題を解くことが苦手な児童が多かったためである。もう一つは、問題の数の関係を視覚的にわかりやすくするということである。当初は、自分の思いついた形(絵や図)に表す活動を行い、子どもたちがどのようなものを描くか観察してみた。すると、問題の条件とは関係のない問題場面を表してみたり、数の関係を表すはずの図が、割合的にもおかしな図になっていたりといった傾向が見られた。そこで、数直線図やリボン図などを使った数量関係の表し方を繰り返し学習させて自分の力で描けるように指導した。
 また、単元を通して同じような形のワークシートを用意し、学習形態のパターン化を図った。これによって、子どもたちは学習の流れに対する見通しがもてるようになり、自力解決がスムーズに行われるようになってきた。また、既習事項を振り返りながら学習を進めることが容易になり、新たな課題に対しても、前時までの学習を振り返ればよいことを経験的に理解することができるようになってきている。
 本時の学習では、これらに加えてヒントカードや作業カードの活用を考えている。これは、今までの学習を頼りに、自分の力で立式ができない子への支援と数の関係を表す数直線図を書くのに時間がかかる子への支援のために用いることにしたものである。さらに、早くできてしまう子に対しては、別の問題を用意し、課題に対する理解をさらに深めていきたいと考えている。

3.指導の目標

○乗数が小数の場合の乗法や、除数が小数の場合の除法の意味とその計算のしかたについて理解し、それを用いる能力を伸ばす。また、計算法則は数範囲が小数の場合でも成り立つことを理解する。

〔関心・意欲・態度〕 ●乗数や除数が小数の場合でも、既習の整数の数量関係などをもとにして、乗法や除法の式に表そうとする。
〔数学的な考え方〕 ●整数の乗法、除法と関連づけて、乗数が小数の乗法、除数が小数の除法の計算のしかたを考える。
〔表現・処理〕 ●乗数が小数の乗法、除数が小数の除法の計算をすることができる。
〔知識・理解〕 ●乗数が小数の乗法、除数が小数の除法の意味やその計算のしかたを理解する。

4.指導計画

小単元 時数 学習内容
1.小数のかけ算 8 2 ・80×2.7の計算のしかたを考える
・80×2.7の計算のしかたをまとめる
1 ・3.8×2.6の計算のしかたを考える
・小数どうしをかける筆算のしかたをまとめる
1 ・4.2×7.5、0.4×2.3の筆算のしかたを考える
1 ・80×1.8と80×0.8の計算をして、積と被乗数の大きさを比べる
・純小数をかけると積が被乗数より小さくなることをまとめる
1 ・縦2.3cm、横3.6cmの長方形の面積の求め方を考える
1 ・交換、結合、分配の法則の式に小数を当てはめて、式が成り立つか調べる
1 ・「練習」をする
2.小数のわり算 8 2 ・200÷2.5の計算のしかたを考える
・200÷2.5の計算のしかたをまとめる
1 ・8.5÷2.5の計算のしかたを考える
・小数÷小数の筆算のしかたをまとめる
1 ・2.8÷3.5、1.8÷2.4などの筆算のしかたを考える
1
本時
・240÷1.2と240÷0.8の計算をして、商と被除数の大きさを比べる
・純小数でわると商が被除数より大きくなることをまとめる
1 ・2.5÷0.7におけるあまりを考える
・小数の除法におけるあまりの小数点をうつ位置についてまとめる
1 ・面積7.2Fの長方形の花だんで、横が2.9mだった場合の縦の長さを求める
1 ・「練習」をする
3.小数倍とかけ算・わり算 3 1 ・3.6km、1.8kmは、2.4kmの何倍かを求める方法を考える
・比較量、基準量が小数の場合でも倍を求めるには、除法を使うことをまとめる
1 ・5mの3.5倍、0.6倍の長さの求め方を考える
・小数倍のときも比較量は基準量の何倍で求められることをまとめる
1 63kgが基準量の1.8倍にあたるときの、基準量の求め方を考える
まとめ 1 1 「たしかめ」をする

5.本時の学習

(1)目標

・純小数(1より小さい数)でわると、商は被除数より大きくなることを理解する

(2)展開(13/20) ○主な発問、●予想される反応、☆評価項目、*支援

前時の学習 ・2.8÷3.5、1.8÷2.4などの筆算のしかたを考える
学習活動 指導上の留意点 準備と評価 時間
1.題意をとらえて立式する
○わかっていることに線を引きましょう
○求めなければならないことに波線を引きましょう



○予想をしてから式を立てましょう
●短いのに値段が同じだから赤の方が高い
●求めてみなければわからない
【問題】
白いリボンは、1.2mで240円、赤いリボンは、0.8mで240円です。1mのねだんは、それぞれいくらになりますか。
◎ワークシートを配布し、効率よく作業ができるようにする
◎白いリボンと赤いリボンのそれぞれの値段を求めなければならないことを押さえる(2つ立式する必要がある)
◎どちらが高いか予想をさせてから立式させる
・白…240÷1.2、赤…240÷0.8
*立式にとまどっている子には、整数でやった場合の立式の方法を思い出させる
・ワークシート

・白いリボンの図
・赤いリボンの図
・ヒントカード
☆題意を理解し、予想を立ててから立式することができる(観察・ワークシート)
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課題 1より大きな数でわるのと小さな数でわるのとでは、商の大きさはどのように変わるか調べよう

2.それぞれのリボンの1mの値段を求める
○1mの値段は、それぞれいくらになりますか
○わられる数よりも商の方が大きくなったのは、どちらのリボンですか
●赤いリボンが、わられる数よりも商の方が大きくなった
3.わられる数と商の大きさの関係を調べる
○それぞれの数直線図を見ながら、わる数と商の大きさの関係を調べましょう
●1より小さい数でわると答えがわられる数より大きくなる
●わって答えが大きくなるなんて不思議だ
○調べた結果を発表しよう
●1より大きい数でわると、商はわられる数よりも小さくなり、1より小さい数でわると、商はわられる数より大きくなった
4.純小数でわったときの商と被除数の関係をまとめる
○1より小さい数でわったとき、商はどうなるか、ワークシートにわかったことを書きましょう
●1より小さい数でわると、商がわられる数より大きくなることがわかった
○書けたことを発表しましょう
◎ワークシートに数の関係を表す図を描かせて数の関係を考えさえる
*作業にとまどう子には、作業カードを渡してスムーズに作業ができるように支援する
◎赤いリボンが、わられる数よりも商が大きくなっていることに気づかせる

*小数のわり算のやり方が未定着な子には、やり方がわかるように支援する
◎数直線図から、1より大きな数では、左側(小さくなる方)に1があり、1より小さい数字では、右側(大きくなる方)に1があることに注目させる
*自力でできない子には、個別に支援を行う
◎すぐに終わってしまった子に、確認プリントを配布し、1.2や0.8以外の数でわってその関係を確かめさせる
◎代表者に発表ボードをわたして、調べたことを書かせる
◎発表ボードを使って、みんなにわかりやすく発表させる
◎本時の学習について、各自の言葉でまとめるようにさせる

*机間指導で発表者をあらかじめ決めておく
・課題

・作業カード
☆図を用いて、商とわられる数の関係を考えようとする(観察・ワークシート)☆図を手がかりに、わる数と関連づけてわられる数と商の大小関係について考えている(観察)
・確認プリント・発表ボード
☆1より小さい数でわると、商がわられる数よりも大きくなることがわかる(発言・ワークシート)
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5.適応問題を解決する
○ワークシートの練習問題をやりましょう
○答えを確認しましょう
◎練習問題に取り組ませる
*自力でできない子には、個別に支援を行う
☆純小数でわる計算をすることができる(観察・ワークシート) 7
次時の学習 ・2.5÷0.7におけるあまりを考える
・小数の除法におけるあまりの小数点をうつ位置についてまとめる

〈板書計画〉

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