日本の妖怪映画
タオの月
(1997)
監督:雨宮慶太
出演:永島敏行、阿部寛、吉野紗香、森山裕子、谷啓、榎木孝明

戦国時代、浅見忠興に命じられ修験者・酔狂と居合い抜きの達人・疾風は調査に出る。
一方、少女れんげは月夜が照る夜飛来した異形の者達が争っているのを目撃する。
そして1人の異形の者から死の間際にある物を託された。
野伏の頭領・角行は千万の兵に値するというマカラガの存在を知りれんげ達を向かい入れるが・・・。

キャスティングが美味しい。
雨宮慶太というと「未来忍者」や「ゼイラム」等の古い作品のイメージが強い。
その頃に比べると作品のスケールとボリュームはどうかな?と気になる。
血も吹き出て腕も切り落とされるバッサリ感。

アビラを初めとする異形のというか異星人の潜水服のような姿はケムール人を髣髴する。
最近で言うと「CASSHERN」のブライ役の唐沢寿明。ヘアカラー系出てきちゃったなぁ。
森山裕子の1人3役というのは見ても中々分からない。
阿部寛のシャープな面持ちと目の鋭さは草刈正雄と類似する持ち味。
キャラ的には柳生十兵衛を意識しているような感じ。
吉野紗香のれんげはお爺ちゃん子というよくありがちで中々使われない設定の身の上。
榎木孝明の演じる角行は永島敏行が演じる修験者・酔狂とそう変わらない能力。
マカラガは顔面プレデターで下半身はスコーピオンキングしている。怪獣映画ほど大きくは無い。
ツノや真っ赤な感じは「レジェンド/光と闇の伝説」の魔王とイメージがダブる。
タオでコーンと音を鳴らせば鉄の精デプン女神が出て来る。(妖鳥シレーヌっぽい)
風水の印の演出や刀が共鳴するのが今までに無く風変わり。

最終的には頂上決戦のようなものは無く時代物の野外アクションにローカルさが滲み出ている。
「陰陽師 II」のラストに比べればまだ納得できる範囲だが
満足するには物語の重要部分だけに話を要約しすぎて感傷が足りない。
マカラガの進化形態を一段階用意してくれればもう少し広がりようがあった。
解説書に映画には無かった色々な形体が書かれている。
ミノタウロスからデビルマンぽいのやらガメラの邪神イリスぽいのまで多種多様なイメージが膨らんでいるのが分かる。

雨宮慶太の最近の作品
「牙狼 GARO」だったか「魔弾戦記リュウケンドー」だったかオープニングが好きなのよねぇ。
あの手がニョキニョキと伸びる陰陽師系ので大相撲ダイジェスト並の和風な曲。
そーいや昔、石橋蓮司が出演していた作品で小屋に3人だったか傘かぶった侍がズラっと暗殺しにきた?のがあって、
雨宮慶太の未来忍者をパクッてるなコレと思った事がある。
「危ない話 夢幻物語」だったな。

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大江山酒天童子
大映の1960年映画、総天然色作品。
出演:長谷川一夫、市川雷蔵、勝新太郎、本郷功次郎、中村鴈治郎、山本富士子、左幸子、中村玉緒

時代劇映画。
平安時代、源頼光及び四天王と酒天童子の戦い。鬼たるは人であるが故。
討ち取られたと思われた酒天童子だったがそれは部下が化けていたに過ぎなかった。
酒天童子の配下、茨城童子や鬼童丸が土蜘蛛や牛鬼に化けて都の藤原一門に復讐する。

坂田金時(金太郎のモデル)も四天王の1人。
橋での鬼女との戦い、斬られた腕を取り返しに身内に化け門前で心に訴えるという流れ等があり通のツボ。
勝新太郎が披露する舞の足の運び、すり足が能から取り入れている基礎も珍しい。
また陰陽師・安倍晴明(爺さん)もちょこっと登場している。
「大魔神」よりシーンは詰め込んであり雑多だが特撮はチャレンジに挑んでいる。
特撮・歌舞伎・文芸の範囲が備わって濃厚。
女性陣の美しさも引き立ち素晴らしい。
あれだけ復讐鬼と化して荒らしまわった妖怪+盗賊一味が女の涙に絆され頼光と和議して大団円。
酒天童子は橘の戻り何処かへ去っていくという意表を突くのも心中察するものがあるので違和感は無い。

予告編はスペクタクル巨編の「釈迦」と「秦・始皇帝」も見れる。
日本が関るスペクタクル史劇というと「敦煌」を思い出すがそれより以前に存在していた作品のレアな映像は感慨深い。
その質は「十戒」等に匹敵するくらい壮大さが出ている。
★★★
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妖怪大戦争
(2005)
監督:三池崇史
脚本:三池崇史、沢村光彦、板倉剛彦
製作:黒井和男
製作総指揮:角川歴彦
音楽:遠藤浩二
出演者:神木隆之介
主題歌:忌野清志郎 with 井上陽水 『愛を謳おう』
映画「妖怪大戦争」(1968)のリメイク作品。

作家の宮部みゆき 女史は妖怪マニアで複数の作家の妖怪作品とコラボしてる。

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