友人の勧めで客船に乗船することができた これなら汽車よりは寛げそうだ
友人とは20年来の付合いで、各藩の士が動き出す前に私はバテレンの通訳を兼ねていた
憂鬱な時間を無駄に過していた私は日の本に留まる理由がなかった
それが効をそうしたのか今ではこの体たらくだ
一人でいる時はコーヒーを欠かさず、食事にはワインを欠かしたことが無い
堕落なのか節操がないのか、新しいものには何にでも飛びついていた
あの竜馬や歳三も日の本で散った・・・一体あの国は何処へ行こうとしているのか もはや戻る気力さえなかった