鮎解禁日の長い一日
2004年6月2日

 6月1日は那珂川の鮎釣り解禁日です。前日からのドシャ降り雨(大雨の後は水温が低下し、魚の活性が悪くなるのは勿論のこと。水が濁って全く釣りにならないこともあります。)が朝方まで続き釣りは諦めていたところ、昼近くなって雨もあがり太陽が顔を出し始めた矢先、友人の誘いも有り『様子見』ということで川へ出掛けることになりました。

 ある程度の準備をしていたとはいえ、いざ出掛けるとなると鮎釣りは他の釣りに比べてその道具の量が半端じゃなく多いので一苦労です。
 竿と仕掛けとクーラーボックスはどの釣りにも共通ですが、独特なのは(1)ウエーダー(胴長靴)、(2)ブクブク(車などで移動する時にオトリ鮎を生かしておく水槽)、(3)船(釣った鮎を入れる。オトリ用に生かしておく魚入れで、釣りの間いつも腰にくくりつけて引いている。)、場合によっては(4)オトリ缶(オトリ鮎をより長く保たせるためにこの缶の中に入れて川の中へ沈めておく。)、他に着替え等をいれるとそれだけで乗用車のトランクは一杯になってしまいます。「チョット川へ行って来るかな。」じゃ済まない面倒くさがり屋には不向きな釣りです。

 何だかんだ車に詰め込んでいざ出発。川づたいに車を走らせると、居るわ居るわ、どのポイントにも竿が並んでいます。『今日は解禁日。お祭りだから参加する事に意義がある!』とはいえ、型を見なくては寂しいもの。何カ所かウロウロした末、ここは妥協して無難に上流の比較的水の濁りが少ないポイントに釣り座を決めました。但し、解禁初日はどこで釣れるのか手探り状態。逆に言えば、どこでも釣れる可能性があるのでここぞという所に竿を入れる。
 しかし、大概釣れるのは極限られたポイントで、そこに当たった幸運な人だけが良い思いをする。そこへ割り込むという手もあるがそんな事をしても窮屈な思いをするだけで良い結果にはつながらない。ここで我慢して釣り続けるか他のポイントに移るかの選択に迫られる。特に、正面の人に入れ掛かりを見せられると、焦るばかりで釣りが雑になり、掛かっても逃がしてしまう悪循環に陥る。

 川べりで一休みしていると、「どうだい?釣れっけ?」の声。さらに「何匹ぐらい?」「何時頃から?」と続く。思わしくない結果を告げると、「夕方になっと良いんじゃないの。」とか「前は(ここで)釣れたんだー。」と返ってくる。これが釣り人同士の礼儀。お決まりの会話。中には「どこどこで何匹(釣れた)。こんだげ釣れれば良いんじゃないのー。」というのがあるが、こちらとしても一応は「すごいですねー。」と答えるものの、期待半分ねたみ半分の複雑な心境になる。

 結局、『夕まずめ』まで粘ったものの釣果は上がらず無念の納竿となりました。そう、今日は解禁日。しかも大雨の後。釣れても釣れなくても釣りが出来ただけ良しとしなければなりません。帰り道、疲れと共に妙な充実感が漂った長い一日でした。

 p.s.釣り用具の呼び名は我々が普段使っているもので、地方によって呼び方が違います。ご理解ください。



「ミヤコタナゴ」半自然の環境で繁殖
2003年10月14日

 10月9日付の下野新聞によりますと『栃木県矢板市の農業用ため池で昨年秋(10月21日)に100匹放流したミヤコタナゴから50匹が繁殖した。・・・』とのことです。

 学術的には自然生息とは言えないが、このため池に元々生息していたミヤコタナゴが産卵場所であるドブガイの減少に伴い繁殖が困難になってしまったものを、地元「保存会」の尽力で底ざらいや競合生物の排除など池の環境を保全することによりドブガイが自然繁殖し、今回のミヤコタナゴの繁殖に繋がったものとみられます。

 今後は、ミヤコタナゴが自然環境の中で生息するにはどのような環境がいいのか、植物や生物との関係を観察しながら研究して行くことになりますが、なかなか入手困難なものもあり順調に研究が進んでいるとは言えません。地道な活動ですが見守っていきたいと思います。 

 【ミヤコタナゴとはどういう魚?】 
 全国でも関東にのみ生息しているコイ科タナゴ属のフナによく似た淡水魚で、体長が数センチと小さく、特徴的なのはメスが産卵期になると尻ビレの前方に細長い産卵管をのばし、これを生きている二枚貝のエラの中に差し込んで産卵します。近年、川の汚染や二枚貝の減少によって生息地が限られ全国でも数カ所しか確認されていません。その希少性から昭和49年に国の天然記念物指定を受けました。



鮎釣り
2002年6月3日

 那珂川の鮎が6月1日より釣り解禁になりましてさっそく出掛けてみた訳ですが。
 実に2シーズンぶりとなる鮎釣り、洪水災害の護岸工事も今だ継続中で川全体が良好とまではいきませんが、それでも川相を観ての好ポイントに太公望が竿を並べていました。
 
 鮎釣りには様々に伝統的な釣り方があって、ここ那珂川で許可されているのは友釣りドブ釣りだけに限られます。

 友釣りとは自分のナワ張りに進入してきたものを追い払おうとする闘争本能を利用して、掛けバリを仕掛けたオトリ鮎を意図的に進入させハリに掛けて釣り上げてしまう鮎独特の釣法でありまして。近年オトリもろとも引き抜いて網でキャッチする“競技用”の取り込み方が主流ですが、私は趣にこだわって寄せて網ですくう方を選択しています。
 一方、ドブ釣りとは川へ登り始めるときに主に捕食する昆虫類に似せた疑似餌で川の深み(淵、ドブ)を探る釣り方で300年以上の歴史があり那珂川でも盛んな釣法です。中には一日100匹以上あげるベテランも居てポイントに当たれば大漁が望める釣りでもありますが、ハリの選定や仕掛けの動かし方が難しく一朝一夕にはいかない所にこの釣りの奥深さがあります。

 今年は解禁前に雨が少なく減水して水温が高いので友釣りよりこの様な状態では毛針のドブ釣りが有利です。しかしドブ釣りのポイントというのはごく限られていて近年の友釣りブームで好ポイントを探すのは更に難しくなりました。

 黒羽より小川まで川づたいに続く道をポイントごとに確認しながら下っていくと、とある開けた景観の良い場所に辿り着きました。すでに夕方近くなっていましたので「この辺で」と思い川へ降りた訳ですが。
 川を挟んで3人のドブ釣り師がいて手前の老人に尋ねると流心近くが良いとのこと、とりあえず型を見るだけでも今日は良しとし、はやる気持ちを抑えながら2シーズン分の思いを込めて竿を出しました。

 久しぶりの清流は生暖かく、竿先に全神経を集中させると次第に川と一体になって溶け込んでいくようなゆったりした気分になります。日が暮れるに従い一人、二人釣り人が去って行くと今度はカワウ(野鳥)のお出ましです。
 薄暗く涼しい風が吹いてきたので納竿しました。結局、釣果は平均15pが9匹といったところ。まあ、こんなもんです。川の状況と周りの友釣りがほとんど掛かっていないことを考えれば上々の解禁でした。

 那珂川(栃木県)の鮎は解禁当初放流ものが主体です。天然ものはまだほとんど遡上していませんからこの辺で今釣れるのは放流ものといって間違いないでしょう。これから梅雨に入り雨で水かさが増えるとどんどん遡上してくるし、一雨ごとに大きくなると言われる体長も釣り人を喜ばせてくれます。
 しかし、水温や流れのちょっとした変化で大きく釣果が左右されるのもこの釣りの特徴。釣れるのもたまたま、釣れないのもたまたま。他人の情報に惑わされないように行動したいものですが...。なかなか難しい釣りです。



渓流解禁に思う
2002年3月17日

 我が那珂川の渓流釣りが3月21日に解禁となります。そもそも川の禁漁期間を定めたのは自然保護、魚の自然繁殖などの理由があると考えられますが、実際、解禁と共に押し寄せる太公望を満足させるためには大量の放流が必要になってきます。
 
 そこで、最近注目されているのは鬼怒川水系・藤原町漁協が昨年、「キャッチ&リリース専用」区間を渓流に設けたこと。これにより前年比1.5倍の入漁者があったことで、今年はさらに放流量を増やし専用区間も500Mから1.4KMに延長される見込みだそうです。
 この試みで注目を得て減少してきた渓流人口を引き戻し、人気定着の足掛かりにしようと漁協一丸となって努力しています。

 今年の那珂川の放流量は、ヤマメ450キロ、イワナ450キロの予定だそうです。でも何はともあれ、以前にも述べましたが、釣りが楽しくなるもつまらなくなるも釣り人個々の自覚に頼るしかないのです。近年、密漁に加えカワウの食害問題も浮き彫りになってきましたが、まずは友人・家族で手軽に釣りを楽しめる環境を作っていく事が必要なのではないでしょうか。



白鳥の沼
2002年1月26日
    
     ハクチョウ      羽田沼

 那須湯本から車で40分ほど南下した所に白鳥の飛来する「羽田(はんだ)沼」があります。今年も白鳥が約90羽、カモ類が数100羽やってきました。この沼には葦(あし)が生い茂っていて護岸などを施さず自然のままの状態で保護されています。しかも周囲は田畑以外に2〜3件の農家があるくらい閑静な所で、天然記念物の「ミヤコタナゴ」が確認された場所でも有名です。そんな絶好の条件が白鳥に安心して越冬できる環境を作り上げたのでしょう。
 
 この沼に白鳥が初めて飛来したのは1970年。最初は5羽でしたが年々数が減り、一時はほとんど飛来することもなくなりました。そこで環境保護のために“釣り禁止”など沼への立ち入りを制限することによって、白鳥が戻ってきたのです。
 今日現在で92羽が確認され、2月中旬までにはさらに数が増えると期待されます。

 本日は土曜日ということもあり道路には車がびっしり駐車してあって、親子連れでエサをあげている姿が目立ちました。・・・白鳥の目って可愛いんですよね。岸から1〜2メートルの所にエサをまくとカモたちが一斉にやってきてついばみますが、白鳥はちょっと離れた所でジッと様子を伺っています。「これは大丈夫」と悟るとカモに紛れてソーッと近づいて来ます。でもある程度の距離は保っていて、エサがあってもそれ以上は近づきません。人間(外敵)から身を守る野生の知恵なのでしょう。
 
 一日見ていても飽きないくらい、水鳥たちに魅せられた小春日和の一日でした。



「ミヤコタナゴ」絶滅の危機脱出?
2002年1月12日

 1月11日付「下野(しもつけ)新聞」によると「なかがわ水遊園」では、天然記念物に指定されている「ミヤコタナゴ」や絶滅の危機にさらされている希少魚の「ムサシトミヨ」の他、「アブラハヤ」「ヤマメ」「アユ」など8種類の産卵が確認され、そのうち数種類の稚魚が誕生したとのことです。特に「ミヤコタナゴ」は稚魚の数が500〜600匹というから驚きです。

 外部から展示魚を補充するのが通常で、自家繁殖している水族館は全国でも希らしく、水深や流速など細部に至るまで研究・実践してきた関係者の努力と熱意には頭が下がります。

 現在、絶滅の危機にある動・植物も、人間の手によって保護・飼育され幾つかはその難を逃れていますが、自然界においてその環境の変化に順応できない彼らは、いくら人間の償いの手を差しのべても近い将来この世から消えて無くなってしまうでしょうが、それは仕方のないことなのでしょうか。



「ミヤコタナゴ」が訴えたものは?
2001年9月13日

 今年7月15日、湯津上村佐良土の那珂川沿いにオープンした「なかがわ水遊園」が、9月15日で入館者20万人を突破しました。

 栃木と茨城の方ならよく御存知と思いますが、R294の湯津上村・那珂川と箒川の合流地点の上流に那珂川をテーマとした”水と緑の体験ゾーン”ができました。

 ここは、魚や水と直接ふれ合うゾーン・体験して学習するゾーン・魚の展示ゾーン(水族館)がありまして、中でも水族館では日本の淡水魚・世界の淡水魚・熱帯雨林や珊瑚礁の海の魚たちなど、その数約230種類・60,000匹にも達します。
 特に、栃木県産・那珂川水域だけで約120種類を数えるのには驚きです。おそらく淡水魚だけでこれだけの種類の展示は他にないでしょう。

 ところで”最後の清流”などと呼ばれた那珂川ですが、現状はひどいものです。かつてどこの小川にもいた魚たち、今では天然記念物に指定されている「ミヤコタナゴ」や「イトヨ」、絶滅の危機にさらされている希少魚の「イトウ」「アカメ」「メダカ」「ムサシトミヨ」などは ≪我々の命を守るためにどうしたらいいのか考えてみてください≫ と問いかけています。

 以前に”水遊園”付近の小川で「ミヤコタナゴ」が確認され、そしてその小川は保護されましたが、その後ほとんど姿を見ることができなくなりました。

 どうしたら救えるのか・・・。
泳ぐ姿が切なく感じられました。



アジサイには雨が似合う
2001年7月11日

 
我が家のアジサイが花を付けました。雨に咲く花アジサイはカラ梅雨にも元気に姿を見せ、深い青で目を楽しませてくれます。

 7月に入っても雨らしい雨が降らず、ただ、蒸し暑いだけの毎日で恵みの雨を期待していたところ、梅雨明け宣言が出されました。地球温室化効果ガスの増加や、インド洋の東側海域の水温低下によって雲が出来にくい状態にある等々、原因があるようですが・・・。
 
 ここは山間部、梅雨が明けた方が雨が降りやすいのは事実。これからの雨に期待して。やっぱり、アジサイには雨が似合います。



沼原湿原
2001年6月28日

 那須湯本でも気温30度に届きそうな梅雨の晴れ間に、沼原湿原に出掛けてみた。束の間の陽気を楽しもうと、平日にしては車も多く、観光バスまで繰り出していた。
 標高1200Mはさわやかな風が吹いていたが、15分ほど歩いて湿原に出たころはさすがに汗がにじむ。木道を進んでいくと、まずは開花の終わったザゼンソウの葉(5月開花)、サンショウウオ、そして点々と黄色い花が目に付きはじめる。ニッコウキスゲの大群落だ。まだ3分咲きというところだが、7月いっぱいは辺り一面を覆いつくす見事な光景を見せてくれる。他にもモリアオガエルのオタマジャクシや高山植物など、貴重な生物の宝庫だ。

 小一時間ほどの探索だったが、他にもちょっとしたハイキング気分が味わえるものや、三斗小屋温泉・那須岳までの本格的なハイキング・登山コースもあり、天気の良いときに、トライしてみる価値は充分にある。

           湿原木道       ニッコウキスゲ
            
蘇った川
2001年6月26日

 
本流ばかり通って今年は魚がいないと諦めていた。支流は4年前の水害で今だ工事用車両が出入りしている。復旧の状況も見てみたいと思い、災害後始めて訪れて驚いた。草木がうっそうと茂って、日中でも薄暗かった川が、石だらけの開けた河原に変わっていた。人の手で石を敷いた川はとても魚など住めそうもないと思いきや、上流から流れてくる枯れ葉や流木が堆積して微生物や川虫が繁殖し、わずか1〜2年の内に魚が住める環境になっている。

 2時間ほど竿を出して様子を見てみると、数回の魚信がある。魚影も濃そうだ。釣り上げたヤマメは21CM、立派な体格である。昔、私のホームグラウンドであった川で久しぶりの再会にしばらく興奮が治まらなかった。

           余笹川       ヤマメ



梅雨
2001年6月20日

 全国的に梅雨の季節。私が住んでいる所は緑が多いんですが、雫を吸って葉っぱがどんどん広がっているように感じます。しかもその水滴の重さで木の枝が家に覆い被さってくるようです。

 そういえば、周辺の花壇に花が植えてない事に気づきます。この時期に植えると、根腐れを起こしたりカビが生えてしまいます。私の家も例外ではありません。緑と温泉の地熱で湿度が高いのでしょうね。たまに晴れるとすがすがしいのですが、じっと我慢の季節です。



キャッチ&リリース 
2001年5月23日

 今年の渓流は例年になく悪い年でした。本来釣れるべき所に魚がいない。雪しろが多かったことも原因に挙げられると思いますが、どうやら、大量に放流したとの情報が流れ、釣り人がどっと押し寄せた為らしいのです。実際に解禁当初100匹も釣り上げた人がいるとのこと。まさか全部持ち帰ったとは思いませんが、もし、15CM未満のものを持っていったとしたら、渓流に魚がいなくなります。ヤマメは生後3年でやっと15CM(成魚)になるのです。

 釣り人はマナーが悪いと言われていますが、マナー違反をすればあとで自分に降りかかってくることを忘れずないで欲しい。サイズと量をわきまえて、常にキャッチ&リリースの精神でいれば、釣れても釣れなくても余裕を持って楽しめるはずです。

 さて、6月になれば清流の鮎が解禁になります。大部分の釣り人はそちらへ流れていくでしょう。再び静けさを取り戻した渓流で、散らばったヤマメやイワナを追う楽しみが出てくる。
                                   
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