大江戸線界隈探検隊

読売文化センター講座(新宿・金町教室)

第10回 両国界隈(2003/1/9)
両国といえば大相撲。その因縁は天保3年(1883)、回向院の境内で定場所が始まった ことに遡る。明治42年(1909)、この回向院境内に相撲常設館として国技館(旧両国国技館)が建設され、天候に関係なく本場 所が興行できることとなった。大正6年(1917)に失火により全焼。大正9年に再建されたが、太平洋戦争中の昭和20年空襲で 焼失。昭和29年に蔵前国技館が建設されてようやく定着。さらに昭和59年11月、老朽化により閉館された蔵前国技館の隅田川対 岸にあたる旧国鉄両国駅操車場と中央卸売市場江東市場の跡地に両国国技館が建設され、大相撲は両国の地に戻ってきたのである。
本所松坂公園(吉良邸跡) 首洗いの井戸 回向院山門 力塚
松坂公園(吉良邸跡) 首洗いの井戸 回向院 力塚
昭和9年に地元の有志が遺跡を後世に伝えようと、旧邸の一角を購入し公園にしまし た。ほんとに小さな場所ですが、かつての吉良邸は約2500坪の広大な屋敷でした。赤穂浪士が絵図面を手に入れなかったら仇討ちを成就 できたかどうか。 園内には、吉良屋敷に在った稲荷社と、その横に上野介の首を洗ったといわれる「首洗いの井戸」があります。 回向院の山門は、実に近代的で、江戸の面影はみじんもありません。しかし、 寺の歴史は明暦まで遡ります。1657年の大火(振袖火事)は、江戸市中の6割が焦土と化し犠牲者は10万人 。その死者を弔うために建立されたのです。 かつてはこの境内で勧進相撲が行われてい縁なのでしょう 「力塚」がありました。他にも海難事故、獄死、刑死、行路病死者などの供養塔が多数あります。これがこの寺の特徴といえましょう。
ねずみ小僧の墓 猫の供養碑 力士のブロンズ 旧両国駅
ねずみ小僧次郎吉の墓 猫塚 横綱の像
後ろの墓石の角が丸くなっているのがわかりますか?墓石のひとかけらを持っていると願いが叶うということで削られた跡です。そこで持ち帰り用の墓石が前に立っています。何とも不思議。 の寺は、動物の供養碑もたくさんありました。これは二匹の猫が戯れている像です。他に「犬」「小鳥」の碑もありましたよ。何でも受け入れてくれる懐の大きい寺ですね。 回向院を出て、国技館へ向かう通りを国技館通りと呼びますが、この通りのあちこちに、このようなモニュメントが立っています。雲龍形の土俵入りです。四角く見えるのは歴代横綱の手形です。 和4年に竣工された旧両国駅。今は「ビアステーション両国」となりサラリーマンの憩いの場となっています。かつての構内には横綱の肖像画が何枚も掲げて在ったのですが今は2枚だけになってしまいました。
四つ組むお相撲さん 国技館前の幟旗 やぐら太鼓 両国国技館
かわいいお相撲さん 大相撲の幟 やぐら太鼓 両国国技館
両国駅の前にかわいいお相撲さんの像が。丸々と太った子どものような姿に思わず撫でてしまうのかお尻の辺りが手垢で黒ずんでいました。 国技館前には初場所が近かったので、色鮮やかな幟旗がたくさん立っていました。旗はそれぞれの後援会から贈らされたものです。 昔は木組みのやぐらだったのでしょうが、今は近代的な金属性のやぐらになっていました。はしごが付いていたので実際に上って叩くのでしょうね。 江戸東京博物館の食堂から撮影した、両国国技館の全体像です。一度蔵前に移転した時期もありましたが、再び両国に戻ってきました。
旧安田庭園 旧両国公会堂 心字池にかかる太鼓橋 東京都慰霊堂
旧安田庭園 庭園から見る旧両国公会堂 庭園内の赤い太鼓橋 東京都慰霊堂
もとは丹後宮津藩の下屋敷があったところ。明治になって安田財閥の安田善次郎氏の所有するところとなりました。心字池を中心にした潮入回遊式庭園です。 心字池越しに見えるのは「旧両国公会堂」現在は使われておりません。ドーム型の建物は景色にすっかりなじんで見えました。 この庭園はかなり起伏があり、変化のある庭園です。見る場所によってさまざまに形を変えた庭が望めます。緑の木々に朱色の橋が美しいですね。 旧安田庭園の向かい側にあるこの場所は陸軍の被服廠が在った所。関東大震災の折にこの地に逃げ込んだ市民が大勢亡くなった場所でもあります。
復興記念館 展示品 展示品 江戸東京博物館
復興記念館 展示品(焼けて捻じ曲がったトタン) 展示品(焼けたレジスター) 江戸東京博物館
復興記念館は昭和6年の竣工。震災の記録と空襲時の遺品などが展示されています。 熱でねじ曲がったトタン屋根が当時の写真を再現して展示されています。 灰色の塊みたいなのは、灼熱地獄で飴みたいに溶けてしまったレジスターです。 1/5より「大江戸八百八町展」が始まりました。日本初公開の「煕代勝覧」が見ものですよ。お見逃しなく。
博物館のエントランス ブリキのおもちゃ 犬張子 獅子頭
エントランスの床に江戸の地図 ブリキの金魚 犬張子のぬいぐるみ 獅子頭
博物館のエントランスの床に大江戸の絵図が出現。こうして絵図の上に乗って見ると江戸の形が良くわかりますね。 ミュージアムショップも楽しいですよ。懐かしい赤い金魚のじょうろです。お風呂で遊んだ記憶が思い出されます。 ぬいぐるみの犬張子。これなら小さい子が遊んでも危なくありません。 お正月らしい飾りではありませんか。お家のインテリアの参考になるでしょう。