STORY〜物語〜

1ST WORLD
逃亡の始まり編・解説
該当話数 第1話/ミリタリー・モーゼル
第2話/見知らぬ町!!
第3話/かけられた手錠!!


数奇な運命によって、パラレルワールドを放浪する少女・アリサ。そ
の発端を構成するのがこの第1話から3話までであるが、プロローグ
編にふさわしいスキのない、完成度の高い構成だ。

まず、注目すべきはアリサの心理状態を丹念に描いてる点。空手部に
所属し、UFOにも興味を持つ、少々おてんばな女の子として登場し
たが、ソロンの追っ手に襲われたことで、両親や友達と離れ離れにな
ってしまう。そして、追っ手の執拗な追跡によって、アリサは戦うど
ころか恐怖に怯えてしまうのだが。ここでのアリサは「無敵のスーパ
ー・ヒロイン」ではなく、あくまで「普通の女の子」であり、「等身
大の少女」である。それを考えれば、両親や友達に会えない寂しさ、
追っ手に対する恐怖は「おてんばな女の子」を「か弱いただの女の子」
に引き戻すには十分すぎる出来事だ。それと、このプロローグ3部作
はほぼ全編にわたってアリサの視点でストーリーが進んでいる。だか
らこそ、読者をストーリーに引き込むことができるし、追っ手に襲わ
れ、恐怖に怯え続けるアリサの姿に感情移入ができるのだ。

もう1点は基本設定をストーリーの流れを損なうことなく説明してい
る点。話数に沿って整理してみるとこうなる。

第1話/パラレルワールドは実在すること、アリサの出生の秘密とソ
ロンに狙われる理由。
第2話/パラレルワールドの概念
第3話/移送空間の入口と出口は別々に存在すること、アリサの戦い
は「誰も助けることができない、孤独の戦い」であること

特に第2話では、「アリサの育ての両親が存在しない仲町」という世
界にアリサを迷い込ませることで、「パラレルワールドとはこういう
もの」というのを分かりやすく説明する形になった。続く第3話では、
警官を絡ませることで「アリサは1人で戦わなければいけない」とい
うことを強調させている。

アリサの“育ての”両親があの後どうなったのも気になるところだが、
あくまでアリサの視点のみでストーリーを進ませたことで、自らの運
命に翻弄されるアリサの姿と基本設定を無理なく描くことができ、プ
ロローグ3部作の完成度を高めたのである。


第1話からのストーリーを見る

「アリサが出会った人たち」を見る

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