銃について思いついたこといろいろ
漫画描きの視点から
とりあえず原則として「アイウエオ順」に並べています
ただ例外として一番上の方に置いてる記事もあります
最新更新 2004 09 14
合衆国の時限立法 2004 09 14
今朝(2004年9月14日)のテレビニュースで報道されていたのだが、アメリカ合衆国の多弾数の銃を規制する法律が近々廃止され、「軽機関銃の販売が解禁(短機関銃と言っていたか、原文ママ)」になるという。
チャンネルを回している最中で詳しいことは定かでないが、クリントン時代に時限立法としで作られたものが、ブッシュ時代にも持ち越されていたのだが、全米ライフル協会がこの法案を廃止しない限りブッシュを支持しないということもあって(?)このたび廃止が決定されたとか。
この法案は要するにこのサイトの銃のページでも触れてきた「90年代半ばにオートの弾数が10発に制限された」という例の法案だと思う。
だとすると「軽機関銃(サブマシンガンの意か?)」のみならず多弾数の拳銃も販売が再開されるということか。
パラ・オーディナンスなどの複列弾倉ハンドガンや昔懐かしいキャリコの銃なども再開されるのか。今後の情報を注目したい。
また、これによる合衆国の犯罪との相関関係も、である。
新聞、雑誌、テレビなどの当てにならない報道 2003 02 21
「噂を信じちゃいけないよ」
ではないが、一般の報道は鵜呑みにしてはいけない。銃器専門誌の記者ですら間違いはある。いわんや一般の報道をや、である。いや、むしろ大半が何かしら間違っているくらいのつもりで見た方がいい。
銃器に興味のなかったシロウトさんがこれからそのジャンルの資料を集めていこうと思った場合、新聞、雑誌、テレビ、そしてネットなどの記事をまるまる信じてしまうと困ったことが起きる。あちこちで不勉強な記者が間違った記事を書いているため、収集した情報が互いに矛盾して意味不明になるのである。
以前テレビのニュースで犯罪に使われた凶器の写真が映ってそれに関してアナウンサーが述べているコメントと、まったく合ってないことがあった。たとえばライフルと散弾銃くらい(いや、もっとだったか)の違いである。
最近もインターネットで、S&W社(映画『ダーティーハリー』でおなじみの44マグナム拳銃の発売元)が世界で最強の弾丸を発射できる拳銃を発売するという報道があったが、弾丸の名前も訳が間違っていたようだし、なにより「非軍事用の銃器では市販のあらゆる銃の破壊力を超える」などととんでもないことが書いてあった。
市販の非軍事用の銃器といえば猟師の使う散弾銃やライフルもあり、それら全てを越える威力の拳銃などまず考えられない。ここはせめて「市販のあらゆる拳銃の破壊力を超える」と書くべきであった。
そんなこと前後の文脈から見れば、ライフルや散弾銃のことじゃなくて拳銃のことだってわかって当然(常識)だろう、と思うのは、ある程度銃器に詳しいマニアの人であって、まったくそれらに興味のない人が見たらそんな判断はつきっこない。
つかなかったからどうだというのか、我々一般人の生活に何の影響があるのか。
そう思う人もおいでだろうが、これから銃器について学ぼう(たとえばアクション漫画を描きたいから)と思っている人などに対して、白紙の状態でいるところに間違った知識をインストールしてしまうのである。
ついでに言うと同記事には「これまでのナンバー1だった「マグナム44」は」などという記述もあり、どうもこれを書いた記者の銃器の知識は1970年代で止まっているようだ。44マグナムより強力な弾はその後いくつも開発かつ市販されている。
けっこう間違えられる用語にS&Wの「38スペシャル」とただの「38口径」がある。
前者は薬莢の径が0.38インチ≒9.65ミリで弾丸の径は9mmなのだが後者は弾丸の径が0.38インチ≒9.65ミリである。弾丸を使ったトリックのサスペンスものなどで、ここを取り違えて作ったり翻訳されると、見てる方は何がなんだか判らなくなったり、トリックそのものが成立しなくなるのである。
こういったいい加減な報道は、銃器に限らず、たとえば医学関係のものでもよくあると、本職の医者から聞いたことがある。何事にも眉につばつけて見るのが安全なようである。
『ミステリーが語る銃の世界・小林宏明のGUN講座』 2004 07 18 改訂
株式会社エクスナレッジというところから発行された(2002年6月10日第一刷)の本である。翻訳家である著者が、海外の小説等を翻訳する際の疑問、同業者から受ける質問などをきっかけに独学で調べて書き上げた、これは見事な銃器に関する入門書である。とりたてて著者はガンマニアなどではない方のようで、それがここまで研究されるというのはなまなかなことではない。
そこそこのマニアを自負する私も初めて知った情報があった。
一般の(銃器マニアではない)方が映画や小説を見ていて、わけがわからないと思われる銃器に関する疑問のほとんどが、ここに解答されている。そういった方面について知りたいと思われる方にはオススメの一冊である。
私も拙著『謹画信念』などで銃器のイロハついて書いた。間違いのないよう十分注意したつもりであるが、それでもいくつか誤謬があり、再販時に修正したりしている。
蛇足を言うと、上記の同書にも少し首をひねる箇所があった。
「翻訳現場からの疑問」のコーナーに
「ある本を訳していたら、a slide mounted safetyという言葉にぶつかりました。このような安全装置は聞いたことがありません。「スライド式安全装置」などと訳していいのですか?また、それはどういうものなのでしょう?」
という質問に
「まず、slide mounted safetyは「スライド式安全装置」ではなくて「(DAオート拳銃の)スライドに組み込まれた安全装置」という意味です。PPKやベレッタの写真を見ればわかるように、安全装置はスライド部分に組み込まれて(マウントされて)います。したがって、その安全装置は「デコッキング・レバー」のことと思われます」
と答えておられるのだが、これはいささか表現が不適当のように思う。
デコッキング・レバーとは激発準備状態「よーいどん!」の状態にある撃鉄を安全に「休め」の位置に戻す装置である。銃によってはスライドではなくフレームにも付属するメカであってslide mounted safetyと100%イコールではない。
確かにスライド上のセイフティは大概デコッキング・レバーと兼用されるが、世界中の全ての拳銃のスライド上のセイフティがそうなのか私は不勉強にして知らない。もし、そうであるなら小林氏の回答は間違いではないのであるが、この本は初心者も読む(むしろ初心者のためにこそ書かれた?)のであるから、そういう混同を招く表現は避けたほうがいいように思う。
もう一つ蛇足であるが、同書の銃器に関する年表に、90年代半ばに「オートの弾倉が十発に制限される」とあるのだが、これはあくまでアメリカ合衆国内でのことである。同書を端から端まで熟読すれば、そのことはわかるのだが、初心者があわてて概要を知ろうと年表ページのみを開いた場合、すべての国のオートマチック拳銃が「十発に制限され」たかと誤解しかねない。それくらい常識で・・・とは言えないのがシロウトなのである。
とまあうるさいことを書きましたが、名著であることに変わりはありません。
私も愛用させていただきます♪
補足 2004 07 18
あの後、資料を調べていて気が付いたのであるが、有名なオートマチック拳銃モーゼルHScはスライドにセイフティが付いているが、あくまでセイフティであって、同銃にデコッキング・メカはない。
よって、スライド上のセイフティを即デコッキング・レバーと考えるのは間違いである。
同じく有名なハンドガン、デザート・イーグルもスライド上にセイフティがあったが、あれがデコッキング・レバーを兼ねているという話は聞いたことがない。私の思い違いであろうか?
またワルサーP99のスライドにはいわゆるスライド・セイフティとは形状の異なる「押して作動させるデコッキング・メカ」がある。月刊Gun誌1999年11月号の記事で「レバーが主流のデコッカーだが、押して作動させるというのは筆者が知る限りP99だけだ」とTurk Takano氏が書いておられた。同誌の記事では、あえてデコッキング・レバーと記さず「和製英語」と注を付けた上で「デコッカー」という単語を当てていた。
ところがである。私がワルサー社のホームページにアクセスしてダウンロードした同銃のカタログには、その部分のメカが堂々と「Decoking Lever」と表示されていた。ううむ。私の感覚では「レバー」と呼ぶには無理のある形状のような気がするのだが、ワルサー社はあくまで混同を避けて判りやすい表現をとったつもりなのであろうか。私はGun誌の和製英語に軍配を上げたいのだが・・・。
クィックローダー(スピードローダー) 2002 12 02
回転式拳銃(リヴォルヴァー)の弾倉に一気に弾丸を全弾装てんするための便利な道具。スピードローダーとも言う。拙著『弾(アモウ)』のヒロインがショルダーホルスターの右脇にぶら下げているポウチの中に入れているのがそれ(こちらの図・参照)。

この写真はアモウの愛銃のモデルガンとホンモノのショルダーホルスター、そしてクィックローダーを写したものである。6発弾丸が付けてあるが一発だけでかいのはホンモノの357マグナム弾と同じサイズの模擬弾(別途購入した物)のため。あとの5発はモデルガンに付属の模擬弾である。実寸のものもないと、作画の時に資料の役目を果たさない。
ローダーのお尻(この写真で言うと下側)の取っ手をつまんでリヴォルヴァーのレンコン型の弾倉に弾丸をすぽっとはめ込んで取っ手をひねると弾丸の尾部をホールドしいてたのが解除され、装てんが完了する。このホールドと解除はゴムの圧力でやるものとか色々あるらしいが、とりあえず私の持っている資料はこのタイプである。
アモウのショルダーホルスターにはこのクィックローダーを二つ収納できる。つまり6×2個=12発の予備弾が迅速に装てんできる状態で持ち運ばれるわけである。

『弾(アモウ』第一巻より。クィックローダーの使用場面。本場の有名な銃器インストラクターのVTRを参考に構成したもので、信用していただいてさしつかえないと思う。
グロック 2002 08 21
拳銃にくわしくない人が漫画で描くには便利な拳銃である。
形がシンプルで直線が多く、デッサンが取りやすい。
撃鉄(銃の後ろについている弾丸の尻を叩いて発射させる部品。これが起きているかいないかで、その銃の持ち主がすぐに撃つつもりなのかそうでないのかとか、じつは殺す気はなくて脅しで銃を構えているかとかが見えてしまったりするのだが、知らない人はたいてい無頓着に描いてるので、なまじ知ってる人間が読むと混乱してしまう場合が多々ある)が露出してなくて内部にあるので、その状態を気にして描く必要がない。起きてるかどうか外から見えないのである。
アシスタントに執筆を頼んでおいても、土壇場になって
「ここ撃鉄起こしといてって言ったじゃーん!!」
とかいう悲痛な叫びを上げなくていい。
使いやすい拳銃でアメリカなどでは広範囲に出回っているので、登場人物が持っていてもあまり無理がない(こんなレアな銃、こんな普通のチンピラがどこで入手したんじゃ?とかいう心配が少ない。いや、日本でその辺のただのチンピラが持つには無理があるが)(笑)。
資料用のトイガンも入手が簡単。
以上、銃本来の性能とかとは無関係に、漫画描きの視点から書いてみた。
グロックの利点 2004 07 17
グロックの利点について大変興味深い記事を見つけたので記す。
私が愛読する雑誌、月刊Gun誌の2004年2月号掲載のウッディ小林氏の記事である。
気温が氷点下何十度にもなるアラスカの地でのこと。
真冬の分厚い手袋で弾倉の交換はしんどい。多弾装の銃がいい。グロックは多弾装である。
シングルアクションのセミ・オート・ピストルではトリガーガードが小さく不便である(手袋をしたままでは指が入りにくい。ハンマー・コッキング状態では暴発の危険もある)。
素手で金属製のグリップを握ると、超低温下では皮膚が貼り付くことがある。
ポリマー・フレームのグロックは金属と比べて熱伝導率の差で、冷たさをそれほど感じない。
またオート・ピストルは内部の機構にオイルを塗布しておくことが必要でそれがないと作動不良を起こす。その点グロックのポリマーフレームはオイルをほとんど必要としない。厳冬下でオイルが凍りつく心配が少ない。
雪原で追跡中などに、体がころがっても、スライド後部のハンマーがなく、内蔵式のストライカー方式のグロックは雪や泥などの異物が侵入する危険性が低い。
「大きなマガジン・ウェルも寒さで縮かんだ手には扱いやすい。マガジン・リリース・ボタンの位置と大きさも適切だ」
とか。
なるほどそういうものかとメウロコであった。
その記事の最後に氏は
「個人的な好みからすればコルト・ガバメントに尽きる。しかしマイナス40℃の世界に入るときはグロックの方が扱いやすい。あらゆる点から見ても有利なのは目に見えている」
と書いておられた。
無論グロックには欠点もあって、個人的にはあまり好きでないのだが、状況によってはこういう見方もあるものかと勉強になった。ウッディ氏と同誌に感謝。
撃鉄 2002 08 22
「ハンマー」とも言う。
銃についている部品で弾丸のケツを叩いて発火させるための(発射させるための)パーツである。
拳銃の後ろなどにぴょこっと飛び出ている2センチくらいのあれ。
使わないときは銃によりそっているが、これから撃とうという時にはガチンとこれを引き起こす(ハンマーをコックする、と言う)。中にバネが入っていて引き金をひくとその力で倒れて(戻って)弾丸のケツを叩く。
引き起こすのにはツーパターンあって、人間が指で起こさないといけないもの(シングルアクション)と、引き金を引けば中のメカが連動してグググッと引き起こされて引ききったところで倒れて発火するもの(ダブルアクション)と。
箱型弾倉(マガジン、最近はマガズィンなどとも書くようだが)を入れるオートマチック(ピストル、自動拳銃ってやつ)は一発目以外は発射のガス圧でメカが前後して勝手に次の弾が装てんされ、その際に撃鉄が引き起こされるので、原則として最初の弾丸を撃つとき以外は人間が起こす必要はシングルアクションであってもない。
一方回転式拳銃(リボルバー)は、通常一回発射したら撃鉄は倒れたままである。ダブルアクションの銃でもシングルでも、次に撃つときは人間が起こしてやらないといけない。
さて、一頃有名になった「トカレフ」は、シングルアクションのオートマチックである。
一発目を撃つ前に人間が手で撃鉄を起こしてやらないといけない。
その辺を判ってない人が漫画を描くと、たとえばこれから相手を殺そうとすごんでる人間がトカレフを構えてるのに、撃鉄が起こされてない(コックされてない)なんてマヌケなシーンが展開される。あの銃は撃鉄が引き起こされてないと、いくら引き金を引いても弾は出ない。この人物は本当は撃つ気はなくてシロウトを脅すために構えてるのかなと思ってしまう。
満州馬賊でおなじみのモーゼルミリタリーも同じくシングルアクションのオートマチックである。
一発目は手で起こす(弾丸を装てんしたてなら、その時の動作でコックされるが)。発射されると自然と次に備えてコックされる。
以前自分の漫画で同銃のモデルガンをあるアシスタントに渡して悪役の手に握らせてもらった。
雑誌に載ったコマを見て仰天。撃鉄がすべて起こされないままになっている。激しい撃ち合いのさなかにである。おいおいたのむよ。
この辺の銃の動作については拙著『本気のマンガ術』でも触れている。言ってる本人が間違えていては大恥である。単行本の収録の前にすべて描きなおしてもらった。
で、本題はこれからである。
こういう人は銃になんの興味もない。
銃を使う人の立場に立つというイマジネーションも場合によってはまるでない。
で、どういうことが起こるかと言うと、作画のために撃鉄を引き起こしたモデルガンをそのまま置いて帰ってしまう。撃鉄が起きたままである。これではバネがバカになる。いつ敵が襲ってくるかわからない作戦行動中の人間は、ハンマーをコックしたまま移動するが、そうでない時は戻しておくはずだ。本番できちんと働いてくれるように撃鉄のバネを休ませる。また、撃鉄が引き起こされた銃はささいな衝撃で暴発する危険もある。戦闘中以外は起こしてはいけない。
まあ興味は人それぞれ。ないものはないんだから仕方がないよな。
そう思ってやさしくお願いした。
「作画が済んだら撃鉄は戻しておいてくださいね」
「すみませんわかりました」
アシ君は答えた。
それから何日かして、また別の銃で同じことが起こった。
彼が帰ったあと、撃鉄のコックされたままのモデルガンが机の横に置かれていた。
また優しくお願いした。
「作画が済んだら撃鉄は戻しておいてくださいね」
「すみませんわかりました」
アシ君は答えた。
そして何日かして、どうにも遅くて汚い仕事振りに耐えられなくなった私は彼の解雇を決意した。電話でその旨伝えようと、ふと昨日帰った彼の机の横を見ると、きのう資料に使ったモデルガンの撃鉄が見事にコックされたまま放置してあった。
学習能力のない人はいりません。
昔のモデルで絶版になったモデルガンなど、部品が壊れても調達できない。中古屋でプレミアの付いた高価なモデルを探さなければならなくなったりする。そういうことになったら困るだろうという人情も想像力もないのである。
しかし。
これにはオマケの話がある。
ある編集部で女性モデルを使ったグラビア撮影でモデルガンを使用した。
使ったモデルガンは、その後不要になってしまった。
「そういうものがあるんですが、山本さん要ります?」
そう聞かれてモデルを聞くと、果たして欲しかった奴がある。
「お言葉に甘えてこれを」
そして荷物が送られてきた。おお、恋焦がれていたベレッタの9ミリショート♪感謝感激雨あられ(死語)。取り出した私ははっとなった。
撃鉄がコックされていたのである。
撮影から何日・何ヶ月?
その時思った、つくづくと。シロウトには銃をいたわる概念がないと。ほとんどの人にないのだと。
撃鉄<補足> 2002 08 23
カメラに詳しい友人から(詳しいと言うかやろうと思えばすぐにでもカメラ屋の店主が務まるくらいの超マニア)メールが来た。
その人は海外から中古のカメラを個人輸入したりしているのだが、たまにシャッターがチャージ(巻き上げられてスタンバった状態)されて送られて来ることがあるのだそうだ。
拳銃のメインスプリングよりも華奢でデリケートなカメラのそれをそんなことされたら大変。ライカやニコンはともかくハッセルやレチナといったレンズシャッターのものは禁忌だそうで、あわてて分解クリーニングするとか。
新手の嫌がらせ、というわけでもないのだろうが、プロがやってるはずの中古カメラ屋がなぜ?
結論として、どこの世界にもどんな職種にも、無責任無神経で不誠実な人間はいるということか。
無論誰にもミスはあるのだが、同じミスが繰り返されるとそれは疲れていたからの不注意などとは呼べなくなってくるのである。
弾倉 2002 08 23
自動拳銃(ピストル、オートマチック)のそれはマガジンと言う。箱型弾倉というやつである。マガズィンと書く人も最近はいるようだ。
たいていのピストルは弾を全部撃ちつくして弾倉が空になると、上部のスライド(射撃のたびに前後して空の薬莢を吐き出す部品)が後退した状態で止まる。映画やドラマで、弾がなくなったのに気づかずカチカチと引き金を引き続ける人間がよく出てくるが、いったいどこの銃を使っているのだろうか。
で、そのマガジンであるが、ある友人が以前アメリカはサンノゼの郊外のシューティングレンジで射撃した時、店の人は「クリップ」と言っていたと教えてくれた。
「8 bullets in this clip」
という感じ。そちらの業界用語のようなものだったらしいが、クリップというと昔の銃の弾丸をまとめていた金属のレールのような部品のことである。大戦中M1ガランドライフルなどは、弾がなくなるとこのクリップが排出されるため、その音を聞いた敵に「今だ!」とつけ込まれて困ったという話もある。
そういう時代の名残りで隠語のようにマガジンをクリップと呼んでいるのか。
アメリカやヨーロッパで活躍している銃器関係の専門家が「マガジン」と言っているのを見ると、正式名称はマガジンで、あくまで局地的な言い方なのだろう。
ただ、そういう言い方をしている人物が出てきても
「こいつマガジンをクリップなんて呼んで、シロウトだな」
などと思うと、大きな間違いだったりする場合もあるわけだ。
貴重な情報感謝です♪
回転式拳銃(リボルバー、リヴォルヴァーと書く人もいる)の弾倉はシリンダーと言う。
西部劇で早撃ちのガンマンがバンバン撃ちまくっているのはみんなこのタイプと言ってよい。ダーティー・ハリーの44マグナムもそう(後期のシリーズでオートを使った回もあったが)。直径数センチの円柱状の部品に5〜6個(特殊な例でもっと多いのもあるが)弾丸を入れるための穴があいている。
撃ち終わるとこれに残った空薬莢を取り出して新しい弾をこめる。
ちなみに西部劇で出てくるリボルバーはたいていシングルアクションと言って、一発撃つと人間が後ろの撃鉄を起こして弾倉を回転させてやらないと、次の弾が発射準備できない。
対してダーティー・ハリーなんかの現代リボルバーはたいていダブルアクションで、引き金を引くと弾倉が回転し、引ききると撃鉄が戻って弾が発射される。
この時の作画上の注意点を少し述べる。
リボルバーを前から見ると、銃身の両脇に回転式弾倉(シリンダー)が見えている。
明るい所ならそのレンコン状の穴から、収まった弾の頭部が見えていたりする。
撃ち終わった弾は後部の空薬莢しか残ってないのでそこの穴は暗く見える。撃たれる側からすればトンネルの出口が塞がれた状態なわけだ。
というわけで、途中まで撃ったリボルバーを前から見ると、銃身の左と右で、暗くなってる穴と弾頭が見えている穴、二通りのパターンがあるはずである。どっち側を暗くすればいいのか?
これはメーカーによって(例えばS&Wとコルトは逆)違うので、その拳銃によって描き分けるしかない。とりあえず信頼のおけるモデルガンをゲットし、銃器雑誌を見るのがいいだろう。
もう一つ、シロウトのとんでもないミス。
ある日本映画であったらしい。らしいと言うのは見た知り合いからの伝聞だからだが、リボルバーを何発か撃った男が弾倉をチャッと横にずらして(スイングアウトと言う。西部劇のころのリボルバーはこれはできない。原則として後ろの小さな穴から一発ずつ弾を込めなおすか、銃を中ほどから二つ折りに開いて行う。ほかにもいろいろあるが今は省略する)残りの弾数を確認した。
すると撃った弾の数だけシリンダーの穴がすぬけになっていて、後ろの風景が見えたと言うのだ。確かにカラですよと見せたかったのだろうが、撃ったリボルバーはまだ中に空薬莢が残っているので、シリンダーをスイングアウトさせてもそこは前から見ても黒い穴になっていて向こうは見えない。撃ち手側から見るともっと判りにくく、弾丸を入れる穴はすべて薬莢の後部でふさがれている。かすかに撃鉄がお尻を叩いたあとが撃ったあとの薬莢にはあるだろうが、一般の客にはなんだかわからない。
この辺はわかりやすいアングルや構図を工夫して、知らない人にも何が起こっているのか一目でわかるよう気を配るしかない。
作家の技量が問われるところでもある。
寝かせ撃ち(仮) 2004 09 11改訂
BBSで拝見したところによると「挽歌撃ち」などと言う方もいらっしゃるようである。いつの頃から始まったのか良く知らないがチョウ・ユンファの映画『男たちの挽歌』などからであろうか。
拳銃を普通に構えず、横に寝かせて構える、撃つ、あのアクション。正式名称があるかどうかはともかく、とりあえず「寝かせ撃ち」と呼ばせてもらう。
かっこつけ以外にあまり意味があるとは思えない。
銃の上部についているサイト(狙いをつけるパーツ)が活用できないし、左か右か、どちらかへの対応がしにくくなる。
映画や漫画の場合、正面からのアングルで、正しく銃を構えるより寝かせた方が俳優やキャラクターの顔が銃で隠れないでよく見える、という利点はある。
刀を剣道のように正面で構えるより横に持って構えた方が役者の顔が見えやすい(いや剣術的にはほかの意味もあるがここでは置く)あれと同じである。
ただ訓練を受けたプロの殺人マシーンみたいな役どころのキャラがやると、素人っぽくて私は嫌である。いきがってるチンピラにはいいのだが。
しかしリアリティよりも派手さ、お客への受けを優先したいと言う人にはいいかもしれない。もっとも、もう何百回も見せられて(映画、テレビ、漫画でいやというほど真似されてる)、今更やってもなんの新しさも感じられないが。
あの撃ち方にはもう一つ、大きな問題がある。
拳銃の作動不良である。
一発撃つごとに自動拳銃(ピストル、オートマチック)は上部のスライドが前後して空の薬莢を排出する。そのための穴があるのだが、昔のモーゼルミリタリーみたいな銃(真上に開いている)はともかく、現代のオートはまず間違いなく撃つ人間が握って右側に開いている。そっちに空薬莢が飛ぶ。
あ、米軍採用の人気のベレッタは真上に開いているが排莢は真上にではなく斜め横にされる。これは発射時のガス圧と弾倉内部のバネの力によるのだが、景気よく撥ねとぶものから、そうでもないものまでいろいろある。
実際に海外で射撃した友人の話では、ドイツのHK製のP−7などは、排莢のための穴(イジェクションポート)を上に向けて(つまり銃を自分の左に倒して)撃っても何の問題もなかったが、アメリカでCz−75をコピーしたスプリングフィール○・アーモリーのP−9はダメだったそうである。
まっすぐに構えてもイジェクション・ポートからぽろぽろって感じで薬莢が出てくるので、穴が上に向くように構えたりしたらとても・・・とのこと。
自分の命がかかってる時にそんな危ない撃ち方はしたくない。少なくとも私は。
この件については、時々、いろんな人から質問をいただくのだが、私はただの漫画家であり、傭兵のプロでもガンのインストラクターでもない。自分で調べた情報や信頼の置ける人々からの情報(専門誌の記事や、実際に海外で銃を撃つ人、国内外の軍関係に知り合いのいる人等等・・・)を総合して書いているのであり、それ以上は調べようがない。
納得行かない方はご自分で専門家にお聞きになるか実際に海外のシューティングレンジで試されるほかない。
上記のジャム(作動不良)も全ての銃で起こるわけではない。
しかし100挺撃って1挺起こってもそれはダメなのだ。
自分が実際の戦いの場で銃を使う場合に、作動不良を起こす可能性が1%でも増えるような真似はしないからだ。するとすれば、それは愚か者か自殺願望のある人であろう。
銃に限らず、武術の問題などでも思うのだが、世の中にはそれを「使う者」の立場にたって考えシミュレートできる人と、どこまで行っても「他人事」、「観客」の視点でしか考えられない人がいるようだ。
前者と後者は、どうにも話が噛み合わない。後者は自分の思考に大きな欠落があることに、まるで想像が及ばないからである。
ちなみにここで述べているのは、当然のことに原則論である。
どんなことにも例外はある。
蕎麦を食ってアレルギーで亡くなるかたもある。
拳銃を寝かせて撃つことが有利に働く状況は稀にある。
フルオートハンドガンなどを寝かせて撃ちながら、周囲を囲む敵をなぎ払う、などがそれである。
また最近では、ステアー社のM9という拳銃のサイトが特殊な形状をしており、斜めに構えると狙いやすいという記事が2004年10月号の月刊Gun誌にあった。私も形が好きな銃なのだが、もっともこの銃、ちょくちょくジャムる(作動不良を起こす)のが問題ともあった。
サブマシンガンなどをコントロールする際に傾けるとやり易い場合もあるようだが、ここで言う「寝かせ撃ち」はとりあえず拳銃の話と思っていただきたい。
ちょっと寝かせただけで作動不良を起こすのはなぜかと言う方もおいでだが、拳銃というのはデリケートなもので、特にオートは、ちょっとグリップをゆるめに握って撃っただけで装弾不良をおこして次の弾が撃てなくなったりする銃もあるのである。なぜそうなるのかは銃の機構を知れば判る。
信じられない人は私に聞かないで専門家に聞くか海外の(以下略