iMacに読み込んだCDの音源を使って、AirMacExpress経由で本格的なホームオーディオで再生した場合の音楽の聞こえ方を記事にしました。※CDとの比較です。

<用語解説>

<iMacG5>(PowerPC版)購入'04年10月21日
iPodでおなじみアップルコンピュータ社の64bitデスクトップコンピュータ。
<AirMacExpressベースステーションWithAirTunes>
iTunesのミュージックライブラリをワイヤレスネットワークを通して家庭のオーディオステレオやパワードスピーカー(アンプ内蔵スピーカー)で再生することができるという画期的なワイヤレス製品。

<本格的なホームオーディオ>

プリアンプ
Cー10(LUXMAN)
モノラルパワーアンプ
B−10(LUXMAN)
CDプレーヤー
X−10WD(ESOTERIC)
スピーカー
SCEPTER−CS2(ONKYO)

U2「How To Dismantle An Atomic Bomb」より

  • 曲名:Vertigo
  • APPLEロスレス/ビットレート1037kbps
  • 収録時間03:14

<スタジオ録音編>

全体的に元気がたりない・物足りなさを感じる。ボーカルの「ボノ」の声も抑え気味。音の分離感に乏しくオブラートに包まれた様な印象を受ける。曲の良さが全面に出し切れていない。めまいがするほどのいい曲なので、やはりCDで聴く事をおすすめしたい。

NIRVANA「MTV Unplugged in New York」より

  • 曲名:About A Girl
  • AAC/ビットレート192Kbps
  • 収録時間03:37

<屋内ライブ編>

会場の拍手が拍手に聴こえない。ボーカルの「カート」を通して演奏会場の残響がCDよりも多く聴こえる。雰囲気はCDの方が良いが、じっくり聴き込まないのであれば「Air Mac Express」で聴いても遜色ない。音の厚みや暖かみのようなものを感じたのは、どちらかというとCDの方だった。

PJ HARVER「Uh Huh Her」より

  • 曲名:Pocket Knife
  • AAC/ビットレート192Kbps
  • 収録時間03:44

<女性ボーカル編>

CDに軍配が上がる。音の分離感がいいため、彼女の声も力強く自然に聴こえるし、曲にまぎれてしまうこともない。「Air Mac Express」に比べてCDは長く聴いていても疲れない。

NORA JONES「Come Away With Me」より

  • 曲名:Don't know Why
  • AAC/ビットレート128Kbps
  • 収録時間03:06

<女性ボーカル編>

彼女のボーカルが少々薄味に聴こえる。声の粘っこさみたいなものを感じるのはCDの方で、比較的サラリと聴けてしまうのがワイヤレスで聴いた方という印象を受けた。音楽に対する迫力・存在感はCDにはかなわないと思う。また、ピアノがピアノらしく聴こえるのもCDの方であった。

全体を通しての感想

ワイヤレスで聴く音楽なんて、所詮FM程度の音質と思っていたが想像以上に音楽として聴く事ができるレベルにあることを実感した。CDとの比較試聴だった為にあえて違いを書いてみたが、じっくり聴き込まなければ十分 「Air Mac Express」経由で音楽を聴く事ができるし、音楽を聴く聴き方の一つにワイヤレスというのがあるんだなという事を認識した。

ただ、どの音楽を聴いても言えることはCDに比して薄味だということ。音の分離感や曲の持つ力強さ、ボーカルの存在感などはやはりCDの方に軍配が上がるわけで、アーティストの作品を聴くという文化的行為についても、やはりCDケースから銀盤を取り出して、心して音楽を聴くという姿勢も大切なのではないかと思ってしまう。そうした行為の先にアーティスト達が生み出した作品との新しい接し方があるのではないか。それがコンピュータに取り込んだ音楽だったり、iPodのような音楽との関係になるのではないと思う。iTunes music storeが日本で始まるとしても音質は現在のCDにはかなわない訳だから、パッケージメディアとしての音楽ソフトは無くならないだろうし、SACDやDVDオーディオなんていう高音質フォーマットの登場を考えると、音楽の聴き方はますます二極化していくに違いない

毎日、生の音楽体験が出来るほど裕福でも自由でもない。だから身近な音楽体験というとCDや圧縮音源ということになる。自動車通勤ならカーオーディオが大きな比重を占めるだろうし、電車や自転車ならipodなどのヘッドフォンを使用した音楽との接し方が身近な音楽との接点になる。

自宅にあるホームオーディオでじっくり腰を据えて音楽と向き合う時間がかなり減っている。人間が人間らしい生活を送れなくなっている証拠のひとつに「家で聴きたい音楽を自由に聴く」ということがあげられるのではないか。毎日忙しいから自宅でじっくり腰を据えて音楽を聴く事ができない。だから職場(学校)と自宅の往復時間を好きな音楽で自分の心を満たす。これってすごく合理的な音楽の聴き方だと思う。そうしないと音楽との付き合いが少なくなってしまうから。人間性の回復とまではいかないまでも、音楽を聴いている時間こそが至福のときで、その行為が自分と自分の中にある人間性を支えているんじゃないか。音楽との付き合いを通して自分の生き方が鋭く問われている。そんな気がする。※話が脱線してしまった・・・

更新05.11.19