風景画とは
英語では 「Landscape」といいます。油絵で風景を切り取って描くと言うジャンルは、長い絵画史の中でも結構新しい動きのようです。’ただの風景’などそれが絵になるとは考えてみれば不思議ですが、そこに無限、無常、永遠、生命力、活力、安らぎ、など表現しようとしても決しておかしなことでは無い。それに挑戦し好んで風景を描きこんだ画家たちは沢山います。ピエーテル・ブリューゲル(1525年頃ー1569)、ニコラ・プッサン(1594−1665)、クロード・ロラン(1600−1682)、ロイスダール(1625−1685)、カスパール・フリードリヒ(1774−1840)、などです。風景画はロマン派、バルビゾン派、印象派、と受け継がれ愛好家を喜ばせてきました。
教科書にもたびたび登場するオランダのポプラ並木を描いたマインデルト・ホッベマ(1638−1709)作の並木道の風景画は多くの人に親しまれています。
ホッベマ <メッデルハルニスの並木道、1689油彩>
私の好きな画家はフェルメール、ミレー、モネ、ゴッホ、黒田清輝などです。色彩効果を詩情豊かに表現するワザを大成しているように思えます。油絵はファン・エイク兄弟により1430頃には使用され始め、それ以来フレスコ画、テンペラ画、に代わり油彩画が風景画に多く使われ始めました。長い間、絵画とは内で描くものであり、持ち運びのできる絵の具など必要とされなかったようです。油絵の具を硬練りにしてチューブに詰めれるようになったのが1800年頃のようです。恐らく油彩の風景画が本格的に出始めたのはその頃だと思われます。但し15−16世紀ごろはデッサンを基にアトリエで風景画を描いて
いたようです。実際の風景を目の前にするのではなく室内で風景画を描くのは’ちょっと変’な感じがしますが、技術があれば想像でかけないことはないと思われます。
特にカンスタブルは見たままの自然としての風景画を描こうと屋外で油絵を描いて、みずみずしい自然を表現しました。

カンスタブルの「干し草車」
は1821年の作です。Winsor&Newton社によりチューブ入りの手軽な油絵具が売られだしたのは1841年頃だそうです。
日本では風景画は独特の歩みをして来ましたが、油絵の普及とともに西洋の風景画
と融合を果たしてます。
風景画と言うよりも山水を中心とした南画として発展し独特の浮世絵のなかにも取
り入れられ欧米の印象派にも絶大なる影響を与えました。
南画としては 池大雅(1723−1776)、渡辺崋山(1793−1841)
などの手で大成した。
浮世絵的表現で風景を捕らえたのは

歌川広重(1797−1858)、
英泉(1790−1848)、北斎(1760−1849)などがよく知られてます。