この書籍と私の考えについて
「国際縄結芸術交流展」図録 陳夏生老師寄稿「中国結びの歴史」より一部抜粋・・・・             

五・本を出すことでもたらされた繁栄

 過去の人々が抽象的なものにこだわり言葉で語ることを卑しいとした観念を抜け出し、
古来からの技法を打破し、技術を分け隔てなく伝承する。
筆者は中国結びを広める過程でこれらの段階を経て、
3冊の書籍を刊行しました。

結び技術の伝承のため、
1981年に基本技術を記した『中国結び』を出し、
1983年には応用に重点を置いた『中国結び2』を出して、先人が用いた中国結びの様式を読者に伝えました。
それと同時に現代生活の中で応用していく方向性を提案した結果、
その試みは成功するとともに新たな段階を切り開くことになり、
新しい結び方や変化の法則を発表することができました。

1997年に刊行した『中国結び3』では科学的に中国結びを4つの系統に分類し、
読者が早く簡単に基本の技術を習得できるよう心がけました。
さらには結び方を変化させるテクニックや、各種基本結びから可能になる変化の方法をわかりやすく紹介し、
中国結び創作の幅を広げることができました。

『中国結び』が出版されてからは海賊版が相次いで出回り、正式に刊行された類似本も次々に出てきました。
1983年夏までには『中国結び』『中国結び2』の他に、
『実用中国結(実用中国結び)』『中国結芸(中国結び芸術)』『活用中国結(中国結びの活用)』
『縄結芸術(結び芸術)』という
4冊の結び専門書が刊行されています。

その後
20年間となると、数え切れないほどの中国結び本が数十冊は発行されています。
これらの書籍には研究の成果や新しい結び方も載っていますが、
先人の著作を踏襲した部分や西洋・日本・韓国の書籍を真似た部分もかなりあります。
中には伝統的な「むしろ編み」「竹編み」の技法を流用したものまであるのです。
大衆受けするように、簡単にできる西洋結びの技法を偏って取り入れているものもたくさんあります。
他には
12種類の結び方と教材を抱き合わせてその完成品を写真付きで紹介しているもの、
ネックレスやブレスレット・宝石を紹介するために中国結びを利用しているもの、
鑑賞や作品の参考にするための純粋な図録、
もしくはそれらの図録に簡単な結び方が紹介されているものなどなど・・・数え上げたらキリがありません。

要するに、内容的には出来上がった飾りものに重点を置いており流行に流されてはいますが、
これらの本は中国結びや関連商品を紹介する豊富な資料であり、読者に興味を持たせる一役を担っていて、
自然と技法が継承されていくことに繋がっているのです。

ただし、中国結びとそれに似た他の技法を混同しているものがあり、
それもまた新しい考え方なのかもしれませんが、
中国結びと銘打っているからには読者に曖昧な情報を提供すべきでないと私は思います。

 


上記の陳老師がおっしゃることは、(私はあちらから見れば)外国人ではありますが私なりに胸に響くものが有ります。
そしてずっと胸に刻みながら今まで活動を続けています。

そもそも中国結びは中華の伝統工芸ですから「日本人にあわせて」という大義名分のもと、むやみに本質をいじくる
のには、誰に言われることなく自然と気がとがめるのです。
そうしてしまえば「どこのなんだかわからないもの」になってしまうような気がします・・・。

個人的な考えですが、外国の文化を外国人が扱う場合(専門家として看板をかかげるならなおさらの事)こちらの国
の都合勝手で安易に変えてはいけない事が要所要所にあると思います。
例えば結び目の名称などがそうですね。「あわじ結び」と「双銭結」、形が同じでも中華的には「双銭結」なのです。
意味があっての形」です。名称はその結び目にとっての名前であると同時に結びの「意」でもあります。
その民族の伝統を外国人として扱うのですし、逆をやられたらと想像したら・・・。
そう思ったらそうそう安易な事はできないと、個人的には思うのですが、
日本だったら他の国のものを持ってきただけで、日本のもののようにして発表してしまう方や、
外国だったら日本のものを持ってきて、その国のもののようにして商売してしまう方が、いないとはいえません。

ソコにはお互いの文化の融合と発展、という意味とは違ったものを優先している感があります。
区別認識しあうからこその、お互いへの尊重と、本質的な意味での交流が実現可能なのではないでしょうか?。


食べ物を自分の身体に取り入れるとき、その生産者や製造元に注意をするように、情報や知識を身体に取り入れる
ときも注意をしたいものです。
簡単に手に入るものや情報は便利ですが、なかには出所不明であったり、脱線しているものがあるかもしれません。
「有名だから」といって無防備に信用できない残念な世の中です。そして人生は一度きり、時間制限もあります。
本当に自分が知りたい情報は出来る限り「原書」「源流」を求めたい・・・。
そんな方々にこの本を是非手に入れていただきたいと願います。
現在日本で出版販売されている様々な結びの本と内容を照らし合わせて見ることで「よく見えてくるもの」があると思
います。それはそれで一つの勉強方法かもしれません。

上記3冊の本は英文ですが図解は詳しく、本当に素晴らしい内容です。
陳老師が心血を注いで出版されたこの本は、一生かけて読み解く価値があると思います。
私も道に迷ったらこの本を読むことが多いです。
自分のレベルで味わいがどんどん変わる不思議な本です。おすすめします。
*文中の出版年は中国語繁体字台湾版のものです。シンガポール版はその後英語に翻訳され出版されました。
翻訳協力*埼玉県山西省友好記念館「神怡舘」

TOPページへ