Re: ひさしぶり!
家に帰って、いつものようにメールチェックをすると、珍しく友達からメールが届いていた。最近、友達という友達が少なくなった僕にとっては嬉しい限りだった。彼は僕にとって、とても信頼できる友人なのだ。携帯の一行メールに見飽きていた今日この頃、久々に読み応えのあるメールに、僕は思わず夢中になって読んでいた。
「最近なかなかメールをやりとりしてなかったね。
お前の元気なメールを読んで俺も安心したよ。
俺も忙しいけど、こっちはそれなりに元気で頑張ってるよ。
早速近況報告を…といきたいところだけど、たまには違う話をしてみようかと思う。
最近ちょっと思うことがあったんだ。
俺らってさ、会う度にいつも相談事とかしてきたけど、話の内容が少しずつ変わってきた気がしないか?
以前だったら『対人関係が…』とか『恋愛感情が…』なんて話をよくしてたよな。
なのに、最近は研究の話や将来の話、仕事の話といったように社会的な会話が多くなったような気がするんだ。
まぁ、それだけ俺らが成長した、大人になったってことなんだと思う。
でも、こんな話ができたり、考えたりすることができるのは、お前と会っているときしかないんだ。
一歩ずつ外の世界に出て行こうとしている今なんて、一人でそんなことを考える余裕はなくなったよ。
でもさ、あれこれ悩んだからって絶対成功する保障なんてないんだよな。
そんな先のことまで予測して行動するなんてできやしないんだから。
でもさ、逆に絶対に失敗するっていう保障もないと思わないか?。
うまくいくかどうかなんて、やってみなくちゃわからないさ。
決して強がらなくてもいい。弱音を吐いたって構わないと思う。
だけど、諦めないで続けることって本当に大事だよな。
だから、俺もとことんやってるよ。
失敗することもあるけど、やっぱり俺は今やってることが一番楽しいから」
このメールを読んでいて思った。僕が元気であると偽って周りに迷惑をかけまいとして演技しているのを、彼は全部見抜いていたのだ。僕は本当に成長したのだろうか。仕事も恋愛も、自分の都合のいいように歩いていたんじゃないだろうか。いつのまにか、僕は彼に置いていかれてた。悔しかった。何よりも、何もできない自分が悔しかった。だから今、僕はこう思う。自分がしなければならないことってなんだろうか、と。そして、ある結論に達した。僕は自分が歩くための道を作らなければいけないということに。もちろん辛いこともたくさんあるだろう。でも、その道の先に何かがあるのならば、誰かが待っていてくれるのならば…
様々な思いを抱きつつ、僕はメールを閉じた。しかしこの時、彼からもう一通メールが届いていたことに、僕はまだ気づいていなかった。
「『君はひとりじゃない。
気づいていないかもしれないけど、みんなが君の笑顔を待ってるよ』
あの時俺に言ってくれたこの言葉、今でもずっと覚えてる。
お前が俺を変えてくれたんだ。」